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3~

   3


 現実世界での大熊鷹士は、美人秘書を持ったような感覚で仕事を楽しんでいた。

テキパキと、鷹士の先を読むように気が利く一面も好意が持てる。


思えば少々、夢の中のソフィに似てなくもないなと思えてしまっていた。

だが、夢の中であって年齢まで聞いていないので、いくつかは不明。


役職が上がり、個人の部屋を貰っている鷹士であるが、補佐役も兼ねている中村も頻繁に訪れてくる。

当然、金髪ショートのクリスティも報告に来る。

他の従業員が居た時が懐かしいと思えど、静かな部屋もいいなと。


その、他の従業員が仕事してる場が妙に静かな感じが気になった鷹士。

今までは、色んな意見が飛び交っていて騒がしさもあったような気がしていたので覗きに行くと、シッカリとした口調で電話してるものや机に向かって真面目に取り組んでいる者も居た。

部門内で相談し合ってる者も居て、何があったんだと思えた。


まさか自分の行いがこうさせたとは思いも寄らずにいた。

その答えを持っていたのは中村とクリスティこと、鈴木の両者だった。

「はっ?・・・あっ・・いえ、大したことは言ってません」

と言うのは中村だが、鈴木は正直に言ってしまう。

「そ、その・・・また騒いでると・・・次は強烈な一撃が来るかもよって言っちゃいました」


確かにこの2人を紹介する時に警告音で黙らせて静かにさせたことはあったが、体罰にまでは発展しないと誓う鷹士であるが、係長の田村が来て追い打ちを放つ。

「あ、どうも。え?・・・あ~、それは・・・普段大人しそうな人ほど怒らせたら怖いぞって」

薄目で田村を見ながら無言でいたら、中村と鈴木が田村の頭を押さえながら謝る素振りを見せる。

効果はあったので気にしていないからと言いつつ微笑む鷹士に恐怖を覚えた3人であった。


仕事は順調で日々の日課的なゲームも進み、他のゲームでも探してみようかと思いつつ、ニュースサイトも観ていく鷹士。

ガセっぽいないようのものもあれば、真実に迫るものもあり、事件事故もまだある。

国家間戦争も終結に向かってるようだが、犠牲者は浮かばれないだろう。

そんな時に、別の国の上空に飛来する未確認飛行物体を発見というニュース。

「またか。・・・どうせ誰かのドローンじゃないのかよ」

と、思っていたが、翌日のニュースはそればかりで現実であったのだ。


各国首脳陣が連携を取っているが、すぐにでも攻撃に転じたい国もいる。

国家間戦争も急に終結となったのは言うまでもない。

そんなことよりも壮大な大きさの宇宙船が居るようだ。

この時に撮影された宇宙船、鷹士はどこかで見たような気がしていた。

地上から見える範囲からは消えたようだが、この地球の近くに居るようだ。


攻撃はないが偵察なのだろうか、良からぬ思いも巡ってしまう。

今の地球上の全ての武器を持ってしても叶うような相手ではない。

何せ、あんな巨大な物体が浮いているのだから。

しかも一瞬で消え去り遥か向こうに移動する技術力。


休日であり、他のゲームどころじゃないかもと思いつつも、身内に連絡しようかと思ったが逃げる場所なんてありゃしない。

『まるで、残像だけ残して』と思った瞬間に脳内に微弱の電流が走ったような気がした鷹士。

「あれ・・・夢で見た気がする?」自問自答してしまうが、否定する感情もあった。

「まっさか・・・ダメだな、ゲームのし過ぎだこりゃ」と、独り言を放つがあのニュースは盛大なフェイクではないようだ。


そうしてる間、偵察に来た複数の小型無人偵察機は本体の宇宙船を介し情報を送っていた。

待機モードである本体であるが、小型無人偵察機にも特殊な機能が備わっている。

ステルス機能と投影にて巨大戦艦な宇宙船をあたかも居るかのように存在させる。

よって、今回の地球で怒った騒動は、その機能によるフェイクでもあるのだ。


夜には何事もなかったかのように普段のニュースや番組が続けられていく。

鷹士は最近、頭痛に合い悩まされていたが体の不調も相まってきた。

「くっそぉ~、休日なのにぃ~」と、文句を言いながらも市販の頭痛薬を服用し横になる。


小型無人偵察機が近付き、本体の宇宙船がステルスモードで見えなくても太陽系枠内に侵入した頃から、鷹士の体の不調は現れていた。宇宙船の通信技術は地球の技術を遥かに上回るが、鷹士に何らかの影響を与えているようだ。

