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第17話「淑女の嗜み」

眠い、ひどく眠い。そんな感想を他所に瞼で視界を塞いでいる中でも耳をつんざく程の歓声が聞こえる。


「おい!起きろ!起きるんだよベロニカ!」聞き覚えのあるダミ声を聞き目が覚める。眼前には懐かしい金網に囲まれた闘技場が広がっていた。


「試合か?でもオレはもう、、」動揺と懐かさに浸っていると突然後ろから髪を引っ張られる。


「やっと起きたかアバズレが!今日は大事なオーナーの座を賭けた大事な試合だ絶対負けるんじゃねえぞ!」


顔に大きな傷があり頭を剃り上げた大男、前オーナーのキンバリーがそこに居た。


「痛えな、放せよ!安心しろオレは無敗のチャンピオンだぜ?寝言は終わってから言えよ」キンバリーに悪態を突き金網の中に入る。今日の相手はファルコーネから新しく配属されたこの街の新しいボスらしい、一体どんな奴が来てるのかな?


ベロニカが相手の方を見ると赤毛の美女が入ってきた、高級そうな黒いスーツを着て髪をポニーテールにしている。背は少しベロニカより低く身体もすらっとしたモデル体型だとても今から殴り合いのできそうな相手には見えなかった。


「君がここのチャンピオンかい?確か名前は」


「ベロニカ・ウォルコットだ、個人的にアンタには恨みはねえが2度と楯突けねえ様に痛めつけてやるぜ」ベロニカが赤毛の女を睨み付けながら言う。


すると赤毛の女は身体が小刻みに動きながら口を開く。


「その獣の様な目を見ているとゾクゾクするよ、どうだい私が勝ったら君を一晩好きにするってのは?」


思わぬ誘いにベロニカがあっけらかんとする、だが直ぐに気を引き締めアンサーを出す。


「いいぜ、アンタが俺に勝てたらストリップでもなんでもしてやるよ!」ベロニカが啖呵を切ったのと同時にゴングが鳴り響いた。2人の臨戦態勢は対局だったベロニカは基本通りのファイティングポーズを取りつつ左手を突き出し相手との間合いを測る。


逆に赤毛の女はノーガードの状態で軽やかなステップを見せている。


「何やってんだよベロニカ!いつも通りやっちまえよ!」


「お前らのお見合いを見に来た訳じゃねえんだぞ!」


周りの観客達が騒ぐ中ベロニカが先に仕掛ける、一足飛びで間合いを詰め左でジャブを放つしかし赤毛の女は見透かしたようにフットワークを利かせ避ける。


すかさずベロニカが右足でハイキックを放つ鈍い肉に当たる音と手応えを感じたが。


「中々良い物を持ってるね、だけど君のスタイルは直線的で分かりやすいよ」女は左で蹴りを受け止めそのまま一回転に腕を回す、するとベロニカの体幹が崩れる直ぐに立て直そうとした瞬間だった。


「少し痛い思いするけどごめんね?」その言葉を最後に腹部に強烈な一撃が入る見ると女の膝が鳩尾に入る。


「グェ!」あまりの激痛にくの字に身体が曲がったが倒れまいと踏ん張る。


「まだ立てるのかならこれで終わりだね」


すると女はベロニカの朦朧とする頭を掴むとそのままマットへと叩きつけた。


「ベロニカ!何やってやがるんだよ!立て!立ちやがれ!」意識がハッキリとしない中キンバリーが騒ぐ、だがそんな不快な声よりも雲の上を歩くかのような浮遊感と清々しい程の快感に包まれていた。


