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スノウフェルへ  作者: 楠瀬 和裄
2/6

スカウト

またまた原作のキャラクターに登場していただいています。

アキバで冒険者を募るんですから当然避けて通れないですよね、はは。

念のため、念話を入れる

「アインス君、執務室に居るのかな?

 相談があるんだが?」

「円東さんから念話頂いてます。

 執務室より来てほしい場所があるんですが」

「構わないよ、で何処に行けば?」


アキバのヒッソリとした廃ビルにの囲まれたちょっと広場を指定され、

そこに赴く。


「彼らですよ」

「ほほぉ」

「日がな一日、あぁしているんですよ」

「予想通り黄昏てるなぁ」

「どうにかならないかと思案してるんですが」

「動く=帰る事を諦めると考えてるんでしょうか?」

「そこまでは行ってないとは思うんですが、難しいところです」

「雇えると思いますか?」

「分かりませんね」

「まぁやってみますよ」

「この人数じゃ足らないので、

 他にもこういう場所あったら教えて欲しいですね」

いくつか場所を教えてもらう。


さてここから先は相手とこちらの技量次第ってところか。

サブ職辺境巡視の男を見つける、名前はエルンスト。

メインは守護戦士ガーディアンレベルは30と確認できる。

「君は?」

「なんか用すか?」

「仕事を頼みたいんだが」

「やる気のある人あたった方が良いんじゃないすかね?」

「やる気があるとか無いとかは関係ないんだ、君に頼みたいんだが?」

「なんで俺すか?」

「強いていえば、表情が投げやりだったからかな」

「面白い理由ですが興味ないですね」

「とりあえず、話を聞いてくれないかな?」

「ご高説なら要りませんよ」

「あぁ説教する気はない」

「では一応聞きます」

「ありがとう」

「私の治めている領地で巡視を代行して貰える者を探しているんだ」

「それで」

「100人ちょっとスカウトしたいと思うんだが、

 レベル的に大手ギルドに依頼するほどじゃない」

「クエスト発行所で良いじゃないすか?」

「それでも良いんだけどね、ポツポツじゃ困るんだ」

「それで纏めて採用したいって事っすか」

「まずは君と話してみたいと思ってね」

「俺は別に此処の代表って訳じゃないっすよ」

「分かっている、

 一人ひとり口説くつもりはあるから

 君にすべて委託しようとは思わない

 話を聞いて賛同してくれるならそれでいい、

 まぁここに君の知り合いがいるならそちらから口説くことにはなるが

 君はこの街とこの世界についてどう思っている?」

「時の牢獄ってところっすね

 勝手に連れてこられて、毎日レベル差を気にして

 円卓が出来てから治安は良くなったけど

 牢獄加減が改善されたわけじゃない」

「時の牢獄ね、

 確かに元の世界の事がどうなっているか分からない以上、

 時間が経るごとに時の牢獄化していくか」

「この世界に慣れたくないっていうのもあるっす」

「慣れたら帰ったときに元の世界でちゃんと生活できるか分からないから

 何もしないって事かな」

「それもあるっす」

「も?」

「人とかかわると記憶が塗り替わっていく、

 元の世界の事を忘れそうで嫌なんだよ!」

「ではゲーム的なクエストならば受けてくれるのかな?」

「そんな事が出来るわけないっす、

 NPCと大地人は違うっす

 こんなところに引きこもってても食い物は調達買いに出るっす

 なるべくプレイヤーのやってる店に行く様にはしてるっすけど、

