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愛の重み…と樽酒の代償

カラナが落ち着くのに、そう時間はかからなかった。

だが俺の体の痛みは、簡単には引かない。


「愛は痛い」っていうのは…比喩じゃなかった。マジで痛い。


一見すると細い腕なのに、その中身は鋼鉄のような筋肉の塊。

彼女に引きずられて、作業部屋まで運ばれた俺は、

ミスリルの粉と土属性の魔石で強化された金床を目にした。


これは、鍛冶の芸術…いや、俺の運命の墓標かもしれない。


「インベントリに入れて! 旅に持ってくから!」


……ああ、引っ越しだな。


前の世界で母が見ていたメロドラマを思い出した。

娘が荷物をまとめて、彼氏の元へ行くシーン。

その彼氏役が…俺だった。


何も聞かずに従うのが、男の務め。

裏切ったら、その金槌が俺の頭に振り下ろされる未来が見える。


カラナはでかい革の箱を持ってきて、俺に渡した。

重みで体が沈みそうになった。中に鉛でも入ってるのか?


聞かずに、ただ「俺は風、俺は平和」と心で唱えながらインベントリに収めた。


数分後、彼女は姿を現した。作業着を身にまとい、煤一つ付いていない。

ふわっと香る花の匂いが、鍛冶屋とは思えないほどだった。


「行くよ!」


俺の手を取って出発。イレーネももう片方の手を取ってくれた。

美少女二人に両手を取られて歩く俺…。

片方は静かで優しい天使、もう片方は筋肉つき爆弾。


俺の唯一の悩みは――金だった。


「なあ、商人ギルド行こうぜ。何か売れば、金になるかも…」


広場を歩きながら、バードたちの演奏が響く。

だが、俺の頭は「何を売るか」でいっぱいだった。

今や養うべきとドールが三人。金がかかる。


商人ギルドは豪華だった。

盗みなんて絶対に無理。商人たちは相手の全情報を把握するプロだ。


受付に近づくと、出迎えたのは…男?女?人形?

声は中性的で、まるで天使のよう。

聞くのが怖くなっていた時、カラナが俺の手をギュッとつねった。


(……思考を読まれた?)


「ご用件は?」


俺は両手を離し、服の中を探るフリをしつつ、あるアイテムを取り出した。


《力の手袋(特製)》

レア度:SR+

耐火性、自己修復機能付き。筋力・防御力10%アップ。


受付の子は最初、ただの装飾品と思ったようだったが、

鑑定モノクルで本当の性能を見て、目を見開いた。


「こ、これは…!このエンチャント手袋、買い取り額は…12金貨でいかがでしょう?」


…は? 金貨12枚? 嘘だろ!? でも俺は平然を装った。


「ふむ、それが最低か?」


受付が少し慌てて奥へ消え、しばらくして戻ってきた。


「18金貨まで上げられます!」


―売ります。


俺は金貨を受け取り、即座にインベントリへ保管。

イレーネが退屈そうにしていたので、カラナが抱き上げた。


……身長差がないので、子どもが子どもを抱っこしてる構図になってたが。


「よし!買い物行くぞ!」


カラナ:

「酒樽!!」


イレーネ:

「果物と石!」


みんな欲しいものがハッキリしている。

果物はすぐに買い揃えた。32銀貨ほど使ったが、トレースドインベントリなら腐らない。


「……本当に酒だけでいいのか?」


「当たり前だ!エルフは水、ドワーフは酒だ!」


はいはい。


宿屋で酒樽を購入。

「灼熱の悪魔酒」10樽、「緩やかなる死の酒」10樽。

70銀貨で済んだが、名前だけで泥酔しそうだった。


……その時、俺はある重大なことを思い出した。


「――あぁぁっ!服の材料、忘れてた!!」


イレーネの服も作らないと。俺のも。そしてカラナのも。


金は入ったが、出費も多い。

今やっと気づいた。


―俺はもっと、金が必要だ。


養う人が増え、目的も夢も増えた。

作るしかない。俺の“布魔法”で、金を稼ぐしかない。


服を作り、装備を作り、世界に名を刻むしかない。

誰もが振り向くような――


片刃の巨大なハサミの使い手として

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