緩んだ顔
こうして部屋に戻った俺だが、まず作成したのはベッドだった。
俺のベッドがないと、気づけば女の子の間に挟まっているというような展開になりかねないからだ。
そして材料を目の前に置き、スマホでカメラをとる要領で特殊能力を使う。
するとみるみると大きなベッドが現れた。
ふかふかで柔らかそうな、人を駄目にしてしまうレベルのベッドだ。
これなら気持ちよく眠れそうだな、と俺が思っているとアリアが、
「凄くふかふかのベッド。こんなものうちの屋敷にもないわ」
「うちの屋敷?」
「え、えっと、珍しいわねこれ。私もこんなものは見たことがないからちょっとだけ眠ってみてもいいかしら」
アリアが興味津々に言うと、フラウとニャコも興味があるらしい。
なのですこしくらいならと思った俺が甘かった。
三人がベッドに入るなりだらしない顔になり、
「き、気持ちが良すぎる」
「う、うにゃ~ん」
「こ、これは素晴らしい素材……でも分析する気力すらなくなっていく」
三人がそう言って俺のベッドに入ったまま出てこなくなった。
これはベッドがとられてしまったとみるべきか、可愛い美少女たちの緩んだ顔という物を見れる絶好の機会を手に入れたと思うべきか。
俺は真剣に考えて、残りの魔道具を作ることにする。
素材分析の装置は腕時計型のもので、他にも能力を幾つも後から付け加えられそうだ。
だから部室や素材の特定、魔力なども見れる効果と、値段についてわかるようにし、それに欲しいものを周囲から探し出してマップのようなものを立体映像で表示する機能解かないかな、と夢を広げ検索する。
丁度これも買っておくといいと聞いていた素材があったのでそれを使い、腕時計型測定器を俺は作り上げ、残りに取り掛かったのだった。