友達は破壊神!?
先ほどまで賑やかだった街が一瞬静まり返り建物から瓦礫がパラパラとふって、地面はクレーターのようにへこんでいる。
その中心に座り込む黒いドラゴンの表情からこの数時間の間に何があったのか察しがついてしまう。一体何回落ちたんだ?
慣れたように謝る姿が見ていられなかった。
「大丈夫か?」
そう声をかけると泣きそうな顔をしながら私を見つめてくる。
「ぼくは…ぼくは……うわぁぁぁぁっっっっっ」
限界だったようで大きな体からバケツをひっくり返したような涙が溢れてくる。大きな泣き声に周りの家からなにごとかとNPCやプレイヤーが集まり人だかりを作り始めていた。
「と、とりあえず話は聞くから、場所を変えよう」
不安そうな顔をしながらもこくりと頷き後ろをついてくる。歩くだけでも衝撃で地面がミシミシとなってしまうからか、建物を壊してしまわないかとずっとビクビクしていた。自己紹介や他愛もない話をして落ち着かせようともしたが、それどころではなさそうだ。しかし街の外が見えてくると安心したような顔をしていた。
外ならきっと壊さないか気にするものもないだろう。
「ところで君はどうして空から落ちてしまうんだ?」
「落ちてるわけじゃないんだ、ぼくはそっと降りようとしているだけなんだけど体が大きいせいか降りるだけでもああなってしまんだよ」
アンズと名乗ったその人?がいうには忍び足で歩くようにしていても、小さな子どもが転んでしまうほどには揺れてしまうらしい。
「どこに行くにも煙たがられるし、どうしたら……」
「まだ、リリース初日なんだし、リセットして作り直してみるとか……?」
「嫌だよ!!ドラゴンになって自由に空を飛んだり山を支配してぼくに向けられた討伐隊を蹴散らしたりしたいんだから!!」
どうやら並々ならぬこだわりがあったようだ…。となると、どうしようもないんじゃ?
最初の頃は街でお金を得たり、クエストをこなさないといけない部分もあるだろうし。
でも待てよ、ここは自由度の高いゲームなんだから人間とか他の生物に変身できる方法もあるんじゃないかな。
「アンズは変身系のジョブとか持っていないの?」
「確か見かけたような気もするけど、メインとサブの2つしか選べないのに変身で一つ埋まっちゃうのは嫌だったから入れてなかったんだ」
「まぁ気持ちはわからなくもないけど…」
「ねぇ、迷惑かもしれないけどもしよかったらぼくとフレンドになってくれない?それで出来たらでいいんだけれど…もしも変身系のスキルスクロールを手に入れたら買わせて欲しいんだ…」
落ち込んだ犬のようにふるふるとしているから、ついつい撫でてしまう。
この大きさでは街での探索できないだろうし、見かけたら教えてあげようかな。
「いいよ、もし街中で売っていそうならかわりに外まで届けにくるよ」
「ありがとう!!」
アンズはパァアっと笑顔になりはしゃぎ回っているけど振動がすごいから是非ともやめてほしい…。
そんなこんなで無記入だったフレンド画面にアイコンが1つ追加された。
「じゃあ、私はもうログアウトする時間だからまたね」
「うん!ほんとうにありがとう!!」
アンズと別れて街の中に入り直しログアウト画面を開く。夕飯何食べようかな?
【ゲームをログアウトします】
「はぁっVRをずっとつけたままだとさすがに肩がこるな…」
目もしばしばするしずっと立っていたせいか足もいたい。ふらふらとベットに向かい飛び込むと全身から力が抜けて行く。しばらく現実に戻るのに時間がかかりそうだ。
楽しかった…。現実ではなかなか体験できないくらい新しいものに囲まれていてテーマパークにでも来たかのような気分だった。
ご飯を食べてお風呂に入ったらもう少し遊んでみようかな?
街を見てまわりたいし、お金もないから当てを探さないとな…。
情報サイトを見たい気持ちもあったけれど3日くらいは情報なしでやってみよう。
そう心に決めてキッチンへと向かった。




