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俺の宝物、ダンジョン、そして潰された肋骨

カラナの手にある、生きた木のプレート「カラナ・アイアンシャード - ランクF」は微かな内光を放っていた。俺の冷たい金属製(「商人」の「C」刻印入り)は、それと比べて粗末に見えた。種族やギルド支部でプレートが変わるのか? それともエルフの差別か? 考えるには脳が過負荷だった。それに、持続する違和感が俺を噛んだ:何か売るはずじゃ…? トレジャーゴーレムの核の欠片がインベントリに無害に眠るのをチラ見した。まあ、売ってないなら重要じゃないはずだ と自分に言い聞かせ、商人の本能の悲鳴を無視した。


「ついに…」俺は独り言のように呟き、洞窟を想像しながらバカみたいな笑みを浮かべた。「ダンジョンに入れる!資源!宝石!俺のターラァ!へへへへ!」 慣れ親しんだ悪魔・強欲が温かい毛布のように俺を包んだ。金で幸せになれないなら、金が足りないだけだ! 指輪に取り憑かれたあのキャラを思い浮かべたが、ある視線に遮られた。


カラナの視線だ。決意か苛立ちで通常満ちた琥珀色の瞳が、今は深く静かな失望で俺を貫いた。まるで最高の金床の上を這うナメクジを見るようだった。そんな目で見ないでくれ! 心の中で懇願し、急に小さく愚かに感じた。


「エヘム…」わざとらしく咳払いし、引きつった笑顔を作った。「よし!出発だ!」カラナの手を握り(幸いあの視線は引いた)、イレーネを宝物のように抱えるアレティシアの元へ戻った。ドライアドは永遠に穏やかな微笑で迎えた。ギルドでの怒号、嫉妬、危うい喧嘩など夢だったかのように。


「じゃあ…~ダンジョンに行くの、小さな火花たち?」彼女は小川のせせらぎのような声で問いかけた。「ドライアドや他の種族は…近づかない。意味を見いだせないから」遠くのポータルを曖昧に指さした。「エルフは昔、定期的に掃除していた。今は冒険者たち。でも…あそこから出るものを、なぜ欲しがるのか理解できないわ」その口調は純粋な好奇心だった。彼女らにとって、強欲や所有権、金銭の概念は異質だった。大地が樹液を、空気がマナを、光が抱擁をくれるのに、なぜ蓄える?美しい種族だが…我々を野蛮な守銭奴と無意識に描いていた。「ダンジョンは…『エメラルドトンネル』って呼んでたわ」と距離を置いて付け加えた。


バザールの人々は、ドライアドとの交流にほとんど注目しなかった。人間、ドワーフ、魔法の少女が樹木の精霊に護衛されるのは、このシュールな場所の日常風景なのだろう。アレティシアが優雅に手を上げた。ギルドの樹木の樹皮がうねり、生きた木の巨大な手が形成され、苔の地面へと種子のように優しく降ろしてくれた。


エメラルドトンネルへの道程は純粋な魔法の沐浴だった。一呼吸ごとに肺を満たす振動する空気が血を疼かせた。アレティシアは無音の足取りで導く。頭上、黄金の光柱が差す高みでエルフが儀式を行っていた。長い腕を伸ばし、掌を空へ向け、まるで光を紡いだり風と語らうようだ。幽玄な光景…そして少し不気味だ。頭おかしいんじゃ? と思ったが、アルテミサに注意を奪われた。


人形の騎士はアレティシアの頭頂に、奇妙な生きた帽子のように鎮座していた。フェルトの小さな唇が静かに動く。しかし彼女と繋がった俺の心に、ロボティックな囁きが響く:

「樹木エンティティ分析:生命パターンは元素精霊記録と不一致。結論:アルテミサは精霊ではない。完全分類にはデータ不足」


脇でカラナが数歩ごとにしゃがみ込む。「チッ!玄武岩質石英…土台用ならまあまあ、だが特別じゃない」と呟き、石を驚くほど柔らかい指で粉砕する。「おっ!鉄分含有粘板岩!こりゃ可能性あるぞ!」地質学者の如き集中力でサンプルを集め、地下を採掘計画でも立てるように評価する。鉱石にしか興味ない、俺の宝物ドワーフだ。


