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暗黒竜王レベル1に転生 いずれ神も魔王も超えて最強の座に君臨する  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第6章 魔導王

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7 迎え撃つもの

「もちろん。あんたの頼みなら、断る理由がないわよ」


 マルグリットがにっこりと笑った。

 ギュッとアーバインの手を握り、まっすぐに見つめてくる。


「ありがとう、マルグリット」

「やだなぁ、お礼なんて……なんなら、感謝のキスとかしてくれても」

「俺もいくぞ、アーバイン」


 マルグリットの言葉を遮り、ダリルが言った。


「ちょっとダリル! 今、あたしがアプローチ中……」

「ありがとう、ダリル」


 二人のやり取りに苦笑しつつ、アーバインが言った。


「もうっ、せっかくアーバインといい雰囲気になりかけたのに……」


 マルグリットが拗ねたように口を尖らせる。


「なってたか? いい雰囲気?」

「なってたわよっ!」

「ま、まあまあ……」


 また衝突するマルグリットとダリルを、アーバインがなだめた。


 まあ、マルグリットの『いい雰囲気になりかけた』うんぬんは冗談だろう。

 ……きっと。


「私は当然、ついていきます」


 最後にエルクが告げる。


「ありがとう、エルク」


 アーバインはあらためて三人に一礼した。


「それと──可能なら他のメンバーにも応援を頼みたい」


 勇者パーティは本来アーバインを含めて七人編成である。

 暗黒竜王討伐の際には全員の招集が間に合わず、彼ら四人だけでやって来たわけだが──。


「できれば、フルメンバーで臨みたい。今までにない強敵だからな」

「ならば、私から連絡を取りましょう」


 と、エルク。


「召喚士ヴァイ、付与術士イレーヌ、そして魔法剣士ラース……一人でも連絡がつけばよいのですが」

「全員、各地で『世界の敵』の残党と戦っているからな」


 アーバインはため息をついた。


 勇者パーティはたったの七人。

 それに比べて『世界の敵』は多すぎる。


「特にラースの力は絶対に必要だ。なんとか呼び寄せたい」


 パーティ内でアーバインと同等以上の戦闘能力を誇る、魔法剣士ラース。

 彼が味方にいれば、これほど心強いことはない。


「戦力が整い次第、暗黒竜王と魔導王の元へ行こう」


 アーバインが力強く告げた。


「世界の命運をかけた決戦だ」


     ※


 SIDE 魔導王


「奴が──来る」


 玉座で瞑想していた魔導王はカッと目を見開いた。


『魔導王様、どうかなさったの~?』


 かたわらにいた女性型モンスター『聖蛇姫(せいじゃき)』が訝しげに彼を見つめる。

 外見は十代半ばの可憐な少女といった趣だ。

 ただしその髪は無数の蛇。


 少女は、石化魔女(メデューサ)をベースとして魔導王が生み出した側近モンスターなのだ。


「暗黒竜王だ……強大な【闇】の気配がこの城に向かっている」


 魔導王がうなった。


「奴は、以前よりもかなり力を増しているようだ。対して、こちらは神樹伯爵、機甲巨人、天翼覇竜を失い、残る側近はお前だけだ」

『ご安心を~。たかがドラゴン一体でしょ。あたしが王をお守りしますよ』

「いや、奴は決して侮ってよい存在ではない。それに──可能な限り生け捕りにしたい」


『聖蛇姫』をたしなめる魔導王。


「この城のすべての戦力を注ぎこみ、奴を止める。お前にも働いてもらうぞ、『聖蛇姫』」

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