深夜の襲撃
「うーん。初日は緊張してたせいか、食べなくても気にならなかったけど・・・
明日は何か食べ物も探すか・・・。鑑定で食えるものが見つかるといいな。
果物とか」
幸太郎は今使える死霊術の『ペイント』も使ってみた。
どうやらこれは他人にゴーストをはっきり見せるための術らしい。
赤いゴーストや緑のゴーストも作れたがキモいだけだった。
現在使える魔法の最後は『コール・ゾンビ』だった。消費MPは5。
今の幸太郎では2体召喚したらすっからかんになる。
(どうしようかな・・・。こんな狭いシェルターで呼んでもキモいだけで
何の実験もできないかな・・・? 明日また明るいときに試すか・・・)
幸太郎はもう寝ることにした。真っ暗な中で成仏大作戦を続行してもいいが、
危険が多いだけで意味が無いように感じた。
幸太郎は現代の日本がいかに娯楽が多いかを身に染みて感じた。
この世界には何もない。
「そのうち将棋かオセロでも作るか・・・」
その夜。深夜。どん、どんという音が聞こえた。
(なんの音・・・?)と幸太郎がぼんやり考えていると、
今度はグルルルという唸り声が間近で聞こえた。
ぎょっとして幸太郎は飛び起きた。『陽光』を出すと、時計塔の隙間から野犬か
狼かが見えた。距離にしてわずか数十センチ。
どんどんという音は野犬が時計塔の壁に体当たりしていた音だった。
時計塔がびくともしないので、振動は全くなくて、音だけが聞こえていたのだ。
幸太郎は時計塔のバグに感謝した。なかったら死んでた。そして、復活しても
再び食われて死んでいただろう。
あやうく前任者の最短記録を更新するところだった。
「しかしこれ・・・朝になって引き上げるという保証はないよね・・・」
(C)雨男 2021/11/04 ALL RIGHTS RESERVED




