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世界1位への熟練度(レベリング) 〜家族を守るために「剣術」を極めた俺が、世界を買い叩くまでの物語〜  作者: しろくま


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1/12

新宿の「夢想家」と黄金の種

【第1話:前書き】


はじめまして。

本作を手に取っていただき、誠にありがとうございます。


現代に突如として現れた「ダンジョン」。

そこで繰り広げられるのは、華やかな英雄譚だけではありません。

これは、才能に恵まれず、それでも守りたい家族のために泥をすすり、

嘲笑されながらも「世界一」という無謀な夢を捨てなかった一人の青年の物語です。


「謙虚さ」と「野心」。

一見矛盾する二つを抱えた彼の旅路を、一緒に見守っていただければ幸いです。


それでは、第1話をお楽しみください。


 新宿ダンジョン第1層。

 ここは「探索者の墓場」と呼ばれている。魔物が弱いからではない。ここで数年も足止めを食らえば、心も、財布も、そして未来も、すべてが磨り減って動けなくなるからだ。


「……はぁ。またこれか」


 二十歳の佐藤湊さとう みなとは、泥にまみれた右手を振って、スライムの粘液を払った。

 足元にあるのは、たった五百円の魔石。そして、その横には心無い探索者が投げ捨てたポーションの空き瓶や、折れた剣の破片が転がっている。


 湊は溜息をつきながら、それらを拾い、腰のゴミ袋に入れた。

 魔石の稼ぎだけでは入場料すら払えない。だから湊は、ダンジョン内の不燃ゴミを拾ってギルドに提出する「清掃協力費」で、なんとかその日を繋いでいた。


「おい見ろよ。また『新宿の夢想家ドリーマー』がゴミ拾いしてるぜ」


 通りかかる三人組のパーティーが、ニヤニヤと湊を指差す。彼らは十層付近を主戦場にする「中堅」の入り口に立つ連中だ。


「佐藤だっけ? お前、まだ『世界ランク10位以内に入る』なんて寝言言ってるのかよ。そんな暇があったら、もっとマシな仕事探せよ。妹と弟が泣いてるぞ」


 湊は何も言い返さず、深く頭を下げた。

「……お疲れ様です」

 

 相手が通り過ぎるのを待つ。拳を握りしめすぎて、指が掌に食い込む。

 彼らが湊を馬鹿にするのには理由があった。一年前、新人研修の際、湊が「家族を幸せにするために世界一になりたい」と大真面目に語ったことが、面白おかしく掲示板に拡散されてしまったのだ。


 湊はポケットからスマホを取り出し、新宿ダンジョンの実況スレを開く。


【新宿】ダンジョン攻略総合スレ 784

124:名無し探索者

今日も一層で「ドリーマー佐藤」がゴミ拾いしてたわw

125:名無し探索者

あのスライム専門家まだいたのかよ

世界一位目指してスライム狩りとか、効率悪すぎて草も生えない

126:名無し探索者

あいつ親いなくて小学生のガキ二人育ててんだろ?

夢見てないで警備員でもやればいいのに。子供が可哀想だわ


 画面を閉じる。「子供が可哀想」。その言葉が、一番深く湊の心を抉る。

 分かってる。今の俺じゃ、二人に贅沢どころか、普通の生活さえ危うい。でも、警備員の給料じゃ、二人の将来さきまでは守りきれないんだ。


 湊は、誰よりも深く、誰よりも真摯に「成り上がり」を求めていた。

 彼はそのまま、効率が悪すぎて誰も行かない一层の最奥、「干上がった大空洞」へと足を向けた。


「……来い」


 現れたのは、一層のイレギュラー。巨大な質量を持つ変異種『マザースライム』。

 周囲のゴミを飲み込み、異様な魔力を放つその魔物に、湊はボロボロのショートソードを構えた。


「俺は、お前らに笑われて終わるつもりはないんだ……!」


 酸の弾幕を紙一重でかわし、泥にまみれ、転がり、それでも湊は前へ出た。

 日給二万五千円の連中が鼻で笑うようなスライム相手に、湊は命を懸けた。

 三十分の死闘。最後の一振りが核を貫いた瞬間、爆発的な魔力の余波と共に、黄金の巻物が地に落ちた。


「……っ、これは」


【スキルロール:剣術(初期Rank:G)】


 湊は震える手でそれを掴んだ。ゴミを拾い、嘲笑に耐え、泥をすすり続けてきた湊に、神が投げ与えた最後の一本。


「お願いだ、力を……俺に、世界を変える力を……!」


 バリッ、とロールを引き裂く。その瞬間、彼の視界がデジタルな光に埋め尽くされた。


――【「きわみ」システム・起動】

――【固有スキル:極・剣術(熟練度:0.00%)を獲得しました】


「極……剣術?」


 湊が試しに、その場に転がっていた「折れた剣の破片」を剣で弾いてみる。

 キィィィィン! と鼓膜を劈くような高音が響き、鉄の破片が岩壁に深く突き刺さった。


――【熟練度が0.01%上昇しました。現在の熟練度:0.01%】


「……これなら」


 湊の瞳に、絶望の影はなかった。

 謙虚なまま、しかし誰よりも深く燃え上がる野心が、その背中を押し上げる。

 新宿のゴミ拾い、ドリーマー佐藤。

 彼が後に「世界一を買い叩く男」と呼ばれるようになる、これが全ての始まりだった。



【第1話終了時点:ステータス】

名前:佐藤 湊(日本ランク:321,440位)

レベル:3(経験値:12 / 次まで 38exp)

職業:未設定

スキル:【極・剣術】熟練度:0.01%

武器:粗悪なショートソード(Rank:F / 攻撃力+3 / 耐久度 5/20)

防具:汎用ポリエステル防護服(Rank:F / 防御力+2)

資産:2,500円(本日のゴミ拾い協力費+魔石)


【第1話:後書き】


第1話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


「ドリーマー佐藤」と呼ばれ、掲示板でも馬鹿にされていた湊ですが、ついに人生逆転の糸口となる『極・剣術』を手に入れました。

まだまだ最底辺からのスタートですが、ここから彼の「熟練度」がどのように世界を塗り替えていくのか、ご期待ください。


今回のエピソード終了時点での湊のステータスです。


【第1話終了時点:ステータス】

名前:佐藤 湊(日本ランク:321,440位)

レベル:3(経験値:12 / 次まで 38exp)

職業:未設定

スキル:【極・剣術】熟練度:0.01%

武器:粗悪なショートソード(Rank:F / 攻撃力+3 / 耐久度 5/20)

防具:汎用ポリエステル防護服(Rank:F / 防御力+2)

資産:2,500円(本日のゴミ拾い協力費+魔石)


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