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セシルと魔法の手遊び歌

「セシルおはよう」

「じょーじょーおはようー」

ベットで起き上がって朝の挨拶です。お揃いのパジャマです。

「おはようございます。ジョゼフ王子、セシル姫」

そう声をかけて、天蓋のカーテンを開けたのは、ルルです。ジョゼフお兄様の赤髪の毛がキラキラしてオレンジ色に変わって太陽みたいです。セシルとお揃いです。

「「おはようールル」ーリナ」

二人で元気良くベットから飛び出せば、お着替えです。

「本日は、大奥様と、大旦那様がいらっしゃいますよ。」

「おおおお?」

おがいっぱいです。

「お祖父様とお祖母様だよ。セシル」

「じーじ、バーバー」

「そう」

「お昼頃に到着予定です。お昼前にはお着替えをいたします」

「あい!」

汚れていい簡単なワンピースに着替えされられて、頭はお団子です。これは、お庭で遊んでいい格好です。

「じょじょー!」

「ジョゼフ、もう一回」

「じょーぜーふっ!」

最近ジョゼフお兄様との日課です。なんかセシルの発音はちょっと違うみたいです。

「言えた!偉いよ!セシル!」

「むっふー!じょじょー行こう!」

「戻ってるし!!」

 がっくり肩を落としてるジョゼフお兄様と一緒におててを繋いでお庭です。お爺様とおばあさまがくるまで土遊びです。レンガで囲われた、柔らかい土の中でもりもり山を作ってたら、お兄様が何か思い出したみたいです。

「そうだ!セシル、おてて遊びしよう?」

「おてて遊び?」

「そう!僕の真似っこしてね」

「あい」

まねっこどんどん大好きです。

「とんとんとんとん、土がのぼって」

「とんとんとんとん ちゅちあのぼおて」

 ジョゼフお兄様に手遊び歌を教えてもらうの初めてです。不思議なお歌です。お兄様のおてての中に土入って来て山もりになりました。

「こんこんこんこん、お水が湧き出て」

「こんこんこんこん、おみじゅがわいでて」

次にはお水が土の周りにジワーって出て来ました。それをジョゼフお兄様はこねこねしてます。泥だらけです!

「ぽっぽっぽっぽ、炎が灯って」

「ぽっぽっぽっぽ ほのおあとぉもって」

捏ねた土の上にぽっぽっぽっぽって火がついて、捏ねた土全体をぼーっと火が回りました。


「きらっきらっきらっきら、お城ができました」

「きらっきらっきらっきら おしろあできました?」

炎がパッと消えて、周りがキラキラすると、なんと、お兄様の手にはお城ができてます。カチンコチンです。

なんで最後お城ができるんでしょうか?謎です。


「うん。お城ができるんだよ」

「どうちて?」

「はい、あげる」

「ありがとぉ」

受け取ると、やっぱりカチンコチンです。しかも色が付いてます。謎です。可愛いです。お姫様が住んでそうです。

「これは、初級魔・・・手遊び歌なんだよ。セシルも想像しながらやるといいよ。」

「あい」

「お城にしたけど、セシルが好きな形で大丈夫だからね。」

「あい」

手が泥だらけになりながら、お兄様の真似っこしますが、形にならなかったり、いびつだったりしてます。

「むー」

「んー最初丸を作ってみようか?」

「まる?」

虹色の丸とか赤い丸、ボーリング玉見たいのを作って遊んでたら、なんか砂遊びばがすごいことになって来ました。

「ごろごろー!いっぱい!」

「いっぱいだね!というか、これは作り過ぎた!壊そう!」

「えー」

「ばあやに怒られる!」

「こわす!」

ばあやは怒ると怖いんです。笑顔で怒るんです、あんまり悪さするとおしりペンペンです。

「分解!!」

そう言いながらジョゼフお兄様が砂に戻していきます。

「ぶんあい!・・・じょじょーこわれない!」

セシルが唱えても壊れません。そんな感じで遊んでいたら、侍女のエリーナがきました。

「セシル様、ジョゼフ様。」

「エリーナ!!いいところにきた!これ元に戻したい!」

ジョゼフお兄様がエリーナに声をかけたら、びっくりした顔をされました。

「まぁ!こんなに作られて、コンスタンス様に知られたら、おしりペンペンですよ」

「「やだ」お願いエリーナ」

「ふふふ、砂に戻せばいいんですね。」

エリーナが手をかざすとあっという間に砂に戻っちゃいました。

「ほえーしゅごい」

「エリーナはジュディ家だから、得意なんだよ」

「ジュディ?」

 エリーナがジュディ家だから得意ってどう言うことでしょうか?エリーナは灰色の髪の毛に茶の瞳の普通の侍女です。他の侍女は赤とか緑とか茶とかの髪の毛が多いです。

「さて、セシル様、ジョゼフ様。ドラハ様と、ドミニク様がいらっしゃるそうなので、お着替えしましょう。」

「「はーーい」」

エリーナとおててをつないで、お部屋に戻ればばあやがドレスを用意してました。セシルは赤いドレスです。ジョゼフお兄様は赤いジャケットです。

「おしょろい!」

「お揃いだね!」

二人仲良く手を繋いで、正面玄関のエントランスに向かいました。初めて来ます。とっても広いです。屋敷の使用人の人たちが全員集まっていました。

「ほわわわわーいっぱい」

「お祖父様とお祖母様は、もともとこの屋敷に住んでたからね。今はお父様が当主だからこの屋敷に住んでるんだよ」

胸を張って教えてくれるジョゼフお兄様はとっても物知りです。

「ほえーじょじょーいっぱいしっってる!すごい!」

「まぁね!お兄ちゃんだからね!」

そんな会話をしているうちに、大きな物音がしたと思ったら扉が開きました。

「じいじ!」

いつも来るお祖父様です!おててを振れば笑顔で手を振ってくれました。その横には、背筋がピンと張った綺麗なお婆様がいます!


