封印
魔王である、本人が言うには元勇者の“コピー”である人物が吠えた。
真っ先に俺を狙ってくるあたりが、先ほどの彼の言葉と一致する行動だ。
「俺、一番戦闘能力が低いのに!」
「コウジ、下がっていて」
アリアがそう言って俺の前に出て、目の前の魔王が放った炎の魔法を切り裂き、そのまま魔王に斬りつける。
だがそれは片手の剣で防がれる。
次に正人も攻撃するも、瞬時に現れたもう片方の剣で防がれてしまう。
二刀流の使い手であるらしい。
そこに瞳と織江が弓などで攻撃を加えていき、フラウも魔法攻撃を加える。
俺の特製の魔道具の威力はなかなかのものだが、この程度ではこの魔王は倒せそうになかった。と、
「言い忘れていたが、勇者の“コピー”と言ってもそのままでは複数人相手に戦えない。だから更に強化して俺は作られているらしい。例えば、かの勇者は炎を扱ったというが私は、炎以外にも氷も風も扱える。こんな風になっ!」
そう言って魔王は、氷の攻撃すらも放ってくる。
凶悪な攻撃に俺達は逃げ惑うも、そこで巨大な氷が俺の方に打ち付けられた。
とっさに銃を構えて、俺はその氷に打ち込む。
大きな音を立てて、銃弾が氷に当たり消滅させる。
安堵のため息をついた俺に魔王が、
「一瞬で消滅させる武器か。しかも人間相手にそれを使ったなら危険だな」
「そうだな」
「やはり確実に仕留めねばならないようだ。お前の存在は危険すぎる」
そう言って魔王は、俺を狙い撃つように剣をふるう。
それをどうにか避けて、アリア達に何とか防御してもらう形になりながら、彼女達を狙う攻撃に対して銃を打ち込む。
先ほどのような大きな氷や炎、そういったものを幾つも破壊してからそこで、一時的に攻撃がやむ。と、
「これほどの力があるとはな。……それでお前達は俺を壊すのか?」
「自分を物のように言うんだな」
「物の自覚があるからな、悲しい事に。そして、その一方で、魔王に等なりたくないという感情もある」
「……倒されるのが駄目なら、封印はどうだ?」
以前、正人から聞いてたそれを話すと、魔王は首を振る。
「無理だな、昔のあの封印道具と同じだろう? あれ以上のものはその後も作られなかったと聞く」
「俺が作った、もっと強力なものだ」
そう告げると魔王は少し黙る。
考えているようだ。だから、
「俺を倒した所で新たな勇者が生まれるだけではないのか? その勇者も倒すと?」
「場合による。危険性が低下出来れば倒される場合もある」
「その四天王だけでも全員倒せば、魔王をやらなくて済む、というわけにはならないのか?」
「俺が倒されない限り、四天王も魔族も全員いずれ復活する。そういう風に世界が出来ている」
「……延々と戦い続けると?」
「その覚悟はある」
「だったら、封印されろ。どうにかなるまで」
そう俺が告げると魔王が再び黙ってから重い口を開く。
「いいだろう、一度は挑戦させてやる」
そう言った。
だから、少しの間攻撃を止めてもらい、封印を行う。
すぐにその封印は上手くいき、魔王は白い光の結界のような物の中で眠りについた。
「ふう、上手くいったな」
封印という形だが、この世界の魔王はこうして封じられたのだった。




