1.作品の概要とか
琥珀と申します。
異世界恋愛読みで、気がついたら自分でも書くようになってしまい、今は「公爵令嬢カタリナの推理──王太子妃候補2人+愛されピンク髪男爵令嬢が王立歌劇場で大激突☆から発生した不可能犯罪を、華麗に解決してご覧に入れますわ!」という推理物を連載中です。
ジェイン・オースティンの作品を異世界恋愛読みの観点からレポるというエッセイを書いたのですが、『分別と多感』のレポを投稿した際に、tomonya様に『説き伏せられて』の感想が読みたいとおっしゃっていただいて、速攻読み読みしたのでレポなのです。
なんだかんだで『マンスフィールド・パーク』とか『エマ』とかも手を出してしまう予感しかないのですが、まあそれは今度ということで…
■『説得』:基本情報
<オースティンの説明は使いまわしですすみません!>
作者はジェイン・オースティン(1775-1817)。
イギリスの田舎、ハンプシャーの中産階級の出身で、父親は牧師です。
5男2女の末っ子で、兄が詩を発表していたり、当時としてはしっかり目に教育を受けたこともあって少女時代から小説を書き始めました。
恋をしたり、別の男性からプロポーズされてお断りしたりしたこともあったそうですが、結局生涯未婚。
長編作品は、すべてイギリスの田舎地主かそれに類する家の娘をヒロインに、結婚をめぐって右往左往するというものです。
要は、「田舎の狭い人間関係の中で行きているヒロインが結婚するだけの話」ですので、王太子から婚約破棄されるとか、氷の貴公子に「僕は君を愛さない…」とか言われつつ白い結婚をする破目になるとかそんなことは全然起こらないのですが、王道もだもだ描写+えぐい人間観察力でめっちゃ面白いのです。
今までレポらせていただいたのは……
・田舎地主の娘だけど、限定相続のせいで受け継ぐ資産がろくにないエリザベス(明るいツッコミ型の5人姉妹の次女)と、大金持ちなイケメン大地主・ダーシー(ツンデレ)が、色々あって結局くっつく『高慢と偏見』。
・同じく田舎地主の娘で、遺産をもらいはぐれ、母と妹2人と一緒に地味に田舎暮らしをしているエリナー(いうて召使いとかはいますけどね)が、アレすぎる腹違いの兄やらちょっとアレな妹に振り回されつつ、「相談女」のルーシーと水面下でバトったりして、最終的に内気な青年・エドワードとくっつく『分別と多感』。
今度の『説得』(1817年)は、第6作目、最後の長編小説。
ざっくり言えば、準男爵の次女であるアン(三人姉妹の真ん中)が、身分が違うと一度は別れた海軍士官ウェントワースと8年後に再会、なんだかんだあって結局くっつく!というお話です。
アンのお相手になるかも?ってなる紳士が、あと2名出てくるのですが、まぁまぁウェントワースやろと思っていたら普通にウェントワースでしたね……
このへん、王道を外さないのがオースティンというか、オースティンは近代恋愛小説の開祖くらい言うてもええ人でもありますから、彼女がこういう風に書いたから、今の恋愛小説でコレが王道になっているのかもですが。
それにしても、今までの作品と違って、お貴族様の世界カーと思っていたら、最初のページに準男爵に関する注が。
「準男爵位は一六一一年ジェイムズ一世によって、軍事費捻出のために作られた。男爵の下、ナイト爵の上で、貴族ではなく、貴族院議員にはなれない」
ファ!? どういうこと!? 教えてWikipedia先生!!
・称号は世襲(男系)。
・男爵>準男爵>ナイト
・貴族ではなく平民。貴族院にも議席はない
・敬称は、ナイトと同様「サー」「デイム」で、準男爵の妻の敬称は「レディ」
・17世紀に財政破綻しかけてたんで、世襲の新位階を販売することになって出来たもの。
具体的には、兵士30人を3年養える1095ポンドを献納した大地主限定200人に与えますー!ということで1611年に販売開始。
1622年に枠がほぼ埋まるも、その後も財政難が続いたり、大地主を王党派に取り込みたいとか色々あって、何度も枠を追加。
それでも長らく大地主限定ではあったのが、19世紀後半になると、商業工業で成功した人もアリとなって、富裕なビール醸造家がたくさん取得するとかぐだぐだに……
そんでもって、1910年にその時点の準男爵家をリストアップして、もうこれ以上追加しないよ!ってなりました。
とのことです。
なんか、たくさんお金を納めたら爵位をあげるって……準男爵位、クラウドファンディングのリターンみたいですけど、これでいいのか大英帝国!?
というわけで、結局、(ちょっとエラい)地主世界の模様です。
ま、一応、親戚に子爵家いたりはするんですが。
冒頭、ヒロインのパパ、エリオット準男爵がによによしながら『準男爵年鑑』を読む場面から始まるのですが、「後から準男爵になった者と一緒にされたくないし〜」みたいな雰囲気出してる割に、エリオット家が準男爵になったのは1660年とあるので、最初の200家じゃないんかい!?とも思いましたが、まあまあ初期にクラファンした家ということで……
というわけで、設定の確認が終わったところで内容に入ってみましょう。




