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未定  作者: 大倉
幕間:二千→三千
53/75

朧雲

「渚様、貴女と話したいと言う方が来ています。」

「通せ。」


――――

渚の部屋に、老人が入ってきた。

――――


「…お、ウァサゴじゃないか。久しぶりだな。」

「ブエルとバルバトス、それに凜と怜は元気にしてるか?最近会えて無くて……」










――――

老人は、少し間を置いてから口を開いた

――――


















「…奈義も香良洲も、日種も死んだぞ。」


――――

渚の顔には、少しだけ驚愕の表情が浮かんだ。

――――


「……そういえば、そうだったか。すまない。…最近、少し時間間隔が狂っていてね。」

「俺の名前は憶えているか?」


――――

渚の目線が上を向いた。……暫く時間を取った後、老人が口を開いた。

――――


「……天草。天草 斗夜(とおや)。名乗った筈だぞ、忘れたか?」


――――

斗夜は、渚の返答を待った。

――――


「…なあウァサゴ、私がこれ()を初めてから、一体何年経った?」

「80年と少しだ。安心しろ、俺以外の死因は寿命だ。」


――――

渚の顔は、他者が見て辛うじて、悲しんでいると見て取れる表情になった。

――――


「……それで、私に話があるんじゃないのか?」


――――

渚が書類を片付けた。

――――


「俺は神が嫌いだ。それは例え、お前だとしても変わらない。」

「……渚、お前は偽物じゃない。あのカス共が崇めていた虚構じゃない。それは分かっている。」


――――

青い花弁が部屋を舞い始める。

――――


…花弁、まさか


「…俺みたいな老害が、今を生きる子や孫に何か、良い物を残すにはどうすればいいのか……俺は考えた。絞れる限りの頭を絞った。」


――――

渚が席を立つ。

――――


「止めるなよ。どうせ明日には死ぬジジイだ。」

「…覚悟を無駄にはしない。でも、もう少しだけ待ってくれないか?」


「……なあウァサゴ、少し歩かないか?行きたい所があるんだ。」

「…いいだろう。」


――――

二人は軽く話しながら、とある所へと歩いて向かった。

――――


「えーっと……ここか。」


――――

小さな墓石には、幾つかの名前が刻まれている。香良洲と刻まれた墓石は少し古く見える。


その隣にある日種と刻まれた墓石には、二つの名前が刻まれている。


天草と刻まれた墓石には、もう一つ名前が刻まれる事が予期されている様なスペースが空いている。

――――


「…どうして俺だけ、こうも長生きしたのか…まあ不思議だよな。」

「……私としては、長生きしてくれると嬉しいんだがな。今の君は数少ない、私より年上の人だし。」

「…変わったな、お前。」

「そうか?私は私だぞ。」


――――

二人はそれぞれの墓石に手を合わせた。

――――


「…そういう所は変わってないな。」


――――

二人が目を開けた。

――――


「……もう少し、付き合ってくれ。」




――――

少し離れた場所にある、更に古い墓石。それに、渚は手を合わせた。

――――


「……結局、最後まで見つからなかった。」

「唯は、今のウァサゴと同じように、花弁を纏っていた。」

「………ウァサゴ、お前も消えるんだ。私はそれが嫌だ。」


「……どの道変わらん。明日静かに死ぬか、今お前と戦って死ぬか。それだけだ。」


……そうなんだろうな、(それでも嫌だよ)きっと。


「…流石に、場所は移そうか。」


――――

墓地から少し離れた道で、二人は向かい合った。

――――


「……全力で行くぞ。」

「そうしろ。」


霧…?


「「拡大(セキ)!」」


――――

花弁がより一層舞い、黒い装束が燃え盛る。

――――


…消えた。


――――

勝負は一瞬で決まる。何故なら、これは我慢比べの競り合いでは無いからだ。

――――


ウァサゴの転移…に、霧みたいな物…多分魔力…を混ぜたのか。どこから来るのか分かり辛いな。


――――

渚は居合の構えを取る。

――――


………!


――――

正面から迎え撃つ形で勝負は決した。

――――


「っ……」

「…じゃあな、渚。」


――――

渚の腹に小刀が刺さり、渚が血を吐く。

――――


「……さようなら、ウァサゴ。」


――――

既に下半身が花弁となったウァサゴが、消えていく。

――――




「はぁ―――」


……疲れた。疲れたよ。


「………」


…これからが大変、と覚悟はしていたが、


――――

既に、渚の傷は治っている。

――――


………辛いな、これは。

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