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セシルとお兄様の従者

 セシルは暇です。今日は一人でお留守番です。お兄様達は、親戚のお家に行くそうです。セシルはまだちっちゃいから一緒にいけないそうです。セシルはお昼寝飽きちゃったんだもん、侍女のルルがお昼寝してるのが悪いです、だから、館内を散策ですラパンフラムのぬいぐるみと一緒に!

 と言うことで、セシルは使用人棟に来ています!普段は入っちゃだめーって言われてます。こう言う時にしか来れない場所です!今日は〜セシル一人だから大丈夫です。

 使用人棟には2階からなぜか繋がってます。この廊下には誰もいません、みんなお仕事中でいないです。でも一階におりると話し声が聞こえてきました、声のする方に歩いて行くと、談話室みたいなところにたどり着きました。

なんと、そこにはお兄様達の従者さん達が、みんなお揃いの制服をきてるからわかりやすいです。


濃い緑からグラデーションになってる頭が見えます。あれは、デジレです。ウジューヌお兄様の従者さんです。

「うーわからん。エメ、ここ教えてくれ」

エメはアランお兄様の従者さんです。瑠璃色の髪の毛に薄い茶色瞳の優しいお兄さんです。

「ん?ここは、この解が正しいかな。相手が主人よりも身分が高いから」

その向かいには紫色からグラデーションになってるミディアムヘアな綺麗なお兄さん、パジルがいます。パジルはエドガーお兄様の従者さんです。

「コーム、それ間違ってるぞ、この場合は、夜会だからこっちの服が正解」

コームはジョゼフお兄様の従者です。茶色の髪の毛で顔が薄いですよね。

「えー!そうなのか?だってこれは」

「よく読んでみろ、ここ」

「あ」

どうやらみんなお勉強してるみたいです。でも、ここにアランお兄様のもう一人の従者がパルナベがいません。

「ん?セシル姫」

あ、エメに見つかりました。

「ルルーリナさんをまた置いてきましたね。」

「あ」

「ふふふ、大丈夫ですよ。こちらで一緒にお茶でもいかがですか」

やりました、お菓子が食べられます。

「・・・セシル姫、ルルーリナは今何してるんですか?」

コームが聞いてきました。

「ルル、おねんね中ーセシルはお昼寝終わったの!」

「あの人は・・・また」

エメが抱っこして椅子に座らせてくれました、ラパンフラムも一緒にお座りです。コームが頭を抱えてます。どうしたんでしょうか?そうそう、机の上が見えました。真ん中に大きなお皿があって、マフィンみたいのからスコーンみたいなお菓子が山盛りです。飲み物はお茶に果実水、そして山積みの本とノートが広げてありました。

「おべんきょう?」

「はい、と言っても私は今年卒業しましたので、3人のお勉強なんですよ」

エメは今年卒業したのですか知らなかったです。

「ほえ、おめでとう!」

「ありがとうございます」

「みんなは学生さん?」

デジレとパジルとコームは学生さんでしたか、知らなかったです。

「はい、セシル姫はよくご存知ですね。アラン様達が王都に行かれた時は、私たちも学園に通っているんです。」

「デジレは来年卒業試験があるので、勉強の追い込み中なんですよ」

 だからデジレの周りは他の人よりも本が山積みなんですね。納得です。試験勉強中ということは勉強が大変じゃないですか。お兄様のこと見ていていいでしょうか。

「デジレ、大変!ウジューにゅおにいしゃまをみてていいにょ?」

「私はウジューヌ様の従者ですから」

ニッコリと微笑まれてしまいました。うーそうじゃないです、言いたいことはえぇっとー。

「うじゅーにゅにいしゃま、いたずら大しゅき!デジレ困る!ちがう?おべんきょうできない」

そう言うと、デジレはキョトンとした顔をしました。

「・・・ふわぁ!・・・セシル姫!!なんて優しいだ!まだ2歳なのに、ウジューヌ様と大違いだ!!最近よく脱走するし、人が勉強してると留年しろとか言ってくるし・・・くっ」