「お祖父様、お祖母様。ようこそいらっしゃいました」

ジョゼフお兄様がご挨拶しました。はっ!セシルもお姫様だからちゃんと挨拶しないと!

「ようこそ いらっしゃい ました!」

「ほっほっほ、かわいいお姫様と王子様のお出迎えじゃ」

「ふふふ、可愛いわね」

お祖父様とお祖母様に頭をナデナデされました。

「いい子で待っていたかい?」

「「はい」」

「セシルは赤ちゃんの時以来ね、覚えてるかしら?あなたのお祖母様、ドミニクよ」

そう言いながら、お祖母様が抱っこしてくれました。

「ばーば?」

「えぇ、そうよ。」

ピンクの髪の毛です。赤い髪の毛と白い髪の毛が混ざってピンクっぽくなってます。

 たおやかなのに、腕の筋肉がすごいです。抱っこされましたが、お尻の安定感がすごいです。あとお腹も硬いです。ママみたいにコルセットしてないのにカチンカチンです。


「しばらくよろしくね。セシル」

「あい」


「お祖父様、僕も抱っこ!」

「いいぞ!!」

「今日は何をしてたんだい?」

「お祖父様、お祖父様。僕、アランお兄様みたいに、セシルに魔法を教えてあげられたよ!」

「ほほう、どうやって?」

「手遊び歌で教えてあげたんだ。まだ造形はうまくできないけど。土で色々作ったんだ。いっぱい作り過ぎたから、エリーナに元に戻してもらったけど」

ジョゼフお兄様が小声でお祖父様に説明しました。

「それは凄い!!ということは、コンスタンスにはバレずに済んだのかな?」

「うん!」

「私が何か?」

そう声をかけたのは、ばあやでした。

「ばあや?」

どうやら、コンスタンスは、ばあやのことらしいです。

「なんでもないよ!今日遊んだことを報告してただけ」

「左様ですか?」

ばあやは不思議そうに首を傾げながら去って行きました、その姿にエリーナがクスクス笑っています。お兄様と一緒にシーってやったら、うなづいてくれました。

「初めてのお留守番はうまく言ってるみたいね」

お祖母様が優しく頭を撫でてくれました。

「セシル、いいこ!」

「僕もいいこ!」


午後からお祖父様とお祖母様も来て、家が賑やかになりました。ジョゼフお兄様はお祖父様と遊んでるので、セシルはお祖母様が手遊び歌を教えてくれるそうです。お祖母様のお膝に座って、お祖母様のおててと合わせます。お母様ともお父様ともおてての感じが違います。なんだか不思議です。

おててを挟まれて包まれながらお歌が始まりました。


「おてての中に」

「おててのなかに」


ぱかっと手のひらを開くとなんだかポカポカします。


「炎を一つ」

「ほのおをひとちゅー」


ぽわっと炎が浮かび上がりました。セシルの炎はお祖母様より小さいです。


「赤」

「あか」


お祖母様の炎の赤みが強くなりました。セシルもおんなじ色になりました。

「黄色」

「きーろ」

黄色は薄くてよく見えないです。


「青」

「あっおー」

綺麗な青色に変わりました。


「白」

「しろー」


白くなった炎はキラキラしてます


「きゃーーー綺麗」


「ふふふ、女の子ね〜」


「きゅっと閉じて」

「きゅっととじてー」

おててで蓋をしても暑くありません。ふわほわしてます。


「セシルは何色がよかった?」


「しろ!」


「じゃーおててを開いて」


「きらきらー」

手を開くとキラキラとまた白い炎が燃えていました。なんだか雪みたいなのに、炎です。


「きれー」


「炎を消しておーしーまい」

そう言って、お祖母様が炎を消しました。


「あーきえちゃったー」

「また、一緒にやりましょうね。お祖母様とセシルだけのお歌よ」

「あい!」





夜、すやすやと眠る孫たちを見つめながら、ドラハとドミニクはワインを飲んでいた。

「少し心配だったが、セシルもジョゼフも仲良く過ごしているな。」


「本当、よかったわ。魔法も、剣術もできないって聞いた時は焦ったけど、手遊び歌なら分からずに魔法を使ってくれるのね。」

「うむ、最初に気づいたのは絵本の読み聞かせをしていたアランだがな、ジョゼフもうまく見つけたようだし、これで遊びながら魔法が使えるようになるな。」

「あとは、剣術ね。はぁ〜かわいい孫娘に剣が教えられると思っていたのに」

ジロッとドラハをにらむと、ドミニクが慌てて視線をそらした。

「ほら、ついつい、息子たちのようにしてしまってな。孫も男ばっかじゃったし」

「はぁ〜確かに、うちのバカ息子たちの時は屋敷を破壊しまくってたけど、女の子は繊細なのよ」

「そうだの〜。・・・二人は屋敷を壊す感じはないからな・・・レオンが子供の頃か、懐かしいな〜。あれは王都に連絡が来た時は驚いたわ」

「そうね。ふふふ、レオンの子の中では、ウジューヌが暴れん坊な所を受け継いでるわね」

「そうだな、ウジューヌが荒れると、すぐにアランとエドガーがワシ達に連絡してきたな〜。あいつは王都に行っても変わらんようだが」

「・・・来年はセシルだけ屋敷にいることになるわね、アランは良く泣いてたけど、セシルは大丈夫かしら」

「ふむ、来年までにはなんとかせんとな」



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