表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/4

第1話 日常という日差しはどこよりも暖かく


「変わりたい」強くそう思った。


「変わらなければならない」世界から背中を押されている気がした。


 そして、一歩一歩踏み出す。


 クラスの人気者である彼女の前に立ち、精一杯声を出す。


「好きです!!付き合ってください!!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 学校という空間はとても小さな空間であるが、高校生にとっては世界の全てであり、それぞれの人が様々な青春を彩っている。高校2年生の夏、青春真っ只中の僕、半和翼(はんわつばさ)は、教室の一角で女子との楽しい会話に花を咲かせていた。


「あんたは、いつになったら彼女ができんのさ?」


 嘘、楽しい会話ではないかもしれない。

 目の前のギャルが今日も僕の机に座りながら、とてもデリケートなことをストレートに聞いてきた。


「そんなの作ろうと思えばいつでも作れるから」

「そのセリフ何回目かなー?」

「作ろうとしてないだけだし、てか一葉だって彼氏いたことないだろ」

「なんで私の彼氏事情を知ってるのかな?もしかして、ストーカーさんか何かかな?」

「そんなんじゃねえよ‼︎俺がそんな怪しそうな人に見えるのか?」

「え、見える」

「なんでだよ‼︎」


 そうツッコむと彼女は、実に楽しそうにケラケラと笑った。

 彼女は、楠一葉(くすのきひとは)。ショートボブなカッコかわいい生粋のギャルであり、制服を着崩して、どこかあざとく妖艶な雰囲気を纏っている。僕とは幼馴染であり、幼稚園の頃から現在の高校生に至るまで何かと関わる機会が多く、今日も今日とて教室でダラダラと駄弁っている。ちなみに、出会った頃からギャルである。


「あんたは、かっこいいんだから自信持ってアップローチしていけば、彼女の2.3人はできると思うんだけどなー」


 しれっとかっこいいといってくるあたりにギャル味を感じつつ


「2.3人できちゃダメでしょ‼︎」

「それもそうか!」


 彼女はそりゃそうだよなといった様子でまたしてもケラケラと笑った。明るく笑っていると思ったら、急に視線を落として艶やかに言葉を続ける。


「私が彼女になってあげよっか?」


 僕はそんな彼女の言葉に内心ドキドキしつつ、思考を放棄して喜びの言葉を伝える。


「ヤッター。ウレシイナー」

「まったく嬉しそうじゃない‼︎」

「トッテモウレシイヨー」

「ロボットになっちゃった‼︎」


 そこでツッコミをする彼女と目が合い2人して思わず「ぷっ」と吹き出して笑い合った。一通り笑った後に「じゃあ」と一旦仕切り直して真剣な表情で尋ねる。


「一葉は本当に俺と彼氏彼女の関係になれるのか?」


 そこで、彼女が深く考え込むそぶりを見せたと思ったら、急に顔を上げてとびっきりの笑顔を向けて


「あんたが、私の彼氏になるなんて100年早いわ!」


と指を突きつけてきた。


 とびっきりに笑顔な彼女が眩しくて、可愛くて僕はつい目を逸らしてしまう。そんな僕の姿を見て彼女は、机からぴょんと飛び降りて「それに」とどこか吹っ切れたように言葉を続ける。


「あんたには、花守さんのストーカーがお似合いよ!」


 そうして、清々しい表情で窓の外に広がる一面の青を見つめる。

 花守さんとは、このクラスの委員長でもある花守心優(はなもりみゆう)さんのことである。銀がかったロングな髪と派手で可愛らしい見た目とは裏腹に品行方正で人当たりがよく、クラスの人気者である。ちなみに、楠一葉も花守さんと並ぶほどの人気者だったりもする。


 遠くを見つめて惚けてしまった彼女の姿を見て、僕は「ふふ」と不敵な笑みを浮かべながら


「俺はストーカーかもしれないが、一葉専用のストーカーだぜ‼︎」


と言ってやった。


「なにそれ、めっちゃキモ」


 彼女はゴミを見るような目つきでニマニマと言い放ってきた。


「一方的な罵倒‼︎」


 僕としては、「ストーカーのような行為をできる関係性なのは一葉だけだ」というようなニュアンスのことを伝えたかったのだがまったく伝えられなかったらしい。幼馴染からのキモは効くな。でも確かにさっきの僕はキモいな。


 そんな僕と彼女のいつも通りの日常を繰り広げていた中に突如として、綺麗で凛とした声が掛けられた。


「お二人は、今日も仲がいいですね」


 花守心優さんの声である。


「みゆうっち、どったの?」


 そんな彼女の問いかけに花守さんはなにも答えずに一歩一歩踏みしめるように近づいてきて、僕と楠一葉の前に立つ。そして、何かを強く決意したような表情ではっきりと衝撃的なことを伝えてきた。


「好きです!!付き合ってください!!」


 彼女は深々と頭を下げて、右手を前に差し出していた。


『え』


 花守さんの愛の告白に2人して口をあんぐりとさせ衝撃に身を震わせていた。そして、僕は、花守さんの差し出した手の先を見て、更なる衝撃を受ける。


 彼女は楠一葉の方をに手を差し出して、愛の告白をしていたのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