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婚約破棄された令嬢、剣と魔法の冒険譚  作者: 百鬼清風
第一部 アルセリオ王国編
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第80章 愛する者を守る力

 私の足元の砂が、エドガルとアベルトゥスのいる場所まで大きく盛り上がった。

 狭い峡谷の道を埋め尽くし、このまま爆発すれば、三人まとめて吹き飛ばされる。


 体は動かなかった。


 その時、どこからか女性の声が聞こえた。


「立つのです。愛する者達を守りなさい」


 その気配は、あの王族の墓で感じた姫のものだった。


「無理だ。あんな男には、とても勝てない……」


 私は呟いた。


「あなた一人の力では勝てません。しかし、あなたは1人ではない。あなたが紡いできた絆の力で戦うのです」


 その言葉を最後に、気配は消えた。

 同時に、彼女の力が私の体へ流れ込んでくる。

 傷は癒え、失っていた力が戻っていくのを感じた。


「立てリュシア、お前の愛する者達を守るのだ」


 今度は、どこからかロデリック先生の声が聞こえた。

 私の体に、更なる力がみなぎってくる。


「負けるなリュシア!」

「僕は、あなたを信じてますよ!」


 エドガルとアベルトゥスの声が響く。

 二人の力まで、私の中へ流れ込んでくるようだった。


 さらに、上空へ戻ってきた母ドラゴンと子供の小ドラゴンが、私の頭上を旋回する。

 二匹からも、力が流れ込んでくるのを感じた。


「いつまでも、戯言を!」


 レン・タナカ将軍の叫び声と同時に、砂山が爆発した。


 轟音が峡谷に響き渡り、砂煙が周囲を覆い尽くす。

 やがて煙が晴れると、私と二人は光に包まれたまま、無事に地上へ降り立っていた。


「叩き割る!!」


 私は、将軍へ渾身の一撃を叩き込んだ。

 振り下ろした剣が、彼の体を真っ二つに叩き割る。


「馬鹿な……」


 将軍は地面へ倒れ込み、そのまま塵となって消えた。


「やった……」


 私は全ての力を使い果たし、剣を支えに膝をついた。


「素晴らしい一撃だった。しかし、この程度では倒されてやるわけにはいかない」


 塵が再び一つに集まり、将軍は傷一つない姿で現れた。

 そして、私へ剣を突きつける。



「両者、剣を引け!将軍、今すぐ兵を引いて王都に戻れ!王命である!これは王命である!!」


 その時、ハインリヒ・バウアー辺境伯の声が峡谷に響いた。

 彼は馬に乗り、手勢を率いて現れる。

 その手には、国王の署名が入った命令書が掲げられていた。


「是非もなし……」


 将軍は驚いた様子もなく剣を鞘へ戻し、背を向けて歩き出した。


「傷つけられる事がまだあるとは。この地にいる意味も、あるという事か」


 そう言い残し、側近が連れてきた馬へ跨る。

 そして、残った兵を率いて立ち去っていった。


 私は立ち上がり、剣を鞘へ戻した。


「やったじゃねえか、リュシア」

「本当に大したものだ」


 エドガルとアベルトゥスが、二人で私の肩に手を回して言った。


 辺境伯の部下達が歓声を上げる。

 次々に称賛の声が飛び交った。

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― 新着の感想 ―
精鋭騎馬半壊の責任は誰が取るのだろう?奴らは国家反逆罪でしょう。
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