No.74 皆まとめて空を飛ぶ
「ラザ、これは一体何じゃ?」
『女の敵をやっつけるござる?』
何故か疑問形で返された。女の敵とはカルカンのことだろうか?
「カルカンを消滅させる力が秘められた球かの?」
「何て物騒なことを言うのにゃ!」
『ちがうござる~。前にヨウが体重は敵といってたござる~』
確かに愚痴ったことがある。
ラザのリクエストに付き合ってドーナツ三昧の日々を過ごしたときに体重がかなりヤバいことになって、ダイエット宣言をしたことがある。食べない妾を不思議に思ったのか、ラザが問いを投げてきたので「体重は女の敵じゃ!」と強く言い切ったことを思い出した。
『やっつける力こめたござる~』
「おぉ、ダイエットが出来るのか。してどうやって使うのじゃ? こうかぇ?」
窪みがあったので指を突っ込んでみた。
妾がこねくり回すのを、カルカンは驚愕の表情をして見ている。
「これで妾も無理せずダイエットを……と、何やら揺れておらぬかぇ?」
「ヨウ! 何で起動しちゃうのにゃーーー!」
カルカンの顔が真っ青だ。何やらやらかしてしまったのかも知れない。
「ら、ラザや……これは妾の体重を軽くするものじゃよな?」
『ヨウも軽くするござる~』
間違いなく揺れている。だがラザが動いた訳ではない。この地震は一体なんだろうかと疑問に思っていたら、ニュースが気になったのでテレビをつけてみる。
──『皆様、ご覧ください。赤坂の一帯が空を飛んでいます! 一体何が起こっているのでしょうか!? これは宇宙人が起こした大規模アブダクションでは無いかと、エックスでは激しさを増しています』
目眩がしたのでテレビを消す。
困ったことにテレビ局も空を飛んでいるようで、流れていた映像は東京タワーを見下ろすアングルの映像が流れていた。間違いない。これは夢だ。
「さーてと、どうやら疲れて白昼夢を見たようだし、妾はひと眠りするかの」
「ヨウヨウ! 現実逃避をするななのにゃ!」
ロフトへの梯子を昇っていたら必死にカルカンが阻止しようとしてくる。
「ええい放さんか!」
「空飛ぶ赤坂にした責任を取るのにゃ!」
「見晴らしが良くなったと思えばええじゃろ。誤魔化すのはカルカンに一任じゃ」
カルカンのケータイが勢いよく鳴り出し、妾の相手をしている暇がなくなったのかカルカンは渋々電話に出る。
「あ、もしもしにゃ? これにはマリアナ海溝よりも深い理由があって……滅相も無いのにゃ。私は一切関与していないし、犯人にも心当たりが全く無いのにゃ!」
カルカンの保身に任せることにして、まだ日が高い内に床に就いた。