 ウジューヌお兄様はデジレを困らせてるみたいです。デジレの頭をイイコイイコしときます、お兄様はそんなこと言ってくるですね、しかもお勉強の時間はよく脱走するので大変です。

「まぁ、ウジューヌ様は意外に寂しがり屋だから、一緒に学園に通いたいじゃないかな?」

コームが苦笑しながら言ってます、確かにウジューヌお兄様って誰かしらと一緒にいる気がします。他のお兄様が忙しいとセシルのところによくきます。

「ははは、それにやんちゃだからね。好きなことだけが異様に伸びるタイプだからしょうがない」

エメもウジューヌお兄様達をよく見てるんですね。

「武術に対してはものすごくできる人なんだけどね、興味ない座学が・・・。」

デジレが頭を抱えてます。そんなに座学がダメなんですかね。

「アラン様はバランス良く習得されるからなー。」

「アラン様は、パルナベさんが見てたしね」

「確かに、当主様になる方だから」

「今日もちゃんと、周りの人たちの話を聞いてきてるか・・・。」

デジレは大変そうです。心配です。ストレスが溜まってそうです。

「大丈夫?デジレ。ママとパパに言う?」

「いえいえ、セシル姫、私は大丈夫ですよ。こうして、勉強の時間をいただけてるので」

「そうなの?」

「えぇ、いざとなったら別の従者の方に手伝ってもらえるので。いつでも変わるぞ、パジル」

黙々と問題を解いていたパジルに話を振りました。

「遠慮するよ。ランディ一族のデジレだからこそできるんだよ。僕には無理だね。ウジューヌ様の逃げ足には追いつけないよ」

パジルがペンを置きながら言いました。お菓子を取ると、セシルの口の中に放り込んできました。美味しいです。

「ふふふ、可愛い。セシル姫、簡単に他人からもらった食べ物を口にしちゃダメですよ」

「いやいや、やった本人が言うなよ」

コームが呆れながら言ってます。お菓子はとっても美味しいです。外側さくっとしてて、中はしっとり、甘いのがあります。ちょっとセシルのお口には大きすぎるのが、難点ですね。頬が膨らんでます。パジルがセシルの頬を撫でていきます、やめてください。

「エキュルイユみたいだ」

「おいちいよ」

「それは良かったです。」

「ちょういえば、パルナベは?いない」

アランお兄様のもう一人の従者さんがいないんです。

「あぁ、パルナベさんは、アラン様達に付いて行きましたよ。だから、私たちはセシル姫と同じでお留守番組です。」

「いっしょ!」

「えぇ、一緒です」

「ウジューヌ様も、パルナベさんの前では大人しいよね。」

コームが不思議そうに言いました。そうなんですか?ウジューヌお兄様は基本誰の前でも自由人な気がします。

「あぁ、パルナベさんは従者の中では古株だし、何よりデジレが来る前はウジューヌ様を捕まえる役目だったからね。ウジューヌ様が生まれた時から見てるし、慣れてるだよ」

「ほえー。パルナベ一番、としうえ?」

「えぇ、彼は大人ですよ。彼はアラン様の執事候補筆頭ですから」

「ほえー」

そうだったんですか、知らなかったです。

「セシル姫、果実水のまれます?」

「飲む」

なんだか、至れり尽くせりです。エメが櫛を取り出して、セシルの髪の毛を梳かし始めました。

「前から一度、セシル姫の髪の毛を整えてみたかったんですよね」

鼻歌交じりにエメが髪の毛を整え始めてます。汚れた口はパジルがふきふきしてくれます、今度は割って一口サイズになったクッキーを口の中に入れられました。

「やっぱり、姫様はおとなしいですよね」

そう言いながら、コームがお洋服を整え始めました。曲がったリボンは結び直して、汚れたところは払って。

「まー男の子と女の子は違いますからね」

「できた、どう?」

「うん、可愛い」

「手先器用だよね」

「さすが、エメさん」

口々に褒めてますけど、セシルは見えません。

「みえない!」

「姫様、どうぞ。」

そう言ってデジレが手鏡を棚から取り出して見せてくれました。ツインテールになってますが、編み込みも入っていて細かいです。エメラルドグリーンのリボンがついて、いつのまにか造花の小さいお花もついてます。

