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……………………。
唐突に、全ては終わった。
呆然と脱力する一同が目にしたものは、新たな柩に、礼装・戴冠姿のまま横たわる皇帝と、その傍らにひざまずく皇妃の姿だった。
「ひ、妃殿下っ!」
一番に立ち直ったサナレーン侯爵が歩み寄る。
一体、この柩がどこから現れたのか、それすらわからない状態だった。
言うまでもなく、聖櫃の転じた姿ではあるが、それを理解できる人間がいるはずもない。
「……か、みの……」
背を覆う豊かな髪も乱れるまま、項垂れ、震えるセルアが口を開く。
「……神の……御慈悲にて……陛下は、一命を取り留めました……」
「お、おおっ……」
サナレーン侯爵のみならず、全ての臣下の表情に安堵の色が浮かぶ。
しかし、セルアは俯いたままだ。
「……なれど……凄まじき猛毒……。長の治療が必要となります……」
セルアは両手を胸元に置いている。
何かを包み込み、守っているかの風情だった。
実際、そこには聖杯と呼ばれるあの神器が、掌に熱を発している。
セルアは、ようやく面を上げた。
その表情は、強い覚悟に満ちている。
「……意識を取り戻されるまで、幾年かかるかすら、わからない状態……。その間、このセルアが陛下の御名代を承りました!」
神の意志を受けし皇妃。
その自負を以て、セルアは宣言したのである。
「……ひ、殿下……」
神聖なる迫力に圧倒されたサナレーン侯爵は息を呑み、そして一拍を経てその場にひざまずく。
「我らが神と、陛下の御名にかけて、妃殿下へ忠誠を捧げます」
彼に倣うように、葬儀の参列者たちが次々にひざまずき、同じ奏上を行う。
セルアはしっかりと立ち上がり、それを受け入れた。
そして、一同を見渡す。
「……皇帝名代として、最初の命令を下します。すぐさま、一件の捜査に入りなさい。下手人の背後関係は、特に徹底して解明すること。そして、各国へ使者を。事態の詳細を説明し、このセルアが代行を務める旨、告知をするのです!」
これは正に、勅命だった。




