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蛟の姫、紗々姫降臨。

三華の塔の主。紗々姫は、瑠璃光からの連絡で大陸に渡った。妖器を操り、移動し、瑠璃光の力になる。

「え!」

振り向いた瞬間、紫鳳は、息を呑むと同時に、硬直した。やはり、蛇は嫌いなのだが、主人を危機から救う方法の一つだと、言われると邪険にできなかった。

「ちょっと!」

瑠璃光の様子を見るなり、紫鳳にくってかかった。

「このばか鳥!私の瑠璃光になんて、事を」

頭から湯気が出そうな勢いである。余計に紫鳳は、後ろに引いた。

「来たか・・・」

瑠璃光は、寝台を背に、やっと息をついている様だった。

「一瞬の隙だった」

「そのようね」

紗々姫は、辺りを見回した。

「随分と、埃くさい部屋でのお出迎えね」

紗々姫は、鼻先を着物の袖で、覆った。

「幼少期を過ごした部屋だ」

「そお!」

紗々姫は、指先で、あちこちの家具を、触れ様とし、紫鳳に止められた。

「応急処置を」

「そうね」

袂から、解毒薬を出そうとして、寝台の上の風蘭にようやく気がついた。

「これは・・・・」

男性なのか、女性なのか、判断に困る。わかるのは、蛟の性が、体内にあることと、その影響で、瑠璃光が毒に侵されていると判断した。

「ふうん」

紗々姫は、腕を組む。

「少しずつ、蛟になりかかっていたのね。きっかけがあって、術が発動した。それは、我が君。瑠璃光かしら?」

瑠璃光は、冷たく笑った。

「同じ者、同士ならわかるか?」

「失礼ね。私は、小物じゃないわ」

小瓶を瑠璃光に渡す。

「一時凌ぎでしかないわ。根源を絶たなければ、解毒できない。」

「根源とは?」

紫鳳は、聞く。

「そこよ」

胸騒ぎがするのか、意識を失っている風蘭を指す。

「きっと、瑠璃光を解毒しても、繰り返すでしょう。長年、蛟の性を飲まされていたのでしょう。根本的に払わないと・・・ね。鳥さん」

微笑まれて紫鳳は、固まった。

「まさか・・・」

以前も、似たような事があった。毒に侵された高官の経絡に、紫鳳の羽を刺し、瑠璃光が香の魔導術で払ったのだ。だが、今回は、瑠璃光は、使えない。

「炎の術手は・・・」

宙を泳ぐ目が、一斉に、瑠璃光の目と一致した。

「青嵐」

瑠璃光は、一枚の紙を取り出すと、乾いた筆で、文字を書き上げた。

「召喚せよ!」

紙札は、ぽっと、炎をあげて、一瞬のうちに、炭になった。

「いてぇなー」

地に炭が落ちると、同時に、青嵐が、足元から姿を現した。

「あれ?紫鳳?お?」

慌てて、くるくる周りを見回し、紗々姫と、目が合うと、慌てて、後ろに後退する。

「そうそう、慌てるな。助けを呼んだのだ」

足元から、頭の上まで、青嵐は、何度も見下ろすが、どこから見ても、大陸の女性ではない。見覚えのある佇まいは、陽の元の姫だった。

「いつの間に・・・・?どうやって?」

「我らと似た様な者だ」

「似た様な者かのう」

ニンマリと笑う口元が、妖のものを匂わせた。

「さあ、いくかえ。まずは、そこに、眠る子かね」

紗々姫は、衣服を剥ごうと手を差し出して、瑠璃光に止められた。

風蘭の呪いを解くため、紗々姫は、術を使うが、やはり、本性は妖物。交換条件があった。

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