「かわいい!!エメ!かわいい!」

「えぇ、喜んでいただけて幸いです。」

「お花いっぱい!!」


「はぁ〜!!可愛い!!抱っこしてもいいですか」

デジレがいきなり悶絶し始めました。ウジューヌお兄様で苦労をしてそうです。いいですよ。

「あい!」

両手を上げて抱っこポーズをとったら頬を染めて嬉しそうに抱っこしてくれました。こんなんで良いんでしょうか。

「わー軽い、やわらかい!甘い匂いがする〜。癒される〜」

「そういえば、アラン様もよく言ってましたね。セシル姫を抱っこしてると癒されると。私も」

そう言って今度はエメの腕の中に移動しました。

「本当だ、なんか癒されますね。」

「それは気になる。私も」

次はパジルです。パジルもふんわりいい香りがします。

「パジル、いい香り。お花の匂い」

「ふふふ、私は香水をつけてますからね。オシャレさんなんです。」

「ほー」

「私も」

今度はコームの腕の中です。

「今日はお留守番ですが、役得ですね。」

「そうだね、姫様を抱っこできる事なんて我々にはそうそうないからね」

 みんな楽しそうです。セシルはいつもと違う視線の高さで楽しいです。みんなの顔がよく見えます。いつも足元しか見えませんからね。


 廊下の方からかけてくる音が聞こえてきました。

「あなた達、ちょと手伝って・・・ってセシル様!」

扉を上げたのは、ばあやでした。

「コンスタンスさん。」

「セシル様、ここにいらしたのですね。」

「あぁ、そういえば、伝えるのを忘れていました。」

「姫様をお持て成しするのに夢中で」

「ルルーリナが半泣きで屋敷中探し回ってたのよ。」

はぁっとばあやがため息をついてます。

「姉さんには良い薬です。セシル姫をちゃんと見てなかったんですから。」

コームさんがプリプリしながらいってます。ルルはコームのお姉さんみたいです。確かにちょっと似てる気がします。

「そうね、私が部屋に行った時、寝てましたからね。お勉強中だったでしょ、セシル様、みんなのお邪魔になってしまうから、ばあやと一緒に本館に戻りますよ。」

「えーーーもっといたいー」

だってここにいるとみんなが構ってくれます。

「ダメです。ほら、みんなはお勉強。セシル様はばあやと一緒です。」

ばあやに回収されてしまいました。みんなに手を振ってバイバイです。残念です。

「セシル様、勝手に使用人棟に入っちゃダメですよ。あそこは使用人達のプライベートな空間なんですから。のんびりする場所なんです。」

「はーい」

本館に戻ってきました。ルルは半泣きで走ってきました。

「セシル様!!!!よかった!!!どこにいらしてたんですぁー」

「ルリーリナ!・・・あとでたっぷりお話がありますから。二度と、セシル様から目を離してはいけませんよ。次やったらどうなるか、わかってますね。」

「はいぃいい。申し訳御座いませんでしたぁ。」

「では、セシル様。ルルーリナはそそっかしいですから。ルルーリナが寝ているからといって起こさずに歩き回らないでくださいね。ちゃんと起こしてください。」

それはちょっと面倒です、行きたいところに行けるチャンスなのにっと思ったらばあやにじーっと見られました。

「・・・はーい」

お返事をしたら、ルルの腕の中に戻されました。

「では、私は他の人たちに伝えますから、ルルーリナはセシル様のお相手をちゃんとしていなさいね」

「はいぃ!」



「はぁ、やってしまった。」

ルルはつぶやきながら子供部屋に戻りました。セシルはちょっと大人しくしていようと思います。可愛い髪型になったし、姿見の前でもう一回見たいです。

部屋に戻ったら早速、姿見の前でくるくる回ってみました、可愛いです、そしてお花が落ちないです凄いです。落ち込んでいたルルがこっちに気づきました。