 だんだん共同経営っすか

 増えて来てて大地人が増えて行くのが億劫になってるっす」

「ふむ、食糧調達程度でも交流するのが怖いってことか」

「そっす」

「そんな君でもうってつけのクエストがあると言ったら?」

「そんなものはないと思うっす」

「私が信用できない?」

「それもあるっす、

 何でも持ってそうで自信ありげでイライラするっす」

「ふむ、

 私がクエスト依頼者だとしたら、

 君は受けてくれる可能性はあるのかな?」

「プレイヤーからプレイヤーにクエストがでるって

 そもそもが受け入れがたいっす」

「そうか、では話を変えよう

 私たちは確かにこの世界の異分子だ、選んで来たわけでも無い

 生物的に考えれば、異物は駆除される対象となるわけだが、

 駆除対象になっていない、それはどう考える?」

「良くわからないっす」

「では、質問を変えよう

 君はこの世界に関わるのが怖いと言ったが

 ”関わらない”事で元の世界でも

 人と関わる事が怖くなるとは考えたことはないか?」

「そういう事は考えたことはないっす」

「人はコミュニケーションを必須とする動物だ、

 不足すれば体調が崩れるほどにな

 此処にいる皆はそこまでは至っていないようだが

 私は元の世界でそういう事例をたくさん見てきた。

 これを聞いてどう思う?」

「コミュ障になるって事っすか」

「それも含めて精神的な不調が出ると推測できる

 それでもここに座ったままで居るか?」

「それは嫌っすね、

 帰って衰弱以外の理由で病院をたらい回しにされるのは」

「ならば、クエスト受けてくれないか?」

「いいすよ」

「そうか、助かるこれで一人確保だ、君召喚笛は持っているか?」

「レベル低いっすけど持ってますよ」

「そうか君の知り合いの中に

 同じサブ職の辺境巡視持ちか追跡者持ちか居ないかな」

「あぁそこいらにいると

 お~いアルフレッド」

「なんだよ」

「この人の話聞いてくれないか、

 出来れば一緒に来てくれるとうれしい」

「お前は行くのか?」

「あぁ俺は元の世界に帰ったときに、

 こんな姿晒したくないからな」

「それは俺も思うが、行って何になるんだ?」

話を繋ぐ

「”人”とコミュニケーションを取り続けるって事だよ

 そうすることでコミュニケーション不全を防ぐ

 帰還までの”暇つぶし”だと思ってもらっても良い

 君はどうする? アルフレッド」

「いいっすよ」

「では、二人ともここにサインを」

と書類を差し出す。

こうして二人目も確保したのだ。


相手の納得が得られるまで粘り強く交渉を続けなんとか人数は確保した。

かたくなに断る人も居ないではないが

「コミュニケーション不全」と言うキーワードが効いたのであろうし

それとアキバから距離を置けるというのもきっとあるのだろう。

時にはまとめて話をしたり、

最初の様に一人一人に話しかけたりを繰り返しそれは半日に渡った。

サインをもらった人から順次から領内に向けて出発してもらった

気が変わる前に動いてもらった方が良いと思ったのだ。

家令には決まるごとに名前を告げて受け入れ準備に入ってもらった。


「アインス君終わったよ、確保できた」

「凄いですね、私には出来ませんでした」

「私がソロっていう事もあるんだろうと思うよ」

「説得力の背景の違いですか」

「それも有るだろうし、

 彼らからは

 円卓会議に名を連ねるギルドの廃ランカーからの目線に

 見えたのもあるだろうね」

「持つ者と持たざる者の差ですか」