だが、鷹士本人は疲れから来てるのかもと思っていただけで特に支障が出てるわけでもないので放っておいたのだ。


仮眠状態に入った鷹士であるが、夢の再現は始まる。

夢の中の自分にも変化が起きているようで、思考や経験が融合し統一されていく感覚に気付き始めていた。

一人暮らしな為に誰も寝ている鷹士を見ていない。

一方の夢の中のゲーム上で付けたニックネームのホークこと鷹士本人も、寝ている間は周りに人は居らず部屋の外に居るので誰の目にも触れていない。

いくつもの小さな光が全身を覆うようになっていたのは夢の中の方の自分で、現世のほうでは光に包まれながら全身が消えかかっていた現象が起きていたのだ。


夢の中の自分が起きた時に、探索隊からの報告が入ったようだ。

部屋内に映し出されるモニターも投影技術によるもので、繊細なホログラフのようなもの。

上半身裸であった鷹士の肩付近には刻印が施されているが、自分の紋章でもありホークのものでもある。

その紋章を中心に円形と菱形が重なった枠と文字列が入ったものが、他の司令官から最下部のものまで軍服に付けられている。文字列の意味はホークに忠誠と自由の保証であった。

体に刻印があるのはホーク本人のみであり、他の者がタトゥのように彫ることは出来ない。

やろうとしても複製不可な呪いでもあるかの如く身体に影響が出るようだ。

複製品は街中では司令官以下が軍服に付けているものの模写が数々出回っていた。


報告を聴いていくと、まさに現世で起きていたことをこちら側から得ているような気になった。

攻撃力は無いに等しく、敵勢力には値しないという報告。

現世からしたらアホみたいな速度で移動し、巨大な宇宙船も持つ者に対抗なんぞ出来んというのが本音。逆に距離を表す単位に光の速度での1光年単位を用いる地球側がアホみたいに見えてしまうのがホーク側であろう。この両者には決定的に速度感と距離感の常識が全く違うのである。噛み合うであろう常識は平和的交渉くらいだろうか。


ステルス中の宇宙船に近付いてきた物体も回収し分析していたようで、その報告も受ける。

一方、地球側の航空宇宙局では通信が途絶えた衛星がいくつかあってテンヤワンヤ。

距離的に通信にて受信するのにアホみたいな怒涛の時間を要するのが地球側。

ホーク側からしたら大した距離ではないのだ。


現世の太陽系に似たような配置であるが、夢の中のホーク側では太陽に値する惑星が2つあり、その太陽を中心としいくつかの星が自転しつつ展開しているのと、2つ目の太陽のほうは逆に惑星間を中心に回っている。離れた場所から大きく見れば2つの太陽系が並んでいるようなもので、その中の他の惑星にも移住者や地元民もいて今では友好関係で技術提携も行われている。


惑星間移動が隣町に買い物に行くような感覚でいるのがホーク側の現実。

外宇宙と言われる当銀河系外に出るのは現世で例えると海外旅行の距離感に等しい。

気軽にドアを開けるかのごとくワープ航法を使用するので通信も早い。


そして報告にあった内容を吟味していく鷹士。

「何かどこかで聞いたような代物だな」と、思いながら口にしていた。

それは現世で、他の惑星の情報収集が目的で打ち上げた探査機であったのだ。

それを偵察隊は魚が目の前の餌を食うかのように回収していたのである。


既に現世との精神融合に限らず、体も融合し始め統一に向かっていた鷹士ことホークは、偵察隊に待機の命令を下し、ソフィにも連絡を入れ自ら出ることを告げる。

いきなりの皇帝自らの出陣に、慌てふためく司令官以下は武装船や補給船も早急に用意しなくてはならなかった。最上位司令官でもあるソフィは、インテリ気味のオリガー参謀長官の首元を掴んで引き摺りながら皇帝の部屋まで来て意見を恐れながら申し入れる。


