怪力なハグ
「ふぁ〜〜……
ん? ここは……あ、母の研究室の隠し部屋か」
「あ、起きたか、翔介。」
「お父さん、こんな朝から何やってるの?」
「南の治療に決まってるだろ」
「あ〜そうか。お疲れ」
南は朝日に照らされながらまだぐっすり眠っている。メイド服のまま何本もコードを繋がれて、父が色々と調節している。
南の目が覚めるのを想像しているとなんかワクワクしてしまう。
(ちゃんと会うのは1ヶ月ぶりくらいになるから、雰囲気は感動の再会的な感じになるのかなぁ〜。僕の方が感動しちゃいそうだな)
この1ヶ月間、南に会えず、好きな気持ちはただただ膨らむばかりだった。
「おい、翔介。お前、頭ひどいぞ」
「へ?」
「いや、寝癖がひどいって」
(びっくりした!いきなり人格否定されたかと思ったよ)
昨日の夜は床に寝袋を敷いて寝たから、よく眠れなかった。
トイレの鏡で見たら本当にやばかった。僕は母(もう亡くなった)に似て、子供の頃から髪の毛はパーマがかかっている。こんな寝癖はよくあるので、くしをいつも持ち歩いている。
チャリッ
くしをポケットから取り出すと、一緒に何か出てきて下に落ちた。急いで拾う。それは1年くらい前に妹の麻弥にあげたネックレス……。これもいつも持ち歩いている。母の死もそうだが、妹の死もたまに思い出して一人で寂しくなる。
ポチャン
誰もいないトイレで水が一滴垂れる音だけの静かな空間が余計に僕を寂しい気持ちにさせる。
「お〜〜い!しょーすけーー!」
父に呼ばれた。
朝から大きな声で呼ぶなよ!……
……でも、そうだ!今は前より仲良くなれた父がいる。連れて帰れた南もいるんだ!くよくよなんてしていられない!
そう思えた。
ガラッ
「お父さんどうしたの!?」
「南がそろそろ起きるかもしれないぞ!」
「ほんとっ?」
2人してベッドで寝ている南を前かがみでじっと見つめる。
ブーーーン……………ピ
「ふわぁぁぁ……」
「起きたぁーーーー!」
「起きたぁーーーー!」
今度は2人して腕をブンブン振りながら跳んで喜んだ。いい大人なのに、はたから見たら子供みたいな喜ぶ姿だと思う。
「南〜〜!良かったぁー!」
僕は思わず南にハグした。勝手に涙も出た。
「しょ……しょー!しょーー君んん!!叔父さんも!」
その3人の喜びっぷりといったら、狭い隙間に落ちた500円玉を1時間かけてやっと取ったときの歓喜くらいだった(つまり、相当喜んでいる)。
「南、あの研究所怖くなかった?」
「うん、怖かったけど……それより……あ、何でもない」
「え? 何?」
「いや……えぇ!? てゆーか、この服のままなの!? 恥ずかしいじゃん」
「大丈夫。似合ってるから」
「もー、何それ?」
「僕を殺そうとか思ってない?」
「思ってないよ! あれは薬だから」
「なら良かった!!」
「……ねぇ……い、いつまで、ハグしてんの??」
「あ、ごめん、あまりに嬉しくて」
「……いんだよ、もっとして」
「して欲しいの?」
「いやっっ!別にそーゆーことじゃないし!」
「ふふふ、でも元気になってよかった」
「はぁもぅ
………あ、あの、しょー君、叔父さん、心配かけちゃってごめんなさい。あと、助けてくれてありがとうございます」
「何言っちゃってんだよ!」
「うるさいなぁ〜、もぅ!おしおきぃー!」
そう言いながら僕に飛びついてきて、すっごい力でハグしてきた。ロボットはこんなに怪力なのか!?
「いっ痛い痛いって!」
「ふふーん、お仕置きだもん!」
「2人とも仲がいいな〜わはははは」
と父が笑ってくる。
そのせいで自分のやってたことがちょっと恥ずかしくなってきた。南も顔を赤くしながら見てきたので余計に照れる。
やっぱり僕は南が好きなんだ。変わってなんかない。
まだ連載中ですがよければ評価もお願いします。
ほとんど毎日更新してます。




