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本当にロボットらしい

 「……すぐに手を引け。……」


 ( ……これは、脅迫状。窓から、入って来て置いたのか……? )


 開いている窓の外を見た。当たり前だが誰もいない。

 ここは二階。登るのは大変だが、できる。しかも、家の周りは高い塀と木々に囲まれているため、あまり目立たないかもしれない。

 しかし、この家にはお手伝いもいるし、防犯カメラも付いている。少なくとも防犯カメラには映るはず。

 まず、お手伝いさんにこの部屋に誰も入っていないか確認した。やはり、入っていないらしい。

 次に、防犯カメラを確認した。しかし、夜の映像がほとんど無い……。お手伝いさんによると、夜中に電気が止まったらしくそれに気づいたのは朝で今は復旧されたらしい。つまり、電気が無いために防犯カメラは作動していなかった。


 (このまで完璧に……。 )


 あの盗聴器を仕掛けた、そして僕を脅迫してきた敵は相当用心深いみたいだ。


 (でも、一体どんな組織なんだ?警察はこんなことしないし。

  どこかの犯罪組織か?ロボットをどうする……?そうだ!外国に売るのかもしれない。)


 犯罪組織が南をさらって、外国に売り飛ばす……。

 相手が犯罪組織である以上、挑むのはかなり危険である。

 しかし、このままだと南は外国で悪用されるかもしれない。また僕の大切な人がいなくなるのは許せない。


 「そんなこと、許さない!!」



 僕は南が寮にいるのは危険だと思い、せめて少しの間でも、目の届くうちに泊まってもらおうと考えた。

 急いで着替えて研究所の南の部屋へ行った。


 トントン!


 「おはよ〜。僕だよ。」


 ゆっくりとドアが開いて、目を擦りながら南が出てきた。


 「ん〜、おはよ〜。……こんなに早くどうしたの?」


 「あれ?寝てた?ゴメン。」


 「そんなわけないでしょ。う〜んとね、栄養ドリンク飲んでるの。」


 「いや、ちゃんとご飯食べないと……て、ロボットか。でも、充電じゃなくて栄養ドリンク?」


 「うん、しょー君のお父さんが私のために作ってくれてるの。電気だけじゃなくて、栄養が必要な部分もあるんだってさ。」


 「へー、そっか、ロボットか……。」


 「ちょっと飲んでみて。たぶん人間も大丈夫だよ。」


 そう言って、南は飲みかけの栄養ドリンクを僕の口元に持ってきた。ハンディパックタイプ、つまり、ビニールの袋に飲み口と蓋が付いている、よくゼリー飲料に使われてるようなやつである。


 「え〜、本当に大丈夫?」


 「うん。飲んで!」


 何が入っているのか分からない飲み物だし、南が飲んだあとのやつだし……。

 ( いや、南はあくまでいとこだ。 )

 微妙な緊張感のなか、ゴクリ、一口飲んだ。


 「うえ〜〜。こ、これ、味が無いよ〜。」


 「ふふ、はっははは……。そーなの?

  ……私、味覚無いから分からないの。それに、食べ物も食べられない……、充電だから……。」


 「そーか……。」


 南は顔色を暗くして、勢いよくドリンクを口の中に押し込んだ。僕は前よりも南がかわいそうに思えてしまった。

 ( 何かしてあげたいな……。 )


 「で、私に急ぎの用があるの?」


 「あ、そう。よかったらっていうか、ぜひ、うちの空いてる部屋に暮らさないか?安全が確認できるまででも、いつまででもいいんだけど……。」


 「……そう、だね。じゃあそうさせてもらおうかな!」


 「よし!お父さんにも伝えとく。引っ越すのはいつでも大丈夫だけど、なるべく早くね。あともし、準備できたら手伝うから呼んでね!」


 「りょーかい! しょー君!!」


 「じゃあまたね!」


 「バイバーイ!」


 僕は自分の研究室に向かった。


 (でも、南が近くにいれば、色々出来ないのもサポートしたり、楽しいことさせてあげたりできるかな〜? )


 僕は南を本当に好きになってしまったのだろうか?僕は南をどんな存在としてみているのだろうか?

まだ連載中ですが、よかったら評価もください。

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