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プロローグ
人は、いつか死ぬ。
だが、若い時分、とりわけ将来の夢をあれやこれやと思い描いているような時期に、自らの人生が迎える最期について、深く考える機会など滅多にない。
俺だってそうだ。
時折、悲惨な事故で亡くなった人々のニュースを眼にして心を痛めたり、ましてや、身近な人間の死に何度遭遇して嘆いたとしても、それを自分の死に直結する事はない。
所詮は遠い未来の出来事だと感じていた。
ただ、そんな折に、ふと頭を過ぎった事がある。
己の死に様について、だ。
事故死、病死、自死、老衰。人間が死に至る要因には千差万別あれど、それでも、『何かに喰われて死ぬ』というのだけは、漠然と、だが、絶対的な忌避感を持って「嫌だな」と、そう感じていた。
だから――。
実際に訪れた自らの断末魔が、一番避けたかったその状況だったというのは全く以って皮肉でしかなかったし、況してや、自分を喰ったその何かというのが、熊や、鮫や、鰐や、そんな見知った捕食動物ではなく、ドラゴンなどという存外の化け物だったという事実には心底吃驚したのだった。
そして何より、そんな奇怪な死に様が、それ以上に不可思議な「生」の始まりだったという顛末は、全く以て想像の埒外だった——。




