過去と夢の記憶
今日は2本立てを予定していましたが。
2話の内容を一話にまとめて行きました。
ーーイヴァン達は扉を開くと同時にあるものを見る。それはなんの変哲もない普通のネズミである。だが、そのネズミを見ていると妙な違和感がある。
「目が赤黒い?」
何か他の生き物とは違う異彩を放つネズミに興味と不可解な点が多く見られる中で後ろを振り返ると………
「扉が!?」
先程までそこにあった筈の巨大な扉は影も形も残っていなかった。少なくとも目の前のネズミを見るまでは………
怪しいと思い、ネズミの方へと足を踏み出す。スライムもついて来ていると思っていたが、どこにもスライムの姿が無く、こちらも神隠しかのように影も形も消えていた。
「何かがおかしい…………」
そうして思考を巡らせていると、ネズミと目が合い「チュー!」と鳴いた瞬間、大量の赤黒く光る目が後ろから見えてくる。そして、それがネズミの群れだと気づくのは、イヴァンの足がネズミ達に抉りとられ貪られている痛みを感じる刹那の一瞬の事である。
「……………痛っ!!」
ネズミは何度も何度も自分達の持つ鋭い歯でイヴァンを抉りとる。痛みで意識が朦朧とする中である疑念を抱く。
「そういえば、光乱たる領域は1キロ圏内を灯す筈。何故ネズミ達が大量にいる事に気が付けなかった?しかもここまで大量の数で魔力を感じとれないなんて…………まさか!?」
イヴァンはある予感がした。それはとある魔物に対しての事である。イヴァンが魔物について勉強している際にとある魔物の事を習っている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーアルゴア王国 アルバンク学園
「じゃあこの問題を…………イヴァン!イヴァンが答えてくれ」
僕の夢は英雄になることであった。世界を正し、先導してくれる王を筆頭に憧れを抱く英雄達。その方達に少しでも近付く為に、次なる英雄の候補を産み落とすために設立されたこの学園で、優秀な成績を残す事こそが英雄への近道だと信じていた…………
「はい!現王にして英雄を束ねるブラフ・フィクス様は、災厄の魔女ワルプルギスを封印して、英雄達とその名を世界に轟かし都市国家アルゴアを建国しました。その際、英雄達の武具や神聖具は王国の宝物庫に収容されています」
「よろしい、ではその英雄が使った武具と神聖具で最もワルプルギスを封印する時に貢献した物を答えよ」
英雄が使用した武具は、伝承や神話にて言い伝えられており、この国の子供なら全員が言える物だ。しかし、神聖具はかなり特殊な伝承で、かなり本を探しても中々出てくる物では無かった、しかも全て英雄の名称添えてだ。それを覚えているのはそういない…………だが。
「剣聖は時帝剣クロノス、賢王は禁書クロノワール、拳王は、死鎌メスティス、魔術王は、聖杖エグリフォスです。かの大戦で最上級の活躍を見せたのは逆説の時計です。この神聖具によって災厄の魔女は再生を阻害され封印する事が出来ました」
「正解だ。イヴァンは学力に長けているな、明日の騎士様の講習ではイヴァンに本校の代表として質問を沢山受けてもらおう」
周りにいる生徒達は驚きながらこちらを見つめる。称賛の目でこちらを見る者もいれば、憎らしく憎悪に満ちた目でこちらを見つめる者等、様々な見方で注目されているイヴァンであったが、イヴァンには一つ皆と差が開いている所があった………
ーー授業が終了して、各自帰宅を始める。たまに補習で残る者もいるが、イヴァンは今まで補習を受けたことが無い。それは騎士様の講習の場で代表として呼ばれる程なのだから当然であった。
「おい下民、少し付き合え」
半ば強引に取り押さえられ腕を周りにいる2人位の取り巻きが掴み取り、イヴァンは人目の付かない校舎裏へと連行されていく。
「どうしたの……ファルコム君………」
「ファルコム・シュタイン様だろ!様をつけろ!」
そう言うと取り巻きの一人が手でイヴァンの頭を地面に擦り付ける。地面は乾燥しており、小さな砂と小石が顔に突き刺さりイヴァンの顔は傷だらけになる。
「痛っ………何でこんなことを」
「あぁ?お前、下民のくせに舐めた真似するからだよ」
「えっ?」
「いいか?俺らはお前とは生まれが違うんだよ。たいして国に貢献していないゴミクズが英雄なんかに為れるわけねぇんだよ!」
確かに生まれは違う。実際、ファルコムは騎士団長の息子である。しかもこの村を統治している野もファルコムの父親である。だが、ファルコム自体は素行の悪さから分家の方で引き取られている。
