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異世界徒然行脚 『Isekai Walking~nothing else to do~』  作者: 雨男
ネクロマンサーと城塞都市カーレ 6
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意外な正体 5


 『デーモン』、そして5体の『闇の落とし仔』は全滅した。



時間的には戦闘開始から3分もかかっていないが、



幸太郎には長い戦いに感じた。



なにしろ『冥界門』を封じられたのは



初めてだったから。



そうだ、幸太郎は『追い込まれた』のだ。





幸太郎は、戦いが終わった後も、しばらく



『デーモン』や『闇の落とし仔』を見続けた。





「ご主人様、怪物はまだ生きてるのですか?」





「いや・・・そういうわけじゃない。


念のため『鑑定』しているだけさ・・・。


確かにHPはゼロで、再生もしない。


二コラみたいな『不死身』ってわけじゃないな。


ただ、ちょっと自分の不安が消えなかったんだ。


『冥界門』を知ってる敵は初めてだったからさ・・・。


まだ何か用意してあるんじゃないかって疑ってた」





「幸太郎サン、こいつら『ロストラエル』って


言ってなかった?」





「うん、確かに言ってた。どうやらコイツらは


『ロストラエルの信者』のようだ。


残念ながら『鑑定』しても表示されないのが痛い」





考えてみれば当然の話だ。



今まで幸太郎が『鑑定』を使用しても、



『○○教の信者』などという表記は



一度も無かった。



例えばジャンジャックとグレゴリオは



『ワダツミ様』を信仰しているが、『鑑定』しても



そんなことは表示されない。



『聖騎士』だって



オーガス教なのか、リーブラ教なのかは、



話してみないとわからないのだ。



まあ、今は『ジーウェイと同じローブ』なら



オーガス教と区別がつくのであるが。





「ねー、幸太郎さん、ロストラエルの信者って、


全員変身できるってコト?」





「いや、変身ってわけじゃないよ。ほら、元の人間の


一部は干からびてるけど、そのままくっついてるだろ?


それに、全員が『デーモン』にはならなかった。


いや、『なれなかった』んだ。


俺たちにはわからないけど、


何か『条件』があって、それを満たしていないと


『デーモン』にはなれないんだろう。


全員『デーモン』になってたら、


俺たち死んでたかもな」





「いやいや、死にはしないっしょ。


モコの『サイコソード』とエンリイの『如意棒』って


スゴイじゃん!


クラリッサとアーデルハイドの鎧と盾も


『デーモン』の攻撃をものともしないし?」





『でも、さすがに数が増えると防御が・・・』と



言ったところで1つ思い出して、



幸太郎はクラリッサとアーデルハイドを見た。





「あ、いかんいかん。ごめん、後回しになって」





幸太郎はクラリッサとアーデルハイドが返り血で



汚れていることを忘れていた。



『闇の落とし仔』が投げた



ノーダルのパーティーメンバーを



ブロックしたせいだ。





「はい、お待たせ、クラリッサ」





幸太郎は頭から順番に『洗浄』をかけていく。



胸、腰、つま先まで、丁寧に。



もちろん、鎧や盾もきれいにする。





「あ、ありがと、コウタロウ・・・」





幸太郎が自分の全身をきれいにしてくれることに、



クラリッサは不思議な幸せを感じていた。



胸の奥がしびれるように温かくなるのを感じる。





「はい、次はアーデルハイドね」





幸太郎は姉と同じように、アーデルハイドも



頭から順番にきれいにしてゆく。





「あ、あ、あり、がとう・・・」





アーデルハイドも胸の奥がジーンと温かくなるような



不思議な幸せを感じた。





そして幸太郎は2人に『陽光の癒し』をかけ、



体の痛めた部分を治す・・・つもりだったのだが、



『まったく手ごたえが無い』・・・。



飛んでくる死体をブロックし、『大火球』などを防ぎ



『デーモン』のパンチを受け止めたというのに、



2人とも『まったく、体のどこも痛めていない』のだ。





(う、うそだろ・・・。


俺なら骨折か脱臼してるはずなのに。


無傷・・・まったくの無傷だって???


関節のねんざもしてない!?


なんてデタラメな頑丈さだ!


これは鎧のおかげか、ハーフドワーフの力なのか・・・)





