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甘いは幸せ。33歳、スイーツとお酒で幸福休み  作者: まろじろう


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5/5

第5話 モンブランと『これ、大人のやつだ』

土曜日。


仕事中。


河合菜々子、33歳。


売り場を歩く。


そして。


「…………ん?」


見慣れない。


一角。


いつもなら。


何もないスペースに。


小さな売り場が。


できている。


期間限定。


出張販売。


並んでいるのは。


ケーキ。


焼き菓子。


プリン。


そして。


「…………!」


菜々子の足が。


止まる。


モンブラン。


栗のクリームが。


細く。


何重にも。


重なっている。


その上に。


栗。


一粒。


「そうだ」


もう。


秋なんだ。


スーパーで働いていると。


季節が変わるのは。


売り場が。


教えてくれる。


芋。


栗。


かぼちゃ。


秋になると。


一気に増える。


昔から。


芋栗なんきん。


なんて言うけれど。


菜々子は。


その中でも。


「栗、好きなんだよねぇ」


モンブラン。


栗きんとん。


栗羊羹。


甘栗だって。


好き。


つまり。


秋は。


危険。


美味しいものが。


多すぎる。


「…………」


モンブランを見る。


じーっ。


見る。


そして。


その横。


小さな説明。


――シェリー酒香る、大人のモンブラン。


「シェリー酒……?」


栗。


好き。


お酒。


好き。


その二つが。


一緒。


「…………」


これは。


気になる。


ものすごく。


気になる。


でも。


今は。


仕事中。


買わない。


菜々子は。


モンブランから。


ゆっくり。


離れる。


「帰りまで残っててね」


最近。


これ。


よく言っている気がする。


◇


午後八時。


「お疲れさまでしたー!」


仕事終了。


そして。


明日は休み。


菜々子が。


向かった先。


もちろん。


出張販売。


「…………」


ある。


まだ。


ある。


「よし」


シェリー酒香る。


大人のモンブラン。


一つ。


「これください」


無事。


確保。


さて。


次。


お酒。


今日は。


少し。


遊んでみたい。


モンブランには。


すでに。


シェリー酒。


だったら。


合わせる方も。


洋酒系。


スーパーの。


酒売り場へ。


ハイボール。


チューハイ。


缶カクテル。


「うーん」


菜々子の目が。


止まる。


ジンベース。


柑橘系。


甘さ控えめ。


缶カクテル。


「これ、良さそう」


栗の。


濃い甘さ。


シェリー酒の。


香り。


そこに。


ジン。


柑橘。


炭酸。


「うん」


決定。


大人のモンブラン。


ジンベースの缶カクテル。


今夜の。


ご褒美。


完成。


◇


帰宅。


「ただいまー」


靴を脱ぐ。


バッグを置く。


上着を脱ぐ。


モンブラン。


冷蔵庫へ。


缶カクテルも。


冷蔵庫へ。


「…………」


栗。


食べたい。


でも。


まだ。


菜々子は。


部屋の隅を見る。


いつもの。


エクササイズマット。


――バサッ。


仕事から帰ってきた服。


そのまま。


首に。


タオル。


そして。


もう一枚。


頭へ。


キュッ。


タオルバンダナ。


鏡。


確認。


「よし」


スマホ。


タップ。


もちろん。


推しの曲。


――♪


イントロ。


菜々子の口元が。


上がる。


「エクササイズ、スイッチオン!」


ステップ。


ステップ。


腕。


上。


横。


身体を。


ひねる。


「いち、にっ!」


――♪


今日も。


動く。


脚。


上げる。


腕。


伸ばす。


「ふっ!」


そして。


頭の中には。


モンブラン。


栗。


シェリー酒。


「…………」


どんな味。


するんだろ。


ステップ。


ステップ。


「いち、にっ!」


――♪


一曲。


終了。


額に。


汗。


首のタオルで。


拭く。


「ふぅー!」


菜々子は。


スマホを見る。


「もう一曲!」


――♪


推し。


最高。


モンブラン。


待ってる。


菜々子。


動く。


踊る。


汗をかく。


「よしっ!」


――♪