だが、俺の視線を釘付けにしたのはイレーネだった。アレティシアの腕の中で、その顔は絶対的な平穏の絵だった。しかし唇は琥珀色の輝きに染まっている。アレティシアが人差し指の先を少女の口元に近づけ、蜂蜜のような濃厚で輝く樹液が滴っていた。イレーネは穏やかにそれを啜り、母乳を飲む赤子の安らかな信頼を漂わせていた。ドライアドは原始的な母性の優しさで見下ろす。野生の森の存在と人間の少女のコントラストが胸を締めつけるほど美しく…そして激しい保護本能を呼び覚ました。イレーネを渡すわけにはいかない、わかってる? 敵意なく、ただ小さな嵐を守りたいと強く思った。


緑の大聖堂の下を数分歩き、着いた。境界樹(きょうかいじゅ)。最高の高さではないが、直径8メートルはあろう幹は、別の現実への巨大な門だった。根元が不自然に絡み合い、脈動する光を放つ完璧な楕円を形成している:夜空のような深い青が、不気味な深紅の血管で貫かれていた。エメラルドトンネルへのポータルだ。


巨樹の根元は怒った蟻塚のように騒がしかった。多様な種族が空地を埋め尽くす:


すり減った鎧と冷笑的な眼差しの人間


あらゆる毛皮と獰猛さのビーストキン(狼の耳、猫の尾、他を小さく見せる威圧的な熊男)


騒動を隠しきれない軽蔑で見下ろす、背高く優雅なエルフ


ドワーフの姿は皆無だった。因縁の憎悪は健在、流血はまだ…今のところ。


行商人たちは絶望と強欲を貪っていた:


「治癒苔浸漬包帯!緑の腐食に耐える!」 怪しい色の布巻きを掲げる人間。


「テルペリオン根軟膏!瘴気(ミアズマ)の疼きを…少し和らげる!」 質素な露店を出すシルヴァンエルフ。


「緊急口糧」売り場:靴底のような干し肉と、最も売れている…そして恐れられる「超栄養食」灰色の岩のようなビスケット。冒険者たちは棺桶を買うような諦念で購入する。湿った土埃と絶望の臭いが漂う。食欲が消えた と吐き気をこらえつつ思った。


鍛冶屋:人間とビーストキン(小さな木槌のようなハンマーを持つ巨大な牛男)が可鍛炉で欠けた剣や凹んだ鎧を修理。実用的で無骨、緑の地獄で一日長く生きるための品だ。主に人間とビーストキンが必死に値切る。


エルフの露店:隔離された、残酷な海の洗練された孤島。鋭い面差しで氷のような眼光のエルフが、内光を脈動させるルーンの木の杖、色変わる液体の魔法薬、小さな宝石の護符を販売。値札を見ただけで俺の財布が痙攣した。鷹の目護符に一瞬欲をそそられるが…ドワーフの金床のような肘が肋骨を直撃した。


「ぐはっ!カラナ!」


「へ~」彼女は人間とビーストキンの鍛冶屋を顎で指しながら呟いた。腐った樹液のように甘い声で。「そのドワーフの妻が、あの錆びたガラクタより十倍マシなものを半値以下で…スタイリッシュに作れるって感謝すべきじゃない?」 その笑みは挑戦だった。


いたた、かわいそうな俺の肋骨! でも心底、構わなかった。彼女の傍ら、その蛮力と皮肉の下の黄金の心に幸せだった。何も言わない方が賢明だ と賢明に考え、脇腹をさすった。


問題はカラナの声が、鍛冶場の騒音を貫くほど空地に雷のように響いたことだ。人間の鍛冶屋と牛男の顔は真昼の太陽を浴びた完熟トマト色に変わった。屈辱と純粋な怒り。医者に行くべきだ と心から心配した。その色は健康的じゃない。


しかし、その発言は他にも強欲を呼び覚ました。「ドワーフ=高品質武器」と単純に解釈する耳もある。群衆にはいつも、トラブルや掘り出し物を飢えたバカがいる。今日も例外ではなかった。


筋肉と汗の塊が二人、こちらへ歩み寄ってきた。軽々2メートル10センチはある。身長165センチの俺(まだ成長中だ!15歳だぞ!)は、セコイアの前の灌木のように感じた。一人目は人間。顔は金床との延戦に敗れたよう:潰れた鼻、交差する傷痕、酔った母だけが愛せる容貌。バスタードソードは胴体ほど幅があった。二人目は熊系ビーストキン。熊の特徴を持つ男ではなく、直立歩行し(きつく)革のベストを着た熊。濃い茶の毛皮、湿った鼻、危険なほど知能の低い小さい目。双刃の斧を飢えたように輝かせている。


「おい、ドワーフ」人間が唸り、タール臭い腐った玉ねぎの波のような息を浴びせかけた。「お前、俺たちの仲間に入れてやる。武器鍛造以外の…役に立つこともできるだろ、その体で」下品な欲望の眼差しでカラナを舐めるように見た。


「へへ、兄貴」熊ビーストキンが鼻を鳴らし、分厚い涎を垂らした。「作ってるガラクタみたいに簡単に壊れないと良いがな」斧がカンと威嚇音を立てた。


? ? ? この臭いクソ野郎共…カラナを口説いてるのか? それとも鍛冶奴隷と玩具を探しているだけか?