「あの日誰と居たか、触れ合えたかの違いって言えば

 それまでなんだけど

 その差が埋められない溝に

 さらに影を落としているんだろうと思う

 ただ、今回の事で”救えた”とは私は思っていない、

 継続的なケアが必要だと思う

 手遅れになる前に出来る事はしよう、

 ただ表立っては今回限りだ

 イースタル内に余計な軋轢は産みたくはないのでな

 ただ主には進言しておこうとは思う。

 姫にもご挨拶していかねばならないしの」


さて水楓の館に向かうとしますか。


「突然の訪問に対応していただき、ありがたく思います」

「急なご来訪、何用でしたでしょうか?」

「要件自体は完了してございます

 ところで姫様、

 私は「冒険者」でもありますから砕けて話されてもかまいませんよ

 いかがですか?」

「それは助かります

 今回の要件は何だったんでしょうか?」

「スノウフェルが間近ですから、

 わが騎士団の騎士達に長めの休暇を出そうと思いましてね

 その間の代行をアキバの冒険者に担ってもらおうかと」

「そんな事が可能なのでしょうか?」

「えぇ済ませてきました、その上でご挨拶に伺ったのですよ

 マイハマへの定期便は次回は何時になりますでしょうか?」

「そうですね、今週はもう一度あるかと、エリッサ」

「はい、ございます。マキシマム様」

「では、この書状をお届け願いたい、

 今回の件と上奏したいことをしたためております」

エリッサさんに書状を渡す。

「そういえば、エリッサさんはスノウフェルの頃のお生まれでしたね」

「そうですが何か?」

「誕生日もお仕事でこちらにお詰めになってますよね?」

「そうでございますね」

「では、スノウフェルまでに何か贈らせていただきますね

 お菓子の類はミカカゲさんが差し入れてくれると思うので別の何かを」

「役に立つものが良いですね」

「考えておきます」


「マキシマム様は他の冒険者の方と少し違いますね、

 かと言ってクラスティ様とも違いますし

 お爺様からは先々代からの主従関係だとは聞いてますが」

「そうですね、そのくらいにもうなりますか

 冒険者は元の世界の年齢や身分が違うという話はご存知ですか?」

「はい、リーゼさんから少し聞きました」

「そうですか

 私の今の姿はすごく若いものですが

 元の世界では姫様の御父君おちちぎみ、フェーネル様よりも上でして」

「そうなんですか?」

「えぇ

 ですからアキバに居る若き冒険者よりは落ち着いて見えるのでは?

 様々な年齢と階級の女性とも交流してきましたし

 もっともアキバには私のような年齢の者もいるかと思いますよ

 数は少ないと思いますが」

「そうなんですか?」

「えぇ若い人が多いですが、私と同じくらいかそれ以上の方もおりますよ」

「文官に欲しかったです、冒険者の事をよく知りたいと思うのです」

「姫様付き武官というのも楽しそうですが、

 アキバの名だたるギルドには顔を知られているので難しいですね」

「はぁ残念です」

「大事になるようならクラスティ君かシロエ君が動いてくれますよ」

「お二人とも苦手なんです、いつも大変な目にあっている気がするのです」

「あはは、確かに二人とも分かり易いタイプではないですね、

 でも二人ともいい子ですよ、私から見たらね」

「そうなんですね、私には計り知れません」

「姫様は姫様のままでいいと思いますよ?」

「もっとちゃんとしたいのですが」

「そうですか?、

 ”もっと”と思う事は良い事だと思いますが

 ”ちゃんとしたい”とかしこまらなくても大丈夫ですよ?