幸太郎はクラリッサとアーデルハイドが仲間になって、



本当に良かったと思った。



幸太郎なら最初の飛んでくる死体を



受けきれずに吹っ飛んでいただろう。



そのまま死んでた可能性すらある。





「すごいな、2人とも完全に無傷だよ。


クラリッサ、アーデルハイド、本当にありがとう。


2人がいてくれて、本当に助かるよ。


俺じゃ、あの攻撃は絶対に受け止めきれなかった」





クラリッサは、照れたように微笑むと、



感謝を返してきた。





「お礼を言うのはこっちだよ。


かーちゃんの形見の人形を助けてもらって、


あたいたちの代わりに怒ってくれたとき、


泣きそうなほど嬉しかったよ。


『ああ、世の中には、こんな素敵な男もいるんだ』って


感動した・・・」





そう言うと、クラリッサは幸太郎を正面から抱きしめる。



そして、そっと自分の頬を幸太郎の頬に当てて、



『チークキス』をした。





幸太郎が赤くなって黙り込んだ。どうしたらいいのか、



頭がパンクして、何も思いつかないのだ。



幸太郎は女に対して免疫が無い。





「こ、コウタロウさん、わ、私から、も、ありがとう」





さらにアーデルハイドが後ろから、



幸太郎をギュッと抱きしめ、



『チークキス』をした。



まあ、アーデルハイドはの頬は



幸太郎の耳に当たっているが、どちらにせよ



幸太郎は真っ赤になって、頭がパンクしている。





しかし、この状態は幸太郎にとって



『うらやましい』状態ではなく、



本当に『ピンチ』だった。





なにしろ体のボリュームがすごいクラリッサと



アーデルハイドなのだが、



2人そろって『アルカ・オオカブトムシの鎧』を装着している。





『アルカ・オオカブトムシの外骨格』は鉄より硬いのだ・・・。





その通り。



幸太郎は今『鉄板でプレス』されているようなもの。



さらにクラリッサとアーデルハイドの腕力は、



幸太郎を子ども扱いできるほど。





真っ赤だった幸太郎は、次第に真っ青になっていった。





「あ! 2人とも、ちょっとストップ!


ご主人様、息ができないみたい!」





「え? ええ!? あ、ご、ごめん!」





クラリッサとアーデルハイドは、慌てて幸太郎から離れた。



幸太郎は『ぶはっ』と息をつくと、目をまわして、



その場にへたり込んだ。





「だ、大丈夫かい?」





「ご、ごめんね、コウタロウさん!」





「だ、だい、じょぶ、へいき、だよ」





幸太郎は真っ赤になって、目をまわしている。



息はできるようになったが、美女2人に挟まれて



チークキスは、ちょっと刺激が強かった。





「ねーねー、幸太郎さん、私たちもやってよー」





「うん、お願いー」





今度はエーリッタとユーライカが、『洗浄』と



『陽光の癒し』をせがんできた。





「ふう、ふう、了解。エーリッタとユーライカの


援護射撃も素晴らしいものだった。


あれだけの数の怪物が、


ずっと後手後手にまわっていたのは、


間違いなく2人の弓のおかげだ。ありがとう。


特に『デーモン』が逃げるのを阻止できたのは、


2人の弓が無くては不可能だった」





「どーいたしまして! えっへん!」





「エルフの弓、侮れないでしょ? あははは」





そして幸太郎はエーリッタとユーライカにも



『洗浄』を頭からつま先まで、丁寧にかけてゆく。



怪我はしてないはずだが、念のため『陽光の癒し』も



腕を中心にかけておく。



もちろん手ごたえはない。





「えへへー。ありがと!」





「私もー」





今度はエーリッタとユーライカが



幸太郎の首に腕をまわして抱き着いてきた。



そして、やっぱり『チークキス』。



エルフの2人は華奢だが、その分、全身がぴったりと



幸太郎に密着する。





「ふふっ、幸太郎さんの鼓動を感じる」





「幸太郎さん、どきどきしてる?」





(してるに、き、きき決まってるぅう!!)





やっぱり幸太郎の頭はパンク。



真っ赤になってゆでだこみたいになり、



最後は足に力が入らなくなり、またもへたり込んだ。



なさけねー。





「はい、最後は私たちですよ、ご主人様」





「うんうん。ボクたちも頑張ったからね!」





うまく考えられない幸太郎は、まだ赤い顔で、



モコとエンリイに『洗浄』をかけた。





(ん? んん? 2人はやきもちを焼かないのかな・・・?)





幸太郎は、ぼんやりとそんなことを考えたが、



どうにも頭がうまく回らない。





そして、やっぱり2人とも『チークキス』をした。



背の低いモコは『ぴょん』とジャンプして



幸太郎の首に腕を回す。



幸太郎はモコを抱っこせざるを得ない。



エンリイは190センチもあるので、少し屈んで



モコごと抱きしめてチークキス。





さらに、モコとエンリイは、そのままほっぺを



『すりすり』と猫のように摺り寄せた。





「あー! それちょっとズルくない?」





「そうだ! 今度はあたいも、


ちゃんと服を脱いでやるからさ!


もう一回!」





「ちょ、ちょっと! 服じゃなくて鎧でしょ、クラリッサ!!」





「わ、私たちも、も、も、もう一度・・・」





そこで、モコ、エーリッタ、ユーライカが



『ビクッ』と震えると、背後・・・



『デーモン』の死体の方へ鋭く振り返った。



雰囲気が一気に変わる。



幸太郎から離れて臨戦態勢に入った。





「誰!?」





モコが声をかける先に、



1人の女性が背を向けて立っていた。



先ほどまでいなかった。それは間違いない。



聴力に優れたモコ、エーリッタ、ユーライカが、



これほどまでに無防備に



接近を許すはずがないのだ。



その女は幸太郎たちに特に関心はないようで、



『デーモン』の死体の首を掴むと、



何かを引っ張り出すような動作をした。





(まさか!?)





幸太郎は急いで『霊感』を使う。



すると、その女性が気味の悪い、歪んだ、



複数の魂がねじれて半分溶けあっているような



魂を掴んでいるのが見えた。





その女性が、ゆっくりと幸太郎たちの方へ振り返る。



美しい女性だが、



目を見ただけで全員の背筋が冷たくなった。



禍々しい目だ。





そして、その禍々しさを裏付けるように、



幸太郎の『鑑定』は1つの事実を告げる。








『鑑定不能』






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― 新着の感想 ―
羨ましいからいきなりのヤバそうなのが・・・ でもやっぱり羨ましい
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