だが、さすがのアホみたいな移動速度のスキルを持つホークはその場に居なかった。

既に主力艦隊の本艦に乗船済みな短気な面もあるホークである。

短気ではあるが思考や策略も早く、マルチタスクでシミュレーションを熟せるでの周りはいつも後から理解し納得する。よって、ホークの指令や命令は絶対的で従って損はないが、極まれにジョークが混じるので侮れない。そのジョークにハマった経験があるのは下士官ほぼ全員であった。


作戦会議中、真面目な顔で検討してるかと思えば、口にしたのが「喉渇いた」だの「眠いな」で、周りをズッコケさせる一面も持つ。

現世での鷹士はそのようなことは抑えているので、本性はユニークなのかも知れぬ。


統一してからホーク星と名付けられ、ホーク星群とも言われる一帯を第3級の指揮官に任せ、統一将軍に値するソフィ司令官、オリガー参謀長官、ガーネル大佐率いる大部隊で出陣していくホークである。

ホーク自身は1隻でも1人でも十分であるが、必ず着いてくる従順な部下達が大勢いた。


移動中に仮眠を取る場合でも設けられている専用室には誰もいない。

現世に一時的に戻った鷹士は体の不調を体感していて洗面所に向かい鏡に自分の顔色を伺う。

ふと写った自分の着ているシャツがキツく感じたようだ。

ワンサイズ大きめのを選び、ふぁっと着ていたのに何故かピッチリめ。

脱いで確かめようとすると自分の体が妙に筋肉質に変化し、肩にある紋章も浮かび上がっていた。

「うぉっ!なんじゃこりゃぁーっ!いつ付いたんだ?これ・・・って、これは」

よく見れば自分で考えた紋章をゲーム上にアップロードしたのも思い出すが、自分で体に付けた覚えはゲーム上でしかない。


他にも変化はないかと全身を隈なく調べるが、全身が筋肉質になったことだけのようで、一部分のモノは然程変わっていないのが少々残念のようだ。

ここでも、ふと思った時に他の服はと目を向けた時に、一瞬でタンス前に移動している自分に驚く。

たった今、起こした行動すら思い出そうとする自分が居る。

無意識に行動していたので途中経過が思い出せず、景色が流れただけしか思い浮かばない。

普通に行動も出来るが意識的に何かをすると、とんでもない常識外れもいいことが起きる。

最初は自分に超能力でも芽生えたのか、単にボケただけなのかと思っていたが徐々に自分を認識していく。


夢の中の自分も現実なのかという思いに辿り着くと、両方の記憶が融合し統一されていく。

だが、どうやって向こう、夢の中の自分がいる場に移動したのかという疑問も湧いていた。

脳内で思い描き、思い出す夢の中の光景。


ものの一瞬であるが、目を開けると夢の中で見た光景と一致し、触るものの感触すらあった。

魔法でも使えるようになったのかと思うほど距離に関係なくリアルに思い描いた場への転移速度が早いスキルも身に付いている。まるで自身がワープしてる感覚であった。

だが、下手に移動すると体力の消耗も激しいようで何故か汗を掻いていた。

まだ現世の自宅内と夢の中の専用室内間であったが、現世の街中に突如現れたら皆ビックリするに違いないので、抑制することに。


もうひとつ解った事は、現世と向こうで移動時の時間をセーブしてるような感覚も得ていた。

そうでなければ、向こうでの時間経過を加味すると、現世に戻った時にズレるはずである。

平均睡眠時間が6~7時間なのに、向こうでは軽く見積もっても12時間は存在していた。


そう思いつつ、現世ではまだ休日。

向こうに飛んで経過を見ることにした。

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