階層の守護者と新たなる能力 1
どうもくぼってぃーと申します。
2週間近く投稿が遅れてしまいスミマセン!
──神殿 地下第壱階層──
ネズミの魔物との戦闘から三十分が経過し、第一階層の魔物の殆どがイヴァンの魔法によって駆逐されている。スライムは自らの出番が無くなって拗ねていたが、珍しい素材等を見つけてははしゃいでいた。
「連鎖炎舞!」
「───────? (イヴァンそんな魔法覚えていたっけ?)」
「あぁ、この魔法はクラリスの手帳に記されてあった魔方陣を少しだけ改変させた物だよ。この手帳には基本的な魔法が載ってるから、魔方陣を構築出来るなら誰でも使えるはずだよ」
クラリスが持っていた手帳は、この世に現存する基本的な属性魔法を余すこと無く記載しており、名前を聞いた事が無い程の珍しい魔法まで記載されていた。
だが、ここに載っている魔法はどれも魔力の消費が激しい物であり、かなりの実力を持っていなければ魔法に飲まれ、魔力の暴走を始めるだろう。それを慎重に見極めなければ毒でしかない本ではあった。
連鎖炎舞は文字通りの効果を発揮し、何匹もいたはずの魔物達を炎に染め上げていく。肉の焦げ付く匂いが珠に傷であるが、一匹の魔法の行使だけで周りにいる魔物も連鎖的に燃え上がって行く。物流戦法の魔物には効果は群発であった。
──イヴァンは神殿の地下、その最果てにある通路にたどり着く。
「どうやらこの階層は終わりみたいだ……」
行き止まりの壁をイヴァンは「コツコツ」と音を鳴らしながら叩く。すると音が反響し、壁の奥に空洞が在ることを物語った。
「もしかして……空洞があるのか?」
──イヴァンは壁に力を込めて拳を放つ。
すると壁は脆いおが屑のようにバラバラとなる。壁から出てきた空洞を見ると、螺旋階段の様な形を模しており、周りを囲む壁には認識阻害の魔方陣と魔法が施されていた。
魔法陣が発する光以外は真っ暗で、かなり下の方に続いていることが伺える。
「光乱たる領域が発動していないのは認識阻害の魔方陣のせいかな……」
──イヴァンが魔法で作成した石を階段に落とす。
「罠が無ければ良いけど……」
石は「コツン、コツン」と音を鳴らしながら階段を落ちて行く。数秒間で音が鳴り止み、罠が無い事を確認したイヴァンはスライムと共に降りて行く。
──神殿 第伍階層──
螺旋階段を使用してかなりの階層をして、一気に第伍階層までたどり着く。しかし、伍階層から感じられるのはかなり異質な空気であった。
「この階層以下の場所の魔力が感じられない……」
魔力を関知する際に空間を立体化する、その立体図が脳内に浮かばず、あるのは散漫で強大な魔力と悪寒だけであった。
──だが、その異質な空気の理由も直ぐに理解する。
『──此処にニンゲンが来るのは珍しいねぇ』
「────!」
悪寒がする声と、異質な気を出す主がイヴァンに話しかける。気がつけばイヴァンは距離を取っていた。強大な魔力に自らの死を連想させる存在を色覚しようとする。
「──お前は!?」
『おっと、俺の魔力を関知して逃げたのは人間にしては上等だな』
少し君の悪い笑みを浮かべる骸骨。だが、アンデットとは違う部類の実力者というのは魔力量から分かる。ちょっとした冷や汗をかきながら骸骨の正体を暴こうとする。
「お前……もしかしなくてもリッチーか?」
『察しが良いよ。そう、私はクラリス様から伍階層の守護を任命されているリッチーのアルテミスだよ』
彼は如何にもアンデットと思える様な風貌をしているが、他のアンデットとは違い、魔力の質はイヴァンおも越していた。
『クラリス様に命じられ30年……此処に来るのは運の良い雑魚ばかり……本当に退屈だった。でも、君なら退屈しなくてすみそうだな魔女さんや』
紛れも無く、イヴァンが戦闘をした中では最強の魔力と実力を持つ事をオーラが物語る。黒く禍々しいオーラであった……が。
