7 迎え撃つもの
「もちろん。あんたの頼みなら、断る理由がないわよ」
マルグリットがにっこりと笑った。
ギュッとアーバインの手を握り、まっすぐに見つめてくる。
「ありがとう、マルグリット」
「やだなぁ、お礼なんて……なんなら、感謝のキスとかしてくれても」
「俺もいくぞ、アーバイン」
マルグリットの言葉を遮り、ダリルが言った。
「ちょっとダリル! 今、あたしがアプローチ中……」
「ありがとう、ダリル」
二人のやり取りに苦笑しつつ、アーバインが言った。
「もうっ、せっかくアーバインといい雰囲気になりかけたのに……」
マルグリットが拗ねたように口を尖らせる。
「なってたか? いい雰囲気?」
「なってたわよっ!」
「ま、まあまあ……」
また衝突するマルグリットとダリルを、アーバインがなだめた。
まあ、マルグリットの『いい雰囲気になりかけた』うんぬんは冗談だろう。
……きっと。
「私は当然、ついていきます」
最後にエルクが告げる。
「ありがとう、エルク」
アーバインはあらためて三人に一礼した。
「それと──可能なら他のメンバーにも応援を頼みたい」
勇者パーティは本来アーバインを含めて七人編成である。
暗黒竜王討伐の際には全員の招集が間に合わず、彼ら四人だけでやって来たわけだが──。
「できれば、フルメンバーで臨みたい。今までにない強敵だからな」
「ならば、私から連絡を取りましょう」
と、エルク。
「召喚士ヴァイ、付与術士イレーヌ、そして魔法剣士ラース……一人でも連絡がつけばよいのですが」
「全員、各地で『世界の敵』の残党と戦っているからな」
アーバインはため息をついた。
勇者パーティはたったの七人。
それに比べて『世界の敵』は多すぎる。
「特にラースの力は絶対に必要だ。なんとか呼び寄せたい」
パーティ内でアーバインと同等以上の戦闘能力を誇る、魔法剣士ラース。
彼が味方にいれば、これほど心強いことはない。
「戦力が整い次第、暗黒竜王と魔導王の元へ行こう」
アーバインが力強く告げた。
「世界の命運をかけた決戦だ」
※
SIDE 魔導王
「奴が──来る」
玉座で瞑想していた魔導王はカッと目を見開いた。
『魔導王様、どうかなさったの~?』
かたわらにいた女性型モンスター『聖蛇姫』が訝しげに彼を見つめる。
外見は十代半ばの可憐な少女といった趣だ。
ただしその髪は無数の蛇。
少女は、石化魔女をベースとして魔導王が生み出した側近モンスターなのだ。
「暗黒竜王だ……強大な【闇】の気配がこの城に向かっている」
魔導王がうなった。
「奴は、以前よりもかなり力を増しているようだ。対して、こちらは神樹伯爵、機甲巨人、天翼覇竜を失い、残る側近はお前だけだ」
『ご安心を~。たかがドラゴン一体でしょ。あたしが王をお守りしますよ』
「いや、奴は決して侮ってよい存在ではない。それに──可能な限り生け捕りにしたい」
『聖蛇姫』をたしなめる魔導王。
「この城のすべての戦力を注ぎこみ、奴を止める。お前にも働いてもらうぞ、『聖蛇姫』」
【大事なお知らせ】
本作の書籍版(BKブックス様)が発売されました!
なんとか2巻、3巻とつなげていきたいので、ぜひよろしくお願いします~!
下のリンクから公式ページに飛べます!
【読んでくださった方へのお願い】
ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある☆☆☆☆☆をポチっと押すことで★★★★★になり評価されます。
「面白かった!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、ぜひポチポチっとしていただけましたら励みになります!