「君が起きたら全て終わってるから眠りなよ私の名はマリア・ウォーカー、今日から君達の新しいボスさ」マリアは倒れるベロニカに囁くとそっと額にキスをした。


「それじゃあ全てが終わったら約束守ってね」その言葉を最後にベロニカの意識はなくなった。


「オーナー起きてください」聞き覚えのある声を聞き目が覚めるすると眼鏡を掛けた女性が居た。


「おはようジョアンナ今日も麗しいね」ベロニカが起きがけにそっとジョアンナの唇を奪う。


「オーナー駄目ですよ、今日からイベント開催の為の準備や打ち合わせが」


「良いじゃないかさあ今日も沢山愛してあげよう」ベロニカがジョアンナの手を引こうとした時だった。


「ベロニカ!朝の鍛錬に付き合ってよ!」開口一番乗り込んできたデイシャがベロニカを誘う。


「デイシャちゃん!?違うのこれは」ジョアンナが慌てふためく中デイシャは意に介さずベロニカの元へと歩いてくる。


「気にしないで良いよジョアンナさんどうせまたベロニカに悪戯されてたんでしょ?」デイシャの言葉を聞きジョアンナの顔が赤くなる。


「それでは私エリアマネージャーですので行ってきますね」ジョアンナがそそくさと立ち去るとベロニカがガッカリしたような表情を見せる。


「せっかく良い所だったのに朝の鍛錬か分かったよ直ぐに準備するよ」


「着替えるの手伝ってあげるから早く行こうよ」


デイシャに急かされながらベロニカがベッドから起き上がった。


「1週間後に私とデイシャが試合をする!?」ラビットヘブンの事務所で唖然とするレナを他所にアンナが説明する。


「ええ、最近デイシャちゃんが強すぎて誰も対戦したがらないらしいの、このままじゃあ興行的にも盛り上がりに欠けるから今回だけお願いしてもいい?」アンナが申し訳無さそうに頭を下げる。


「そんな頭なんて下げないでよアンナさん、分かった2人に拾われた時から私は2人の物だしそれにデイシャとは一度手合わせしたかったしね」レナが了承するとマリアが口を挟む。


「レナ本当に大丈夫かい?無理にとわいわないよ」


「大丈夫だよそれに普段から2人に鍛えられてるから簡単に負けはしないよ」レナが力強く答えるのを聞いて今度は隣に居たソフィアに目線が行く。


「それで前座何だけどソフィアちゃんにお願いしたいの」


「え?私がですか!?」鳩が豆鉄砲を受けた様な顔になるソフィアの反応を他所にアンナが続ける。


「大丈夫よ本当に無理そうだったら途中で棄権してもいいし、何なら今から辞退しても良いから」アンナが優しく言う。


「やらせてください!何時もレナばかり身体を張っていますし私も皆の期待に答えます!」


ソフィアも力強く了承しマリアとアンナが顔を見合わせ頷く。


「それじゃあこの1週間みっちり鍛え様、ちなみに私とアンナどっちに教わりたいかな?」マリアが期待に満ちた顔で2人に問う。


「「アンナさんで!」」2人が息ピッタリに即答したのを聞いてマリアはその場で泣き崩れた。


1週間後、、


「紳士淑女の皆さん!お待たせしました今夜は2つの試合を行います!まず前座で最近着々と戦績を積み重ねタイトルマッチが近い女ミス・アニタ・クロードとこの街を仕切るラビットヘブンからの刺客全ての経歴が謎に包まれた美女ミス・ソフィア・ルチアーノ!」


司会の女性が名乗りを上げるとお互いの入場口から入ってくる。


「アニタ!次のチャンピオンはお前だ!」


「相変わらず良い女だな!抱かせろ!」


彼女を鼓舞する声や下品な野次が飛び交いながらも入ってくる褐色肌の女性。ブロンドの髪をツーブロックにし衣装もフィットネスシャツにハーフパンツとを着ている。身体は引き締まっており正に戦う身体に仕上げている。


「今は前座だけど次はあんたを倒すよデイシャ」そう呟きながらVIP席の椅子に横たわりながら観戦するデイシャの方を見る。


「本当にこの格好で出るの?」


「大丈夫よく似合ってるよ」


今度はもう一つの入場口で歓声が上がる。


「おい、おい、良いもん持ってんじゃねえかよ!」


「良いケツだな触らせてくれよ!」


見ると恥ずかしそうに顔を赤らめながらソフィアが入ってくる。


髪型はポニーテールにし衣装は上半身は白いビキニで下は網タイツを着用したホットパンツ姿だった。


「やっぱり恥ずかしいよレナぁ」レナに隠れながらソフィアが入場する。


「可愛いよソフィアそれに本当に無理だったら何時でもギブアップして良いからね」レナに言われながらも金網に包まれたリングに入って行く。


「あんたが私の相手?へえ可愛いじゃん」アニタがソフィアを見ながら言う。


「よ、よろしくお願いします!」2人は向かい合うとレフュリーの女性が説明する。


「この試合は時間無制限勝利条件は2つ、一つ目は相手に負けを認めさせる、そしてもう一つは相手を試合続行不可にする事この場合気絶か重傷、最悪死んだ場合も適応される」レフュリーの説明を聞きソフィアの顔が青ざめる。


「無理なら今すぐに降りてもいいよ、私もあんたみたいな普通の娘を虐める趣味は無いから」アニタに言われソフィアが覚悟を決めた表情で返す。


「問題ありません!やりましょう!」


そして2人がそれぞれ位置に着くと試合開始のゴングが鳴り響いた。


第17話 完


第18話に続く。




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