「あのオーラは……こいつはじゃない?」
神殿の入り口にて感じたオーラとは違うオーラを放つ事は、あの巨大なオーラを放つ程の怪物がまだ沢山いるという事でもあった。
『おや? 察しが良いのも此所まで来ればもはや恐ろしいよ……そうさ、俺よりも強い守護者は階層を下るごとにいる……つまり俺は守護者の中でも最弱さ』
透かした様な笑い方で自分を卑下するアルテミスには少しだけ同情してしまう様な気もする。
だが、このリッチーを倒さなければ真実にたどり着けない。そう思うと拳に魔力を込めて苦しみが無いやり方でリッチーを倒す……その思いでアルテミスに目掛けて魔法拳を繰り出す。
──『キィーンー!』
──『ガチガチ』と音をたて魔法拳はアルテミスと数メートルの感覚に停止させられた。
「なっ!?」
『──おっと。言っていなかったけど、俺のいるこの空間は秩序・敵対攻撃封受によって効果は消されるよ』
初めて耳にする「秩序」という言葉に耳を疑いつつ、現実が追い付いて来ないイヴァンであったが、直ぐに第二撃を放つ。
──だがそれも効果無く消滅する。
それでも諦めずに魔法の行使を試みる。魔方陣を空に描き、作成した魔法を具現化する。魔法に適正がある者であれば造作も無い作業であった。
──パリーン
だが、完成した魔法陣は魔法の行使をする前に音を立てて砕け散る。魔法以外での攻撃方法が思い付かずにイヴァンが使おうとした手であったが握手となった。
「なっ……何で……」
『もちろん、念には念を入れて魔法と物理、どちらの攻撃にも対応できる強化系統の魔法を行使しているからだよ。もっとも、俺は強化等の魔法しか使えないから、魔法での攻撃はこちらも出来ないのだけれどね』
「くそっ!」
『ん? 来ないのかい? ならば此方から行かせて貰うことにするよ。』
アルテミスは人間とは全く比べ物にならない程の驚異的なスピードでこちらに迫る。目で追えない程の動きをしており、瞬間的な移動……実際瞬間移動も使用している動きを見せる。
「ごはっ!?」
気がつけばイヴァンの腹部にアルテミスの拳がめり込んでおり、直接的に胃腸を傷つけられる感覚に襲われる。それに、そこから来た衝撃波によってイヴァンの体は壁に激突する事を余儀なくされた。
「はぁ……はぁ……こいつ……」
『やっぱり、君なら受けきれるね……まぁどうせ数十発くらい殴ればぐちゃぐちゃだろうけどね』
イヴァンは口から血反吐を吐き、その場で全神経を集中させながら打開策を考えた。
攻撃魔法は無効化され、打撃も消される。こうなったら打てる手段なんかない。何か武器でも無ければ……
必死に考えようとするが、腹への振動が体全体へと駆け巡り脳にまで辿る。通常の人間であれば気絶するか即死は免れない程の一撃であったのだ、イヴァンでさえ思考に致命的なダメージを受ける。
『ふむ、やはり貴様はクラリス様の力をその身に宿しているね』
「…………っ!」
図星を突かれて戸惑うイヴァンだったが、今さら露になろうと戦況は以前アルテミアの方が優勢であった。
『だが、おかしい……クラリス様の力をその身に刻み込んでいながらに、何故『秩序』を使わないのか』
「な……何!?」
『本来『秩序』の力はクラリス様によって創られた神に勝る程の力だ。それならクラリス様の力を刻み込んだお前ならば使いこなせない道理は無い』
クラリスが証さなかった能力はイヴァンが考えていた物よりも壮大かつ恐ろしい物であったという事を知らされ、イヴァンは自らの思考、感情、知性の全てを読み取る。
──そして自らの中に二つの扉を見つける。
はい、前書きで言ったとうり投稿が遅れてしまいました。
理由としては作品の中の文章をより良い物にしていきたいと思い勉強をしていました。
現在頑張って短編等を書いていますがこちらの連載も頑張っていきたいと思います




