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DREAM DIVE ERROR 漆黒のイカズチと血薔薇の戦姫  作者: 知恵利一
第2章:「漠着」―漆黒の執行者―
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第8章:神殺しのプレリュード ―聖域への回廊―

第7章をご覧いただき、ありがとうございました!

第8章、ついにすべての因縁に決着をつける【最終決戦】が始まります。

舞台は、全人類を永遠の悪夢に閉じ込めようとする人工神『DEUS-Ex』の神殿。

そこに囚われていたのは、かつて救えなかった少年・音無光の変わり果てた姿でした。

レジスタンスの新型フレームを纏った風月と、すべてを懸けて共鳴する火楽。

二人の絆が紡ぎ出す、神殺しの究極一閃『天叢雲あめのむらくも』の威力を、どうぞその目に焼き付けてください!

 作戦はシンプルかつ、無謀だった。

 カノウたちが陽動として本部ビルへ正面衝突を仕掛ける間に、風月と火楽が「精神の特異点」へ直接ダイブし、人工神の核を内側から破壊する。

 風月の右腕には、レジスタンスが極秘に開発していた試作型外部フレーム【ヤタガラス・アーム】が装着されていた。

 それは組織の「バク」を凌駕する出力を持ち、風月の精神をダイレクトに物理攻撃へと変換する。

「準備はいいか、火楽」

「言ったでしょ。あんたの背中は、私が守るって」

 二人は、特異点へのゲートが開かれた実験室の入り口に立つ。

 眼前には、もはや現実の風景を侵食し、空間そのものがグニャリと歪んだ「虚無の穴」が開いていた。

「……これより、最終ミッションを開始する」

「『漠着ばくちゃく』!!」

 漆黒と鮮血の光が、重力と因果を突き破り、神の領域へと飛び込んだ。

 ダイブした先に広がっていたのは、かつてのどの悪夢よりも静寂に包まれた、クリスタルの世界だった。

 しかし、そのクリスタルの柱の中には、無数の人間たちが「眠ったまま」埋め込まれている。

「……これ、全部、23区の住人なの?」

 火楽の声が震える。

 そして、神殿の玉座に鎮座していたのは――。

 かつて死んだはずの少年、音無光の姿をした、巨大な偶像だった。

 だが、その瞳には感情はなく、背後からは無数の銀色のプラグが伸び、本部の演算機と直結している。

 組織は、彼の死体すらも、人工神の「制御ユニット」として再利用していたのだ。

『……オ兄チャン……。ドウシテ……目覚めさせタノ……?』

 少年の声が、何千もの人間の悲鳴を合成したようなノイズとなって響く。

 偶像が立ち上がると同時に、神殿全体が激しく振動し、黄金の雷霆が風月たちを襲った。

「……あの子の魂を、これ以上汚させるかッ!!」

 風月が、ヤタガラス・アームを咆哮させる。

 黒い雷が、黄金の雷を真っ向から切り裂いた。

神殿の床が、激しい振動と共にひび割れ、そこからどす黒い粒子の奔流が噴き出した。

偶像となった音無光の背後から、機械的な翼が展開される。それはかつてのゼウス型とは異なる、剥き出しの回路と腐肉が混じり合った、人工神『DEUS-Ex』の真の姿だ。

『ボクハ……モウ……痛クナイ……。皆モ……ボクト同ジ……「夢」ノ中ニ行コウ……?』

「光……。お前が欲しかったのは、こんな冷たい静寂じゃないはずだ!」

風月は【ヤタガラス・アーム】を強く握りしめる。アームから伝わる反動が、彼の脳幹に火花を散らす。

この人工神は、都民すべての「孤独」と「諦め」をエネルギーに変えている。一人のダイバーが抗える質量を、疾うに超えていた。

『無駄ダヨ……。人間ノ……悲シミハ……無限ナンダ……』

神が手をかざすと、神殿の天井から無数の光の剣が降り注いだ。

一本一本が、一人の人間の「絶望」を刃に変えたもの。風月は一歩も引かず、光の雨の中へ突き進む。

「風月! 一人で抱え込まないで!!」

火楽が、限界を超えた熱量を放ちながら神の側面に回り込む。

彼女の「血薔薇」は今や熱で白く輝き、触れるものすべてを蒸発させるプラズマの鎖と化していた。

「私たちの命は、誰かのデータの材料じゃない! ……あんたの『イカズチ』に、私の火力を全部乗せるわよ!!」

「火楽……正気か? 下手をすれば、お前の精神が焼き切れるぞ」

「ヒーローが命を惜しんで、誰が明日を笑えるのよ! 行くわよ、武見!!」

火楽が風月の背中に飛びつき、その肩に手を置いた。

【ヤタガラス・アーム】と【血薔薇】が物理的に接続される。漆黒の雷と白熱の炎が混ざり合い、紫電の嵐となって空間を焼き尽くす。

「――共鳴レゾナンス接続コネクト

風月の視界が、火楽の記憶と混ざり合う。

彼女の強がり、彼女の孤独、そして、彼女が自分に向けていた不器用な信頼。

二人の精神波が完璧に同期した瞬間、ハイパーブレード【イカズチ】が、神殺しの真の姿を現した。

 神が、驚愕に目を見開く。

 風月の手に握られたのは、もはや刀ではなかった。

 それは、夜空を切り裂く巨大な紫の光柱。

「……光。お前を、この偽りの神殿から連れ出す。……そして、本当の眠りを与えてやる」

 風月と火楽、二人の叫びが重なる。

 彼らは光の速さで神の懐へとダイブした。

 神が放つ黄金の雷霆を、紫電の刃が紙細工のように切り裂く。

 一切の防御を無効化し、概念を断つ一撃。

「――漠着、終焉抜刀……『イカズチ・天叢雲』!!」

 閃光。

 神殿の中央に座す偶像の胸元を、紫の雷鳴が貫いた。 

 ドォォォォォォォォォン!!

 人工神の核が粉砕され、凝縮されていた数百万人の絶望が、純粋な光へと還元されて天に昇っていく。

 崩れ去る偶像の中で、一瞬だけ、本来の姿に戻った光が、穏やかに微笑んだ気がした。

第8章、最後までお読みいただきありがとうございました!

風月と火楽の限界を超えた共鳴、そして少年・光の魂を救う一撃。これまでのすべての戦いがこの瞬間に集約されるよう、熱量を込めて執筆いたしました。

偽りの神は崩壊し、世界はついに目覚めの時を迎えます。

激闘を生き延びた二人が、本当の朝日の下で何を語るのか――。

次の、**『エピローグ:果てなき夢の境界線』**にて、この物語はついに【完結】となります。

二人の旅路の結末を、どうか最後まで見届けてください!

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