初級ダンジョン30分攻略
「まずは実戦経験だ」
マリアがそう言って、俺たちを連れてきたのは街の北にある「忘却の洞窟」。初級ダンジョンとして冒険者の訓練場になっている場所だ。
「ここでレベル上げ? 偉く悠長じゃないか?」
「はぁ、違うけど。お前の【万能解析】が実戦でどこまで使えるか確認する。それと、パーティー戦闘の基礎を徹底的に叩き込む」
確かに。いきなり本番の魔王戦で連携ミスったら即死だろうしな。
洞窟入口には他の冒険者パーティーもたくさんいた。平均攻略時間はたったの6時間らしい。
「俺たちは30分で終わらせる」
「はぁ!?」と、エリスが素っ頓狂な声を上げた。
「絶対、無理です! ボスのオーガまでどんなに頑張っても、最短で2時間はかかりますよ!」
「はぁ...俺の【万能解析】を舐めるな」
俺はダンジョンに向けてスキルを発動。
『ダンジョン構造解析完了
•全12層、総距離3.2km
•罠17箇所、隠し通路3本
•雑魚敵配置パターン解析済
•最短ルート算出:1.1km、推定時間28分
•ボス「オーガロード」弱点:首の古傷』
「よし、ついてこい」
俺は迷いなく右の通路へ走る。
「ちょ、ちょっと!」
エリスとマリアが慌てて追いかけてくる。
最初の分岐で左へ。三つ目の部屋で床の罠を避け、壁を蹴って隠し通路へ飛び込む。
「なんでそんなルート知ってるんだ!?」
「全部見えてるからな」
5層の大部屋。通常ならゴブリン30匹と戦闘になるが、俺は横の細道を指差した。
「ほら、そっち。敵に気づかれないぜ」
「マジか……」
マリアが呆れながらも従う。
9層。巨大な落とし穴があるはずだが――
「エリス、浮遊魔法」
「え? あ、はい!」
三人を浮かせて一気に落とし穴を飛び越えた。
「こんな攻略法、聞いたことがない……」
「普通は思いつかないし、思いついてもできないからな。...浮遊魔法が特別だからさ」
そして12層、ボスが居る部屋に辿り着いた。
体長4メートルの巨漢筋肉ダルマ、オーガロードが雄叫びを上げた。
「グオオオオ!」
「マリア、精神攻撃で動きを止めろ。エリスは火球魔法を首の左側付近、古傷に集中しろ。俺が囮になる」
「了解!」
マリアの【混乱】がオーガの思考を乱す。一瞬の隙。
エリスの火球が古傷に直撃。
「ギャアアア!」
オーガが怯んだ瞬間、俺は床に落ちていた古い剣を拾って――
『スキル【投擲 LV1】習得』
『スキル【急所狙い LV1】習得』
――古傷に剣を投げつける。
ズブリ。
剣が首に深々と刺さり、オーガは崩れ落ちた。
「終わりだ」
時計を見る。入場から27分。
「……嘘だろ」
マリアが呆然としている。
「お前、本当にレベル1か?」
「おっ、【万能解析】がレベル3になった。戦闘中に学習するらしい」
『獲得経験値:レベル1→レベル8』
一気に7レベル上がった。でもまだ全然足りない。魔王はレベル80以上あるはずだ。このまま行けば挽肉にされるな。
「よし。次のダンジョン行くぞ」
「次!?」
「時間がないんだ。今日中に中級ダンジョンを3つ攻略する」
こうして俺たちの爆速レベリングが始まった。