曲。


終了。


「はぁーっ!」


両手。


膝。


「今日も頑張った!」


タオルバンダナ。


外す。


首のタオル。


外す。


そのまま。


お風呂へ。


シャワー。


汗を流す。


髪を乾かす。


お気に入りの。


部屋着。


形は。


シンプル。


今日は。


少しくすんだ。


ピンク。


「うん」


そして。


夕飯。


ちゃんと。


食べる。


でも。


お腹いっぱいには。


しない。


だって。


今日も。


このあとが。


ある。


「ごちそうさま」


片付ける。


洗い物。


終了。


菜々子は。


冷蔵庫を見る。


「…………さて」


ここから。


私の幸せは。


さらに。


高まる。


◇


冷蔵庫。


オープン。


「お待たせ」


モンブラン。


登場。


缶カクテル。


登場。


テーブルへ。


箱。


オープン。


「おお……」


栗のクリーム。


細く。


何重にも。


重なっている。


その上には。


栗。


一粒。


「やっぱりいいねぇ」


栗好き。


テンション。


上がる。


次。


缶カクテル。


――プシュッ!


「今日はこれ」


ジンベース。


柑橘系。


まずは。


一口。


ゴクッ。


「っはぁ!」


シュワッ。


柑橘。


そして。


ふわっと。


ジン。


甘さ。


控えめ。


「いいね」


では。


本日の。


主役。


モンブラン。


フォーク。


すっ。


栗のクリーム。


中のクリーム。


土台。


一緒に。


持ち上げる。


「いただきます」


パクッ。


「…………!」


栗。


濃い。


クリーム。


甘い。


口いっぱいに。


栗。


そして。


そのあと。


ふわっ。


「…………あ」


鼻に抜ける。


香り。


甘いだけじゃない。


シェリー酒。


ちゃんと。


いる。


もう一口。


パクッ。


栗。


クリーム。


そして。


シェリー酒。


「これ……」


菜々子の。


口元が。


上がる。


「大人のやつだ」


次の瞬間。


「ん~~~~っ!」


両腕。


ぐーーーーっと。


上へ。


脚も。


ぴーーーーん。


身体いっぱい。


伸びる。


「しあわせぇ……!」


戻る。


モンブランを見る。


「これ好き」


栗。


好き。


お酒。


好き。


そりゃ。


好き。


そして。


缶カクテル。


ゴクッ。


「…………!」


ジン。


柑橘。


炭酸。


モンブランの。


濃い甘さが。


すっと。


軽くなる。


でも。


シェリー酒の。


香りは。


少し。


残っている。


「おお……」


もう一度。


モンブラン。


パクッ。


缶カクテル。


ゴクッ。


「…………いい!」


シェリー酒。


ジン。


違うお酒。


なのに。


ちゃんと。


楽しい。


栗の甘さ。


クリーム。


柑橘。


炭酸。


「これ、いいなぁ」


パクッ。


ゴクッ。


「ん~~っ!」


両腕。


伸びる。


脚。


ぴーん。


今週も。


絶好調。


菜々子は。


モンブランを見る。


秋。


栗。


これから。


もっと。


増える。


「…………」


栗きんとん。


栗羊羹。


栗のパフェ。


栗入り。


どら焼き。


頭の中。


栗だらけ。


「秋……」


嬉しい。


でも。


危険。


「忙しくなりそう」


誰に。


頼まれたわけでもない。


ただ。


食べたいだけ。


菜々子は。


笑う。


最後。


モンブラン。


フォークへ。


栗のクリーム。


中のクリーム。


土台。


全部。


一緒に。


パクッ。


「ん~~~~っ!」


両腕。


ぐーーーーっと。


上へ。


脚。


ぴーーーーん。


本日最大。


身体いっぱい。


伸びる。


「しあわせぇ……!」


そして。


缶カクテル。


最後。


ゴクッ。


「っはぁー!」


甘い。


香る。


シュワッ。


「最高」


いつもの。


スーパー。


そこで。


たまたま見つけた。


期間限定の。


出張販売。


季節が。


変われば。


売り場も。


変わる。


そして。


楽しみも。


また。


増える。


菜々子は。


空になった皿を見る。


笑う。


「甘いは幸せ」


河合菜々子。


33歳。


秋。


始まりました。

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