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炎の術師、紫鳳を救う

炎を自在に操る青嵐は、悩みを抱えていた。術が使えれば無敵という訳ではない。それなりに悩みがあり、家族の問題がある。歴代の魔導士がこの地に来ると聞いて、探す術師の1人であった。

紫鳳は、主の瑠璃光をはぐれてしまい、すっかりその力を失いつつあった。何としても、瑠璃光に召喚されたい所だが、どうやらその様子はなく、阿と吽もヤキモキしていた。その上、得体の知れない少年。ちょっと見は、普通の少年なんだが、炎を操ると知って、面倒な事にならないうちに離れたいと思っていた。紫鳳は、怪我をしており、式神としての力は、失いつつあったが、かえって、それが効を奏していると思っていた。傍目には、青嵐と変わらない紫鳳は、すっかり、手当をしてもらっていた。

「もう少しで、夜が明けたら、外に出られます。雨も上がりそうなので」

青嵐は、火を起こし、紫鳳の体を暖めていた。

「傷が酷い。塞がるまで、ここで休んだ方がいい」

「三華の塔に、行くのか?」

紫鳳は聞いた。

「頼みたい事があって」

青嵐は、チラッと紫鳳の顔を見た。

「噂を聞いたんです。それを出来るのは、瑠璃光しかないって」

青嵐の起こした炎は、薪もくべていないのに、チラチラと、この荒屋を温め続けている。行こうとしている三華の塔は、もう、吹き飛んでしまった。行った所で、瑠璃光に会える訳はない。今は、どこかに転移してしまっている。

「いつの間にか、こんな事になって。会わないと。。」

外の雨は、やんだようだった。少しずつ、辺りが明るくなるのを、見て、青嵐は、立ち上がった。

「僕は、行かなきゃ」

「瑠璃光は、そこには、いない」

紫鳳が、言おうとしたその時、別の者が、そう言い放った。

「誰?」

外が明るくなってきたのも、雨が止んだと思ったのも、それが、外に現れていたからだった。荒屋の戸が、静かに空き、何事もなかったかのように、涼しい顔をした鶴白が、蛍火に包まれ、外に立っていた。

「こんな所まで、逃げていたとはね」

鶴白は、追尾させていた蛍火を懐に収めた。

「探したよ」

怪しい気配に、青嵐が身構えた。

「止めろ。。かなう相手ではない」

紫鳳は、青嵐を止めた。

「うちの姫が、いなくなってね。困るので、返してほしい」

「あぁ。。蛇姫か」

おそらく転移する時に、自分達ではなく、紗々姫が代わりに巻き込まれたのだろう。

「見た所、お前達も、はぐれた様だな」

青嵐は、何を話しているのか察しがつき、紫鳳の顔を見た。

「隠すつもりはなかった」

紫鳳は、立ち上がった。

「蛇姫は、ついていったと思うが」

「姫には、まだまだ、やってほしい事がある。返してもらいたい」

「そうしたいのは、山々なんだが、見ての通り、はぐれたんでね」

紫鳳は、肩をすくめた。

「お願いするんだな。その蛇姫に」

鶴白の顔色が変わった。

「せっかく、育て上げた妖器なのに、残念だろう。」

紫鳳は、続けた。

「元々は、人間だった。お前が、怪しい術を使い変えていった。そうだろう?」

それは、自分自身も同じ。紫鳳は、次第に鶴白の顔色が変わっていくのに、気がつきながらも続けた。

「操る為にね。思い通りにするつもりが、瑠璃光が現れた所で、計算が狂った」

「それなら。。。姫は諦めようか」

鶴白は、恐ろしい顔つきになっていた。

「器になるのなら、そこそこ力がある方がいい。あんな蛇姫より、ちょうど良い器があるでは、ないか」

鶴白の放った宝珠が、幾つも連なり、紫鳳の首に巻き付いた。避けようとしたが執拗に追い詰める。

「紫鳳!」

阿と吽は、容易く捕まる紫鳳の姿に声を上げた。

「待て!」

それまで、様子を固唾を飲んで見ていた青嵐が、声を上げた。振り向く鶴白の顔面目掛けて、炎の鎖が飛びついていった。


師匠の妻を殺したという嫌疑をかけられた瑠璃光。香を元にした漢薬の書簡を巡っての争いに巻き込まれた様子だが、その影には、尊い人たちがいて。。。

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