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落ち着く香りのブランケット

「ウミちゃん、少し良いかな?ウミちゃん?」


ゆさゆさと揺らされ、何事かと思い、重たい瞼を開けた。


「ココラスさん?」

「うんそうだよ、ごめんね?いきなり起こしちゃって」


本当に申し訳なさそうな顔でウミに言ってくる。

ウミはアウトドアベッドから離れて、大丈夫ですと言った。


「さっきノアさんが来てこれを渡しておいて欲しいって言われたの」


ココラスがポケットから出したのは、折りたたまれた紙とミサンガらしき物だった。

ウミは不思議ながらにそれを受け取った。


「じゃあ私は用事があるから、何かあったら相談してね。」


ココラスはテントを出て行った。

ミサンガは取り敢えず置いておいて、折り畳まれている紙を慎重に元に戻していく。


なんとか1枚の紙に戻す事が出来た。


『そのミサンガ、戦争の時だけでもいいから付けといて。

手首じゃなくて足首にね。

石を内くるぶし辺りにやっといてね、絶対に。

任務の時は危険そうな任務から付けていくといいよ、御守りみたいなモノだからさ。』


日本語で書かれていた。

少し下手……拙い字だと思った、書きなれて居なさそうな字だと。


手紙を置いて、ミサンガの方を手に取った。

薄い桃色と薄い紫色が編み込まれていて小さな石か宝石かがあるミサンガを。


(足首に………)


此方で制服と一緒に貰った靴を脱いで、此方に持って来た黒の靴下を少し下げた。


ミサンガを付けた。

端と端を結んだ、あまり解けないように少しきつく。

書いていた通りの場所かは分からないが、多分其処だろうという所に石をやっておいた。


「これで、いいのかな……」


少し立ってジャンプをしたが、違和感はあっても外れる気配はなかった。

触ると其処だけ少し出ていたが黒の靴下なので分かりにくいだろう。


外は静かだった。

少しテントの外を覗いてみたが、まだ他の人達は来ていないらしく静かだ。


アウトドアベッドにウミは脚以外を預ける。


(寝たくないな〜………)


寝てしまったら時間が進んでしまう。

戦争が始まってしまう。

戦争が始まったら…殺さないといけない。


(もう2人は殺したのに…大人数はまだ厳しいのかな?)


手をグッパーする。

2人…紫タンクトップと藍色タンクトップを着ていた男達を殺した感覚が微かにある。

微かに………だ。


(“普通の人”だったら…まだ感覚が鮮明にあるんだろな〜)


目を瞑った。

あの時の光景が脳裏に現れる。

だがそれらは少し曖昧で、欠けている部分が多い。


覚えているのは…久しぶりに恐怖の眼差しを向けられた事だ。

その顔ですらもちゃんとは思い出せない。


(記憶力、高くなくて良かった…………。)


ウミは起き上がって体重だけをアウトドアベッドに預けたまま明るい方を見る。


(ランタンの灯り、付けていた方がいいかな。

けど…無駄使い?)


ランタン…時代劇などに出てきそうな昔ながらの少しロマンチックでかっこいいランタンだ。


(消し方分かんないな……じゃあいいかな)


今のランタンでも電源のオンオフとかではないのならウミは無理だし、昔のランタンなんて消し方が分かる筈がない。


(大丈夫、だよね…………)


ウミはランタンから目を背けた。

靴を脱いでアウトドアベッドに横になった。

アウトドアベッドの上に畳んで置いてあったブランケットを掛けた。


家から持って来たブランケットの匂いは実に落ち着いた。

まだ1年と少ししか使っていないが家の匂いが染み付いて、手触りも最高だ。


(落ち着く……。)


此処に持って来る事に躊躇いがあったが、持って来て良かったと今なら思える。


落ち着いたら、少し眠たくなって来た。


時間は来て欲しくないし寝たくもないが、何も考えたくないという気持ちがあった。

だからそのちょっとした眠気に無理に抗わなかった。


ブランケットを頭まで被り、出ようとする足を丸めて無理矢理ブランケット内に入れた………。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

次の話をじっくり練るため、1ヶ月ほど執筆期間としてお休みをいただきます。

再開は8月中旬か下旬頃を予定しています。

具体的な更新曜日が決まりましたら、その時に「活動報告」にてお知らせします!

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