君がそばにいるだけで
あの日から、立ち直れなかった。
だって、私にとって初めてのキスだよ⁉
でも、私はもう高校生だし、このぐらい当たり前だと思う。
キス・・・聞くだけで恥ずかしくなる。
「あ、海斗〜」
私以外に海斗を名前で呼ぶ人物がいた。
「ん?ああ、柚李愛か。どうしたんだ?」
「今日ねー、駅前に新しいケーキ屋さんがオープンしたんだって!帰り寄らない⁇」
「あー・・・ムリ。俺、彼女いるから。そいつと2人ならいいけどさ、柚李愛と2人だとそいつが嫉妬しちゃうかもしれないからさ。ごめんな。」
「だーれー?その子⁇きーにーなーるー。」
「おまえの先輩。俺と同じクラス。名前は・・・」
や・・・やめ・・・
「やめてっ‼もうそれ以上話さないで‼」
その言葉を発した時、私は我にかえった。
「り、鈴音ちゃん⁉いたの⁉」
「あ、赤池先輩‼・・・が海斗の彼女⁇」
「そう。」
「そっかー、なら安心した。」
「え?」
「だって〜、赤池先輩、超可愛いしさ。海斗がいじりがいありそうって言ってたの分かる気がする。」
「か、海斗ぉ〜⁉」
「あ、いや、その・・・ごめん。ホントにそう思ってて」
「もう付き合わない‼」
「ご、ごめん‼鈴音‼」
「・・・許す。」
「は、早っ‼立ち直るの早っ‼」
ツッコミ上手いね。柚李愛ちゃん。
「ところでぇ〜、海斗と赤池先輩はチューしちゃったの〜⁇」
「え、ち、違うってば‼なんで、私が海斗なんかと‼」
「したよ。」
「ち、ちょっと‼な、何言ってんの⁉してないからねっ‼」
「ほぉー・・・図星ですかぁ〜。それに比べて海斗は正直でいいね〜」
「したけど、何か⁇」
「え、えーと・・・。あ、先輩、感触はどうでしたか?」
「・・・や、柔くて・・・き、気持ちよかった・・・・・・。ばっ‼何言わせてんの‼柚李愛ちゃん‼」
「先輩、顔赤いです。」
「だ、だからこれはぁ〜‼」
あのあと、私の赤面は止まらなかった。
いきなりキスの感触とか、ありえないし。
「ね、鈴音。」
「な、何よ。海斗。」
「もっかい、ちゃんとキス・・・しよっか。いやなら、いやでいいよ。」
「す、する。海斗とキス・・・したい。」
「だんだん、素直になったね。鈴音」
「は、はぁ⁉そ、そんなことどうだっていいじゃない‼と、とにかく早くしようよ。キ、キス・・・」
「うん。じゃあ、いくよ。」
「うん。」
ふわり。
その時またあの時と同じ感触がした。
海斗のキスは、ホントに柔くて・・・、気持ちいい。
「鈴音。」
「ん?」
「俺さ、鈴音がそばにいるだけでスゴく幸せなんだ。」
「私も・・・そう思う。 海斗がそばにいるだけでスゴく幸せ。」
「そっか・・・。て、手つないでみる⁇」
「うん。」
春、夏、秋、冬。
全ての季節が過ぎようとしている。
私達の季節も過ぎようとしている。
海斗といるだけでスゴく幸せ。
海斗も私といるだけでスゴく幸せと言っていた。
そして、私達は両思いになった。
君がそばにいるだけで。
そんな言葉を聞くだけでスゴく幸せになる。
恋なんて、簡単にできるようなモノじゃない。
私は、海斗とこれからの道を歩んでいこう。




