Qurea 1-2
「TSTバタフライ、4名全員そろいましたっ!」
女の子特有の甲高い声が部屋に響く。
そして一瞬だが、グリーンの顔が綻んだのが見えた。
この上司は俗に言うロリコンであるのは兵士達の間で知られている事実であった。
ーー先頭に、俺より一回り小さい女の子……名前は、リリス……だったか、まだ成人していないはずだーー
後ろには、リリスと同じチームに所属する女性が3人。
この国の特殊部隊で唯一の女性兵のみで構成されたチームの「TSTバタフライ」である。
「全員揃ったな、こちらに来てくれ」
グリーンが手招きし、4人はレイラン達の横に並んだ。
グリーンはコーヒーを飲み干し、言った。
「レイラン達には既に言ったが、お前たちには敵拠点を掃討してもらう任務がある。昨日マッドオプスが先に敵地に潜入し、ある程度の拠点は制圧し、情報も手に入れた。次はは残党狩りだ」
「あ、あの……」
リリスが弱々しく手を挙げた。部屋に入って来た時の迫力がまるで嘘のようだ。
「きょ、拠点の大きさはどれくらいなのでしょうか……? 」
「ああ、敵拠点の規模は大きいものが2ヶ所、1日以内で済ませて来てくれ」
「それは……さすがに1チームでは難しいですね……。 わかりました……」
リリスはゆっくりと頼りなさそうに頷いた。
グリーンは一瞬顔色を曇らせたが、すぐに元の顔に戻った。
「現場の総指揮はレイランがとるように、わかったか?」
「了解です」
「よし、出撃は今日の夕暮れ時だ。 失敗は許されない、よく準備しておくようにな。 解散」
グリーンはそう全員に告げると部屋に8人を残し奥の私室へと戻って行った。
「そういうわけだ、とりあえずバラけて夜の準備に取り掛かろう」
レイランの一言で、全員はそれぞれ準備をするために自室へと戻って行った。
廊下をコツコツと歩いて自室へと戻るリリスに、アドミックが話しかけた。
「よぉリリス。久しぶりだな、元気にしてたか?」
リリスはいきなり話しかけられて一瞬驚いた表情をしたが、それがアドミックだとわかったと同時に、その表情は友人と話すような穏やかな表情へと変わった。
2人は子供の頃からの幼馴染である。
「うん、私は大丈夫だよ。ありがとう」
リリスは微笑みながらそう言った。
「ったく、あの上司の人使いの荒さにはもうお手上げだな、リリス達も、任務から帰ってきたばかりなんだろ?」
アドミックは不満そうな表情を浮かべながらそう愚痴をこぼした。
「うん……。 でも、たぶん大事な任務なんだよ、頑張ろう?」
リリスも口ではそう言っているが、相当疲れているようであまり顔色が良くない。
昨日はバタフライも任務にあたっていて、ここに戻ってきたのは今日の日の出辺りであった。
そこから戦況報告、装備のメンテナンスと一睡もせずにこの場に来ているために、目は少し腫れぼったくなっている。
「まぁな。 それにしてもリリス、ヒドい顔してるぞ。 少し眠った方が良いんじゃないか? 時間が来たら起こしに来てやるからさ」
「うん、そうする。ありがとうアドミック。また後でね」
女兵棟と分かれる突き当たりで2人は別れた。
正午過ぎの食堂、レイランとバイパーが食事を取っていた。
司令室でミーティングをしていたレイランたちにとっては遅めの朝食、もしくは昼食ともいうべきか。
MDF軍ーーミレニアム民主連邦軍の駐屯地キュレアは、戦争の渦中にいるが食糧や物資は十分供給できていて、食事はビュッフェ形式を取っている。
レイランはカレーピラフとハンバーグ、小皿一杯のサラダにコンソメスープにミルクという、バランスの良い献立である一方、バイパーは大皿いっぱいにフライドチキン、ハンバーグ、フライドポテト、ミートボールと、なんともパワーのつきそうなメニューであった。
「なぁレイラン、ちょっといいか」
バイパーが口いっぱいに詰め込んだポテトを豪快に飲み込んで言った。
「どうしたんだ」
「さっき、司令室から部屋に戻る時にさ、アドミックがリリスと一緒にいたの見たか?」
「ああ、見たけどそれがどうした」
レイランはハンバーグにナイフを入れ、口へと運んだ。
「俺が思うに、あいつら絶対ヤッてると思うんだよ」
レイランは盛大にむせた。ミルクかコンソメスープを口に含んでいれば、バイパーの顔面に確実にぶちまけていただろう。
「おいおい、汚ねえな」
「げほっ、げほっ…、お前のせいだろ今は! 食事中に何言ってるんだよ!」
レイランはミルクを飲んで喉を落ち着かせる。
「ははっ、ワリィな。だとしてもお前もそう思うだろ?」
バイパーは笑いながらレイランに指さした。
「ふぅ……。 まぁ、あの2人は幼馴染だろ? そんな関係になってもおかしくはないと思うぞ」
レイランが汚れた口の周りをテーブルナプキンで拭きながら言った。
「というか、バイパーはそれを聞いて何か得することでもあるのか?」
バイパーは坊主頭を爪で引っ掻いた。
「いやあ、特に意味はないがな、仲間のプライベートってのも気になるもんだろ?」
「まぁ、気持ちはわかるが……」
バイパーはそうだろと言いながら頷き、席を立った。
大皿に乗っていた食べ物はすでになくなっていた。
「お前もう食べ終わったのかよ、早いな」
「まあな、俺はまだまだ食えるぞ」
自慢気にそう言ったバイパーは皿を手に取ると料理の置いてあるテーブルへと向かった。
「…………」
レイランは呆れた顔をした後食事を再開した。
すいませんでした(ー ー;)
かなり時間が空いてしまいました……
これから本当にしっかりやっていきたいと思います…




