南、一体君は誰なんだ?
南、一体君は誰なんだ?……」
長い間があった。南はうつむいていたが、何かを決めたように顔を上げた。
「……こないだ、しょー君とお父さんが鮫坂研究所まで私を助けに来てくれた時のことを覚えてる?」
「うん……それが何か関係あるの?」
「あるの。
あの時、しょー君のお父さんが私を止めるために銃を撃ったでしょ」
「あー、あの電気が流れる針が発射する銃のこと?」
「そう。
たぶんそれで脳に電気が流れたのが原因だと思うんだけど……
私、ロボットになる前のこと、思い出したの」
……え?
「……つまり、僕と南が会う前の記憶っ!?」
「ふふ……まぁ、焦らないで私の話を聞いて」
「あぁ、うん」
「……私はね、不幸に生まれたの。私が生まれると同時に、母が死んでしまった。私は母に会うことができずに生きていた。そのことで泣く日も多かった。
……でも、私には優しいお兄ちゃんがいた。お兄ちゃんは私が赤ちゃんの時から世話していつも一緒にいてくれたの……」
「……それって」
「そう! 私は麻弥。あなたの妹です!」
……………嘘だ、そんなこと……あり得ない
「……そんなのおかしいよ……
だってあの時、麻弥はいじめられて自殺したて死んだはず……」
「……たぶん、まだ脳は完全に死んでいなかったんだと思う」
「……あり……得ない、あり得ないよ! 意味が分からない」
「じゃあ細かく私の推理を説明するよ。
確かに私は大学に入って程なくして、いじめを受けて自殺した。……でも、しょー君が私を見つけるのが早かった。だから、心臓も脈も止まったけど、脳はまだ生きていた。それで、お母さんからロボットについて聞いていたお父さんが私の脳を使ってロボットを起動させたの。まるで、私を生き返らせるかのように。
でもお父さんはあることが心配だった。それは、私が生き返ったとしても、また同じように自殺しようとすること。だから医学研究者であるお父さんは何らかの方法で私の記憶を消した、というより思い出せないようにした。
私である麻弥をロボットにすることは成功した。生き返った!
お父さんはロボットになった私が、故障したり、記憶を取り戻したり、誰かにロボットであることがバレるのを恐れて、自分の近くで見守ることにした。だから親戚ということにして、自分の助手にした。
でも本当は、しょー君の妹。私のお兄ちゃんはしょーにぃなの!」
完璧な推理だが、信じられない。実感できない。
南は麻弥なのだ。妹なのだ。
でも、もう聞くことなんて出来ないと思っていた「しょーにぃ」という単語を聞いた瞬間、鳥肌が立った。
「でも、なんでお父さんはそのことを僕に隠す必要があったんだ?
麻弥のお兄ちゃんなのに……」
「たぶんそれは、私をロボットとして復活させたことが間違いだったと後悔していたからだと思う」
確かにそうだ。いじめも自殺も止められなかったのに、復活させて記憶を消して、まるで今までのことがなかったかのようにするなんて……南とっては嬉しくないかもしれない、と思ったのだろう。
それを息子に知られることも、父は嫌だったのだう。
つまり、お父さんは僕と妹の最善を願ってロボットを起動させ、そのことを隠した。
「そんなことも知らずに僕はお父さんを責めたりして……」
「そーゆーこと言わないで!!
しょー君だって、お父さんだって、私に対する優しい気持ちは、正しいし、嬉しいんだから!
しょーにぃ! ありがと!!」
「……うん」
その言葉が一番嬉しかった。
「あ! そうだ! これ……」
僕は南の後ろへ行く。そしてポケットからネックレスを取り出して、首につけてあげた。
「……これ、私の大学入学祝いでしょーにぃがくれたネックレス!!
今までずっと持ってたの!?」
「そうだよ。いつだって妹のことが好きだった。今だって、南のことも、麻弥のことも好きだよ」
「……ありがとう」
「これからは、絶対に僕が君のことを守るから!」
そう言って、首のネックレスを握る南の手を、僕が上から優しく握った。
まだ連載中ですがよければ評価もお願いします。
ほとんど毎日更新しています。