 人は手探りで覚えていくものですからね

 そう構えなくても良いかと思いますよ

 交渉事に関してはご教育されてはおられないことは、

 皆もわかっていると思うし。

 期待は大きいとは思いますが、そんなに気にせずに。

 では、失礼いたしますね

 何かありましたらご相談に乗る事は可能かと思います。

 クラスティ君とシロエ君については大変かもしれませんが、

 そのままでよろしいかと」

水楓の館を辞去し、記録の地平線ログ・ホライズンのギルドハウスに向かう。


男の子が薪を割っていた。

「シロエ殿は居られますか?」

「兄ちゃんなら執務室だと思うよ」

「伺っても大丈夫でしょうか?」

「何時も唸ってるからな~

 アカツキねーちゃんがいるから大丈夫だと思う」

「それからにゃん太殿は?」

「班長師匠は台所にいるよ、夕飯の仕上げに入ってるんじゃないかな」

「そうですか、ありがとう」


コツコツと台所の壁を叩き

「にゃん太さん、こちらに預かり物が届いていると思うのですが?」

「誰かと思えばマックスち、珍しいですにゃ。

 あぁ第八商店街のタロ君が持ってきておりましたにゃ」

「それからシロエ君に決済をお願いしたい書類が2種類あるのですが」

「問題ないですにゃ

 アカツキちが控えておりますにゃ」

「では、上がらせていただきますね」


執務室と書かれた戸をノックする。

反応のあったのは女の子の声、多分アカツキさんなのだろう。

ゆっくりドアが開き、応接セットに促される。

「主君は思案中なのだ」

「待たせていただいても?」

「私が相手をしても良いだろうか?」

「確かアカツキさんでしたよね?」

「そうだが」

「アンパンがお好きだとか?」

「そうだ」

「では、買いたての物を一緒につまみませんか?」

「良いのか?」

「大丈夫ですよ、こちらのギルドの人数はお聞きしてますので

 人数分以上買ってきておりますし」

「では、いただこう、代わりに私はお茶をだそう」

「いただきますね」

こそっと聞く

「いつもこうなんですか?」

「おおむねそうだ、主君は思案にふけるとまるで気が付かない」

「相変わらずなんだな~」

「マキシマム殿は主君と旧知なのか?」

「そうだね、にゃん太さんと直継君も知り合いだよ」

「そうなのか」

「そう、古い知り合いだよ」

「今日の来訪の要件は?」

「あぁこの書類に目を通して署名を貰いたくてね」

「人数的に大規模だからか」

「どうもそうらしいですね」

ボリュームを抑えて話していると

シロエ君が話し声に気が付いてこちらを向く。

「こんばんは、お久しぶりです」

「こんばんは、お久しぶりです

 アイザックさんとアインスさんから聞いてましたが、

 本当にその姿なんですね」

「そうだね、この姿で会うのは初めてだったっけ?」

「初めてですね、なので名前も初めて見るもので

 声で誰か分かりました

 ミノリからマキシマムさんと言う方が来るとは

 聞いてはいたんですが貴方でしたか」

この線の細い神経質そうに見える眼鏡の青年の肩には

多くの物が乗りすぎている様に見える。

執務机に積まれた書類から見てもそれが伺い知れる。

「この書類に目を通して署名をお願いしたいのだが」

「大規模な依頼ですね、

 こちらを見ると既に採用まで終わっているという事で

 良いですか?」

「えぇ終わってすでに向かってもらってます、

 気が変わらないうちにね」

「そうですか、リストを見ると

 どのギルドにも所属していない、

 強化合宿にも参加していない冒険者のようですが?」

「リストだけで分かりますか。

 えぇそういう人の居る場所をアインス君から教えてもらってね、

 口説き落とした

 まぁ大手のギルドの手を借りると

 色々と軋轢を生むのでフリーな人が良いかなと」

「そうですか」

「ま、大したことはないから気にしないで、

 人数分時間は食ったけどね

 まぁ一時的な対応でしかないけどね」

「ありがとうございます、

 何とかしなくちゃとは思っていたんですけど」

「まぁ持てる荷物には限りがあるんだし、

 いいんじゃないですか?」

「署名だけで?」

「あと、

 にゃん太さんのところに預け物を届けてもらっていたので受け取りに」

「そうですか」

「必要な支払いは直接してしまった方が良いのかな?

 それとも一度円卓の窓口口座に入れた方が良いのかな?」

「口座は無いので個々にお願いします」

「分かりました

 受託書のリストはクエスト斡旋所に写しが必要かな?」

「はい、お願いします」

「あちらに筆者師の方は?」

「居ます」

「了解、今日はもうお暇しますね

 デザートと言っちゃなんですが

 アンパン差し入れておきましたのでみんなで食べてください」

「ありがとうございます」


クエスト斡旋所で写しを渡し領内に飛んで帰ったのだ。


そして翌朝。


宿舎に泊まっていた冒険者達を班編成する。

メイン職とサブ職に目星をつけて採用していたので

おおよその編成は頭の中で済んでいて

それを実際に告知するだけなのだが

110名ともなれば広い場所が必要となる。

この屋敷は模擬戦用の場所があるので

そこに集まってもらうように指示を出す。


巡回班の12人の班長役とはフレンド登録を行い

念話を繋げるようにしてい置いた。

通常の領内で行っている巡回法を説明する

二班一組で割り当てたエリアの警邏と周辺巡回をし、

警邏中に詰め所で休憩をとる事。

警邏と休憩に支障が出ない限り

詰め所に持ち込まれた依頼事項は独自判断で大地人に手を貸す事。

夜間歩哨は農村部だけで良い事。

スノウフェルの中で一日はこの街の催しに参加する事。

以上を伝えて各班移動をしてもらう。


残りはこの街自体の警邏なので、特に難しい説明も必要なく

詰め所班と警邏班に分けてこちらも6人の班長とフレンド登録しておく。

残り2名は屋敷詰めとして各班の班長と私とフレンド登録しておく。

この2名に最初に口説いた二人、エルンストとアルフレッドにした。

後ろをどこで切るかちょっと悩みました。


次話を考えると内容的に

もう少し分割しても良いのかなとは思いましたが

此処で切ってみました。


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