失せろ、この臭い腐ったゴミ共が! 咳のふりをし、鼻先で手を扇いだ。その間、プレッシャーの下で遂に協力した脳が、俺のユニーク能力を発動させた:"縫製(ぬいせい)"


エーテル状のオプションウィンドウが、俺だけに見える視界に現れた:

[ > 縫う(ぬう)]

[ 切る(きる) ]

[ 取る(とる) ]


瞳が冷たく計算高くなる。"縫う"を選択。かすかなブーンという音が耳を満たした。クモの糸より細く、信じられない強度の金色の光の糸が指先から見えずに湧き出る。


「で、このクソ野郎は何だ?」カラナが唾を飛ばし、SSR+グローブが威嚇の光を放つ。「臭い男には興味ねえ!消えろ!」


「へへ、まずはこのバカをぶっ潰してやるぜ!」熊ビーストキンが、俺への殺意を持って双斧を振り上げた。


人間の汗まみれの手がカラナの豊かな胸へと卑劣な食欲で伸びた。彼女が一撃でその腕をペーストにできると知りつつ…燃える保護本能が行動を要求した。俺のドワーフだ!


斧が振り下ろされ、卑劣な手が目標に触れる前に、俺の指がエーテルの速さで動いた。心の中で、熊ビーストキンの拳(俺への攻撃)と人間の汗臭い馬鹿面(カラナへ向かう途中)を「掴み」、心の中で指を鳴らして金色の見えない糸で「縫い付け」た。


ガシャンッ!


効果は即座で、グロテスクなほど爽快だった。熊ビーストキンの巨大な拳は、磁石に引かれるように軌道を外れ、俺の頭蓋を砕く代わりに、俺の「縫製」が強制する軌道に従い、カラナに向かって驚いて振り向いた人間の顔面に完全に直撃した。熟したメロンが地面に落ちるような音。鼻は潰れ、歯は折れ、痛みと驚きの窒息した悲鳴。二人のならず者は四肢、血、混乱した唸り声の絡まり合いで地面に倒れ、理解できない力で不可解に絡み合っていた。


驚愕の沈黙が空地を覆い、次に爆発音が続いた:


「なんだこりゃ!?」


「ははは!バカが自滅した!」


「魔法?拘束呪文か?」


「あのドワーフ、変な魔法使いをペットにしてる!」


カラナが俺を見た。失望でも怒りでもない。驚きで見開かれた琥珀色の瞳が俺の目を捉えた。そして一言もなく、近づき、俺を抱きしめた。肋骨を砕くドワーフの力技ではなく、固く、素早く、暗黙の意味を込めた抱擁だった。一瞬、頭が俺の胸に寄り添った。その無言の抱擁には感謝、おそらく少しの誇り、そして俺の愚かさにも関わらず、俺が彼女の人間のバカだと確認する気持ちがあった。彼女は鉱石オタクや破壊兵器だけではなかった。一人の女性だった。俺の女性だ。


その瞬間を楽しむか返事をする前に、アレティシアは優しくイレーネを地面に下ろした。「道は待っている、小さな火花たち」ドライアドは謎めいた微笑みで呟いた。そして、太陽の下の霧のように、境界樹の樹皮に溶けるように消え去った。音も別れの言葉もなく。最後まで神秘的なまま。


イレーネが俺の空いた手を取り、もう一方の手はアルテミサをしっかり握った。アルテミサは魔法のようにイレーネの肩に戻り、微動だにしない。「行こう、エステル、カラナ」少女は澄んだ鈴のような声で言った。何事もなかったかのように。


地面でもだえる絡み合った愚か者たちと、驚き、恐怖、強欲が入り混じる空地へ最後の一瞥を投げ、俺たちは振り返り、エメラルドトンネルの脈動する入り口へと足を踏み入れた。 青と赤の光が俺たちを包み込み、未知の闇へと飲み込んだ。堕落した闇での真の冒険が始まった。

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