迫る敵
「え?ここには誰もいないはず……。」
部屋は真っ暗。僕は手探りで電気のスイッチを見つけた。
そして、少し身構えながらつけた。
「ひぇぇ」
思わず僕は声を出してしまった。そこには裸の20体ほどの人間がズラ〜っと、並んでいた。結構の間、僕と南は彼らと見つめあっていた。
「な〜んだ。ロボットか。しょー君ビビってる〜?、ふふ」
「いや、そーゆーのじゃないから!! てか、みんな南に似てない?」
「うん。似てるっていうか、同じだよ。」
「そうか!つまりみんな、お母さんに似てるってことだ。やっぱりお母さんがこのロボットたちを開発して作ったんだ!よくできてるな~」
「てゆーかそんなずっと見ないでよ。最低! わたしの裸見るのと同じだから!」
「えぇ!? ぜ、全然見てないし!!
それより、設計図探すぞ!」
ごちゃごちゃした机の上にノートパソコンがあった。
「ここかも!」
パスワードは隠し扉の暗証番号と同じだった。
カチ! カチッ!
「あった!!」
2人でその線と文字だらけの画面を覗いた。
RHR-Bという名前のロボットらしい。開発者は確かに母の名前だった。そして、他にもいっぱい書かれている。全て、SDカードに保存されていた。
「ねぇ、しょー君、足音しない?」
……ト…トドドドタドタドタ
音からすると1人。廊下を走って研究室に誰かが入ってきた。隠し扉の向こうにいる。
(敵にこの場所を知られたか?)
僕は小さな声で南に隠れておくように言った。
もっとよく音を聞くために入ってきた隠しドアに近づいた。
ドン! ドン!
そいつがこっちに向かってドアを叩いている。
(隠し部屋も知ってのか!?)
「おい! 翔介! いるんだろ!」
「なんだ、お父さんか。どうしたの?」
「奴らが来る! 俺が時間を稼ぐから設計図を持って逃げろ! 逃げ道があるはずだ。」
「おぅ、分かった。」
奴らって、盗聴器の組織か? お父さんはなんでここにいるって分かったんだ? 逃げ道?
状況はよく分からないが、とにかく言われた通り逃げ道を探すことにした。
逃げやすそうな棚の中や壁も床も調べたが無かった。ふと、この部屋には高すぎる「はしご」がある事に気づいた。それで上の棚を調べたところ、1つだけ何も入っていなくて、真っ暗な穴が続いていた。
バタバタバタ……
そうこうしているうちに、奴らが来たみたいだ。壁の向こうで父と誰かが言い争っている。
「南、急ぐぞ! 先に行って!」
「うん。」
僕もすごい怖いが、南もかなりおびえている。SDカードを持って急いではしごを上り、穴の中へ入った。「とこだ!」と奴らの声がする。
(お父さん、ありがとう……)
そう思いながら、先を急いだ。
穴は思ったより狭くて、四つん這いで進むしかできない。しかも、明かりがないから何も見えない。僕は焦っていて南の柔らかいおしりに顔を突っ込んでしまった。
「んあぁっ!
ちょっと、どこにぶつかってるの!?」
「わ、わざとじゃないよ!」
「ちゃんと前確認して!」
「うん。ごめん。」
真っ暗じゃなかったら鼻血を出してるところだった。
穴は狭いし、途中ではしごがあったりして、結構大変だった。
1分くらいでやっと出口に来た。そこは建物の横を流れる川の川岸だった。石垣があって駐車場と建物より低くなっているので、奴らからはこっちが見えていないはずだ。
「誰もいないみたいだな。よし! 車に乗るぞ!」
「うん!」
誰もいないことを確認して、車へと2人で駆け出した。
「止まれっ!!」
駐車場の真ん中で呼び止められた。
恐る恐る振り向いた。覆面の男が僕に銃口を向けていた。
まだ連載中ですが、よかったら評価お願いします。