「あれ、セシル様、髪型変わってますね。誰がされたんですか?」

「エメ!」

「え?アラン様の従者のエメくん?」

「うん」

「え・・・てことは、今の時間あの3人も一緒よね・・・」

「リボンはコーム、やった!オシャレ!かわいい!」

背中に結んであるリボンは二重になってて華やかになってました。コームも手先が器用です。

「げ・・・コーム」

「ん?」

「やばい、怒られる。コンスタンスさんにも怒られるのに」

「ルル?」

「はぁ・・・とうとうやってしまったわ。最近お昼寝の時間が短くなってるし、危ないとは思ってたのよ。だってここ日当たりいいしついつい寝ちゃうのよ〜」

顔を覆ってブツブツ呟いてます。大丈夫でしょうか。どこか悪いんでしょうか。

「ルル、大丈夫?」


「だ、大丈夫ですよ。セシル様」


「にいさまの従者、おてて器用!みんな優しい」


「そうですね。王子様方の従者は優秀な方が選ばれてますから」

「ほー」

「特に、パルナベ様はとても優秀なんですよ!」

「ほ?」

何でしょう、ルルの何かのスイッチが入りました。

「王都の学園に通われてる時に、成績が優秀で、それを聞いた旦那様が引き抜かれたそうなんです、あの柔らかな黄赤色の髪の毛、仕事の間は規定通りきっちりオールバックですけど、普段の時とのギャップが!!下ろされてる時の髪の毛の色気が凄いです、前髪の隙間から見える、エメラルドの瞳に見つめられたら、もう・・・」

「・・・」

ルルは、うっとりとして意識がどこかに行ってしまいました。パルナベは背がおっきくて、セシルは顔を近くで見たことがありません。おっきい、声が低い黄赤の髪の毛としか思い出せないです。

「ルルは、パルナベしゅき?」

「へ?!」

顔をぽんっと赤くしてルルは固まってしまいました。

「なるほど」

よっこいせっと、セシルはばあやにお話しに行くことにしました。なんでかって?暇だからです。このままだとルルは自分の世界に入っちゃいそうですしね。


「はっ!!セシル様、どこにいかれるんですかぁ〜!ルルを置いてかないでくださいな!」

ありゃ、意識が戻ってしまいました。扉に手をかけたら、勝手に開きました。

「あら、セシル様、どうされました?」

「ばあや、あのね。ルルはねぱる「うわわあああああセシル様!?」」

凄い勢いでルルに回収されてしまいました。なんか楽しいです。ぽーんと高い位置にいます。


「ルルーリナ、また何かやらかしたんですか?」

「いえいえい!!!ぜんぜんなにもおぉおおおお!!」


「はぁ、落ち着きなさい」

「パルナベ」

「セシル様?!」

「あー」

ばあやがなんか納得って顔してます。

「ルル、あなたは使用人棟でお茶の用意をしてきてちょうだい。あと1時間くらいみなさん戻られるはずだから」

「はい!」

小走りでルルがお部屋から出て行きました。


「セシル様、ばあやと約束していただきたいことがあります。」

「ん?なあに?」

「ルルの前でパルナベの名前は出さないでください」

「なんで?」

「彼の名前を出すと、ルルは仕事が手につかなくなってしまうんです。」

「ほえ」

「片思い中なんですよ」

「んーしゅきってこと?」

「えぇ、好きってことです。」

ほほう、それは何だか楽しそうです。

「セシル様、変に二人につきまとってはいけませんよ?」

ちょっと怖い顔で釘を刺されてしまいました、これはやったら、お尻ペンペンされるやつですね。残念です。

「はい」

大人しくしていようと思います。


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