エピローグ
こうして俺達は魔王を倒した。
封印の関係もあってか、供給源を断った状態になっているらしく若干の弱体化が魔族には見られた。
そして魔族を倒しながら、元の世界に戻るために俺達は、アリア達の実家に行き古い資料を探しながら元の世界に戻る方法を探した。
結果として見つけたものの、この世界の魔族はすべて倒しきれていないためにこちら側には時々来ることに。
また、あの魔王の態度から、彼自身を蘇らせながらも人間も共存できないか、といった話をしてその方法を模索し始める。
その間に俺も様々な魔法を使えるようになったり、魔道具も扱えるようになり、それもあってかあの魔王、元勇者の“コピー”も自由に動けるようになった。
やがて、その魔族達の攻撃が、俺達を呼びだした城のある都市を襲っており、城内も魔族に入り込まれていると聞いた。
あんな薄情な奴らを見捨てたい気持ちもあったが、助けることにした。
ぎりぎりの所で助けた時のその城の王は、俺に問いかけた。
「なんでわしを助けた」
「俺を放り出すときにお前がはした金をくれただろう? お前にとってははした金だっただろうが、それが、“お前の命の値段”なんだ。あ、そこにいる姫様と二人分な」
そういった時の姫と王の顔は見ものだった。
もっとも本当の所、見捨てられなかったのと、まったく関係のない町の人やこの城を守っている人達が死にかけているのを放っておくのは、助ける力があるのに何もせずに見ているのは辛かったからだ。
人がいいと仲間に笑われてしまったが、俺の性分だから仕方がない。
こうしてすべての魔族を倒し、魔王の存在を、概念という意味で消滅した俺達がこの世界で英雄として名前を刻むのは、それからすぐ後の事だった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。最後は少し駆け足になってしまいましたが、これにて完結です。また何か投稿しましたらよろしくお願いします。