それでもクラスの中で、イヴァンと肩を並べる程の英雄候補と言われている。恐らく、父の名を出し教員達を脅したり、課題に関しては僕のような者の回答を写していると思っている。ファルコムの体型はお世辞にも騎士に向いていると言えない。甘やかされ、肥えた二の腕と腹。そして腐りきった性格。誰が見ても騎士に為れると思えない。
「とにかく、俺に明日の代表権を譲れ。もし譲らないなら家族を村から追放するぞ!!」
「えっ!?」
イヴァンは優しく前向きな家族が大好きである。いつも明るいアリナ母さんと、優しく冷静なペレス父さんがイヴァンにとって一番に思う人であった。
「………………分かった」
「さっさと言えよ!」
ファルコムの肥えた二の腕が顔面に重く刺さる。それと同時に意識が薄れていく。正直悔しい気持ちはあったが家族の事を考えればどうって事が無かった。
ーー目が覚めると辺りは少し暗く、夕焼けが綺麗にイヴァンを照らした。少しでもファルコムよりも英雄候補に近くには、学力をつける事が必要不可欠であった。
「図書室。まだ開いているよな」
イヴァンは図書室に行き、考えた。自分が全員を出し抜くには、皆が知らない知識をより深く覚えていく必要があると……
「魔物に関しての調査記録とまとめってここだったよな」
イヴァンは、図書室に通い詰めていたため、本の位置情報をほぼ完璧に記憶していた。それでも、禁書や調査記録に関しては少し曖昧だったが、皆があまり重視しない魔物の生態は、以外と重要であり、魔物の討伐の際に魔物の情報をより鮮明に記憶している者程戦場で評価を得る。それを思いながら本を開いていく。イヴァンはほとんどのページを読み終えていたので続きから読むことにした。
「えっと、109章は………あった!」
ー109章 魔物が使用する術について(幻惑)ー
魔物には幻覚を使用し、相手に幻惑を見せる種類がいる。上位の種程、幻覚の内容が濃く、解除に苦労する事になる。幻惑系に対しては状態異常を無害にする術や、幻惑の解除が有効である……………
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「思い出した!!」
痛みは感じるが命が危うい程の攻撃なのに、命が脅かされている感触がせず。なおかつ、矛盾している点が多く。幻惑系の術を使う魔物が存在することをイヴァンは思い出す。
「儚き夢の終わり!」
イヴァンの詠唱により大量のネズミは消滅を迎え、空間が歪み、そして霧のように濃い幻影に姿を消した。
「やっぱり。幻影を使う魔物だった………」
イヴァンの目の前には最初の一匹のみがたたずんでおり、幻惑の術が解けて酷くご乱心のようだった。何度も目を光らせ暗示を掛けようとするするが、イヴァンはその全てを無かった事のようにはねのけ、そして解術した。スライムは………酷く怯えている顔をしながら気絶していた。
(暫くこのままにしておこう………)
「今優先するのは、このネズミの魔物だからな!」
イヴァンは手に光属性の魔法陣を形成し、拳を握りしめる。そして拳と同サイズのネズミに対して光属性になった拳をおもいっきり振りかぶり、当てる。スライムは基本的な物理攻撃は無効だが、イヴァンの拳で同等クラスの魔物を殴っていれば消し炭になっているだろう。
「チューーーー!」
その断末魔と予想どうり粉々にくだけ散ったネズミに、イヴァンの金を無断で使っていたスライムの分のストレスが全て消え去った。
「よし!スライム………あっ、起きた」
「ーーーーーーーー。(全く酷い夢を見たよ。イヴァンがマジの拳で私を殴り続けてさぁ)」
恐らくそれは、夢ではなくトラウマの一種を再現し、それを見せられたのだろう。スライムの顔は今日一番の青ざめた顔に満ちていた。
「よし!じゃあ先を急ごう。こんなところでグズグズしてられないし」
「ーーーーー。(なんかイヴァン機嫌いいね)」
ストレスが発散され、イヴァンは今日一番の笑顔で先を進んでいく。主に迷宮を模したその内装と、先の見えない地下にイヴァンの好奇心もドキドキしていた。
ーーーだが、やはり序章に過ぎない絶望であった。ーーー
はいどうも。くぼってぃーです!
今回の最果ての魔女はいかがでしたか?
2000pvを達成して嬉しい限りです!ぜひぜひ感想や意見、評価をお待ちしております!(特に嬉しいのはアドバイスです!!)
今後ともヨロシクお願いします!




