アザラシゴースト
呼び出したゴーストは『無反応』タイプと同じようだった。
あちこち白骨化した外見。『交信』を使ってみたが、
やっぱり何の反応も見せなかった。
ぼんやり光っているので『陽光』を消してみた。わずかに手に影ができる。
案の定『霊感』をオフにしても見えた。
「どうやら、自分の魔力を使用しているせいで一般人にも見えるようだな・・・」
幸太郎は遊園地のアトラクションで使えるな、と無駄に喜んだ。
次にゴーストを動かしてみる。
やはり口で「あっちへ行って、それから・・・」と
伝えるとほとんど動かなかった。逆にイメージを作って流し込むようにすると
かなり複雑な動きでもできた。
「術者のイメージをトレースするほうが得意なのか・・・」
ここで幸太郎はあることを思いついた。イメージをトレースすることが得意なら
外見も変えることができるのではないか? と。
「いでよ! あざらしゴースト!」
ゴマフアザラシみたいなゴーストができた (トゥンク・・・)
いや、これは使えるよ、うん。次に幸太郎は自分の顔を作ってみた。
しかし、これはうまくいかなかった。ブラック企業の上司の顔も
作ってみたが、やっぱりうまくいかない
「なんか似てる気はするけど」程度までしか無理だった。
どうやらあまりに複雑な姿にはなれないようだ。
しばらくアザラシゴーストを動かして遊んでいたが、突然すうっと消えた。
どうやら20分ほどで与えた魔力が無くなるようだ。これは気を付けないと。
(それにしても、水しか飲んでない・・・。腹減ってきたな)
(C)雨男 2021/11/04 ALL RIGHTS RESERVED




