60.仲間
ついに超特大心気弾が、妖魔が密集する地面に達し、グラウンド中を範囲とする大爆発を引き起こした!
耳をつん裂く爆音があたりに響き、土埃が空高くまで舞い上がる!
グランドの大半を覆う大爆発は、周囲に大きな風圧を撒き散らし、10km先からもその凄まじさがわかるほどだ。
一瞬のちには、ばらばらと無数の石や土の塊があたりに降り注いだ。
やがて地面に降り立った天登、錦、戻ってきた慶次は、地面に大穴が出現し、妖魔が全員倒れたことを確認した。
◇
これで「狗縷巣」の妖魔は、幹部を残し全員が倒された。
トオルは、丘の上でポケットに手を突っ込み、フードを被って平然としている。
3人の破邪士は、丘の下からトオルと向き合った。
「最後はお前だけだ」
慶次が言った。
「続けるか?」
「続けるも何も、始めたのは破邪士さんの方だよね? そっちが決めたら……? ま、やめないけど」
その時、グラウンドの端でバイクの下敷きになっていたアキラとヤマキが、バイクを吹っ飛ばして起き上がった。
錦は眉一つ動かさずにつぶやいた。
「まだ生きてやがったか」
天登が口を開いた。
「結局3対3だ。最初からこうしておけば、お前も部下を傷つけずに済んだんじゃないか?」
「はははははは!」
トオルが驚いたように笑い出した。
「破邪士さんて、優しいんだなぁ。なあ錦さん? そこの若い破邪士さん、そんな甘々でいいの?」
錦が答える。
「その点については、同感だ」
「はは!あんたら、名前なんていうの?」
「俺は津神天登だ」
「俺は武丸慶次だ!」
「そうか、俺はトオルって言うんだ。いちおう言っとくと、100パーセント、妖魔だから、夜露死苦!」
トオルは助走なしにもかかわらず信じられないスピードで3人に迫った!天登と慶次は反応できず、一瞬でやられることを悟った。
しかし、錦が前へ出て、大剣でトオルの拳を受け止めた。
高い金属音。刃に触れても、トオルの拳は傷ついていない。信じられない硬さだ。
「お前ら、こいつは俺がやる。残りの2体を任せる」
天登と慶次は、その分担しかないと直感していたため、声を揃えた。
「はい!」
天登はアキラと対峙した。
「トオルさんまで出張らせちゃったよ。おまえら、罪深いね」
慶次と対峙しているヤマキが続けた。
「俺はバイクを壊しやがったあのチビが許せないんだが」
「また盗んで、おっちらいじろーぜ、とにかくこいつらを倒してからだ」
「ちげぇねぇ」
「好き勝手言ってんじゃねーよ、雑魚が」
慶次が啖呵を切った。
「雑魚は雑魚らしく寝てればよかったんだよ、錦さんの優しさがわかんねぇのか、なあ、天登」
「まったくだ。雑魚寝しとけ」
「……………」
一瞬の沈黙のあと、ヤマキが変態した。筋肉がどんどん膨れ上がっていき、身体も赤く変色した。
「俺はもともと肉弾戦が得意なんだ。久しぶりに思い切りやれるぜ!」
ヤマキは慶次に向かって突進した。
「上等だこらぁ!!」
慶次も心気を発し、2人の武闘派の激突がはじまった。
アキラは天登の方を向いた。
「最後のペアは僕らのようだね。よかった」
「よかった?」
「よかったよ。君は、僕らの仲間を、一番多く倒した。大事な仲間をだ。その君を僕の手でやれることが嬉しい。彼らの仇を打てる」
「お前たち妖魔は、罪のない人々を傷つけ、殺し、苦しめてきたじゃないか!」
「それはお互い様だよ。人間は妖魔を古来追い詰めてきた。妖魔は生きるために人間を攻撃する。そこに違いはない」
「……」
「反論できないだろう。事実だからね。まぁ、今更僕もそれを言う気はない。僕はただ、この仲間たちとバカやって遊んでたのが、ただただ、楽しかった。妖魔に生まれ、人間を憎み、そのくせ、人間社会で生活し、自分が何をやってるのか、わからなかった。何のために生きているのかも」
「でも、こいつらとバカやってるときだけは、ちょっとそんな、センチメンタルな気持ちを、忘れられたんだ。タカシ、フジマ、アツボウ、カッちゃん……。そして、ヤマキにトオルさん。みんな、俺の仲間だ」




