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第1話 特定外来生物、はじめました☆

毎日6時10分更新中です☆

「あらら〜、やっちゃいました〜♡」


 真っ白な空間で、その女神様はおっとりと、温かいお茶をすすりながら、頬に手を当てていた。


「本当はそちらの、【本命の勇者様】だけを異世界に転生させる予定だったんですけどぉ……」


「私、おっちょこちょいなので、近くにいた【あなた】も一緒に巻き込んで送っちゃうことになりましたぁ。うっかりです〜♡ てへぺろっ♡」


 この、イラッとする女神様が、のほほんと指し示した隣には、神々しい後光を背負った金髪の超絶イケメンが、俺こそが主人公と言わんばかりのドヤ顔で立っていた。


 対する私は、不運な事故で死んだばかりの一般女子高生……だったと思う。


 いや、だって、ダーウィン先生を「唯一無二の推し」と崇め奉った、筋金入りの生物オタクの記憶しかないんだもの!


 推し生物は「アノマロカリス」!


 え? 推しポイント? 聞いてくれます?


 そりゃあ、三葉虫サンヨウチュウの殻をバリバリに砕くあの前部付属肢がガチで尊くて〜。カンブリア紀の頂点に君臨する捕食者としての完成された生態系が——って。


 そうじゃなくって!


 うっかりで巻き込んでいいレベルじゃないんですけど!?


 マジでどういうこと!?


 突っ込もうとした瞬間、女神様の後ろに巨大なステータスボードが浮かんだ。


 それは、不吉な赤色に点滅し、喧しく警告音を鳴らし始めた。


 女神様は困ったように眉を八の字に下げる。


「あ、でも困りましたねぇ……。この異世界のシステムってとっても厳しくってぇ~」


 あざとく首を傾げる女神様の口から、とんでもない言葉が飛び出した。


「事前に登録のない異物——いわゆる『特定外来生物』は、自動的に【排除すべきシステムエラー】として検知しちゃうんです。」


 ん……?

 特定外来生物って、 在来種の生態系を脅かすからって、問答無用で駆除対象になるアレだよね。


「ですから、【あなた】は『特定外来生物』なんですぅ~」


 は? 私が?


「それからぁ~、『システムによる初期保護』……レベルとか、スキルボードとか、チート魔法なんかは、ぜ~んぶエラーで適用されませ~ん」


 え? 待って待って。


「転生先も自動的に、システムが及ばない最底辺の『カンブリア・ダンジョン最下層の水たまり』になっちゃいます」


 ちょっと、話聞いて!


「生存確率は……うふふ♡ システム計算だと『0%』ですねぇ。」


 0%って、ガチで詰んでるじゃん!


「システムは及びませんが、必ず速やかに自然淘汰されちゃいます〜。本当にごめんなさい〜♡」


 おっとりした声のまま、とんでもない死刑宣告をぶちかましてくるポンコツ女神。


 直後、システムエラーと判定された私の魂の前に、ジェットコースターが出現した。


「ええじゃないか♪ ええじゃないか♪」


 ポンコツ女神が、私の魂を、ぐわしっ!とつかむと、強引にジェットコースターへ押し込んだ。


 ちょっと! 嘘、待って! 私、体育の成績ずっと2だし絶叫系とかホント無理ゲーで……っ!


 ジェットコースターが急発進する。


 その速度は……体感10G。地球の重力の10倍である。


 そのまま、真っ暗なくら深淵しんえんへと猛スピードで急落下していった。

 

 内臓ふわってなるやつ!


 無理無りむりむりむりいィィィィィ!!!!


 落下していく暗闇の中、私の中のダーウィン先生が覚醒した。


 レベル? スキル? そんなシステム知らんし!  限界オタクなめんな!


 奈落の底に向けて、私は魂の咆哮を叩きつける。


 自然淘汰、上等!!


 私は私の『進化論』で、あんたらの作った甘ったれた生態系システムごと、バッキバキに喰らい尽くして上書き(アップデート)してやるんだからァァァ!!

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