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異世界はバーゲンブルグから・・・  作者: J.Plum
第三章
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晩餐会

 この貿易の再開というのは思っていたより大層なことであったらしい。

 大陸を跨いでの貿易というのはこの世界ではここだけで他の国々では戦争で海を渡ることがあっても取引で渡るということがなく、物資は大陸内でのみ消費されるというのが当たり前となっていた。

 相手国のナナトーナ国は獣人国で獣人や魚人がその国の大半を占めているものの、常に侵略の恐怖に耐えながら生活をしていた。

 そんな状況を憂いた現国王は数人のお供を連れ船に乗り獣人国へ行き取引を密にする、バーゲンブルグ国に取って大切な国であると全世界に公言した。

 これはつまりナナトーナ国はバーゲンブルグ国の庇護下に入ったということになり、仮に他国がナナトーナ国に攻め入った時バーゲンブルグも出てくるぞという抑止力になっていたそうである。

 ただここ数年、クラーケンの台頭により貿易が途絶え、何度もナナトーナからバーゲンブルグへ向かう船はあれど帰ることはなかったとのこと。

 情報操作により貿易は継続しているという事にはなっているが、実際には出来ておらずいつ他国が攻め入ってもおかしくない状況となっていた。

 今回タケル達の行動により貿易が再開され、流通が始まると情報操作をする必要はなく、両国に利が生まれるそうであった。タケルはたまたまではあるが王様のためになれたのなら良かったと話した。


 そして、ここは公爵邸で晩餐会に呼ばれ、食事をいただいている。


 が、非常に複雑な状況となっていた。

「たける男爵、食べてはいるかな」

「はい、いただいてます」

「そうか、話は食事した後であればいつでも、いやいつまででも大丈夫だからな」

「はぁ…」

 今は晩餐会の真っ只中ではあるものの非常に苦しい立場となってしまっていた。

 要因はもちろんジョセとの婚姻だ。先ほど港での偶然の再会で燃え上がってしまったジョセだが、晩餐会に呼んでみれば隣に美女を侍らせてると勘違いされ、浮気だ浮気だと騒ぎ立てられ今に至る。

 公爵としても自分の娘が無碍にされたのではと貿易を再開してくれた感謝で揺れており、どっちつかずの顔で応対していた。


 ここで実は俺は策を用意していた。

 実はアヤに恋人のフリをして欲しいと頼んでいる。俺らは今後異世界に帰るのが目標となり残ることはない。ここで結婚してしまえば必ず傷付ける。だからその一環としてお願いしたわけだ。

 渋々ではあったが認めてくれたので後は説明するだけだ。


「公爵様よろしいですか?まず隣の女性はアヤと申しまして私の恋人です」

「にゃにゃ?!そうにゃの?!」

「ごめん、ナナミン黙ってて」

「ごめんにゃ」

「ジョセフィーヌ嬢について無碍にするつもりもありませんし、前回はお子さんを泣き止ませるつもりで軽々しく話をしてしまい大変申し訳ございませんでした。ただ、私と彼女は現在前の世界に帰るために行動をしており、戻った際には共に暮らそうとも約束しています」

「えっ?!あっすいません…」

「こちらの結婚観と僕らの育った世界の結婚観にズレが出てしまっていたのが原因だと思います。今後もう会うなと言われればジョセフィーヌ嬢には会うことはないですし、顔も見たくないと言われればすぐ消えます。だから、関係性をフラットに戻させてもらえませんでしょうか?」


 そう話をすると、公爵は考え込むように黙りそして話し出した。

「なるほど、内容は理解しました。ジョセについても無碍にしたわけではないのもわかりました。ただあの子に理解して貰えるか…」

「はい、結婚観が違うとはいえ年齢の問題で話をわかって貰えるかは不安です」

「うーん…ちなみにアヤ殿はタケル男爵のどのようなとこが好きなんですか?」

「えっ??いや、えーっと…優しいとこですとか面倒見のいいとこですかね。あと鈍感なとことかも私は好きですね。あとは…」

「ごめん、アヤ…俺恥ずかしい…」

「あっ私何言ってるんだろ…」

「初々しいですな!妻との出会いを思い出します。アヤ殿はお強いんですか?」

「私は強いのですかね?」

「いやアヤは強い。何しろ位階10の魔術を二属性使えますからね!」

「誠ですか??」

「ええ、まぁ使えるわね!」

「それであれば可能性はありますな。実は我が領内で不穏な動きがありましてな」


 聞くと近くの森に巨人が出たとの話があり、討伐に向かった騎士やら冒険者やらが軒並み行方不明となっており困っている。

 それを討伐しその過程を見せることでアヤが伴侶に相応しいと思わせるというのはどうだろうかと話した。


「なるほど、作戦は理解しました。ただ傷つけませんかね?」

「傷は付くだろうが問題ない。本人が引いてくれれば良いだけなんだから」

「なるほど。わかりました。じゃアヤ共に頑張ろう!」


「待つのにゃ!」

「なんだナナミン?」

「あたしの力を借りたくば頭を下げるにゃ」

「うん、待っててくれ!よし、行くぞ!」


「待つのにゃ!!」

「今度はなんだ?」

「あたしの力を借りたくば…」

「だからいいよ!危ないから!待っててくれよ!」

「連れてって欲しいにゃ!頼むにゃ!なんのためにこっちにきたかわからんにゃ!後生だから…」

「あーわかったよ」

「だから頭を下げて欲しいにゃ」

「ナナミンさん、不安だから付いてきて貰えませんか?」

「仕方にゃいにゃ、良きに計らうにゃ!」


 ということで新たな巨人討伐となるのだった。

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