Prologue
また苦しい夜がやって来た。
ここに連れされてからどのぐらいの時間が過ぎただろうか。
数日?数ヶ月?もう1,2年過ぎたのかもしれない。
ここでの生活の苦痛からか、時間の感覚さえ麻痺してしまったようだ。
過酷な環境の中での生活。
掌は赤く痺れて冷えきっている。
足はここに来て早々に感覚が無くなっていた。
十分な食事も出来ず、指を噛みながら眠りについた事もあった。
それでも、まだ生きている自分がいる。
それは、最愛の家族の存在があったからだった。
愛する妻と一人娘と過ごした日々の記憶が、
今までのたれ死なずにすんだ理由である。
まだ2人が生きている事を信じて、ここまで生きてきた。
あんな別れ方をして死ぬ事は出来ない。
いつか再会して、幸せに暮らして生涯を終えるのだ。
男は、次のページから白紙だとわかると、静かにその手記を閉じ、机に置いた。
その手記の表紙には、家族が公園で撮ったであろう写真が貼られている。
男はその写真を見つめ、目を閉じた。
「人間は醜い生き物だろう?」
男は静かにそう言い放ち、薄暗い部屋から出て行った。
戦場を扱っているということでもちろん、残酷な描写も出てくると思います。極力避けたいとは思いますが、表現としてご了承ください。
また、小説内に出てきた兵器などがどういうものなのか、理解して頂けるとさらに楽しむことが出来ると思うので、後書きに簡単ですが兵器の説明文を記載したいと思います。




