三章1〜“ヤンキーに絡まれる”
このメニア魔法学園では何が学べるのか?
それは勿論魔法である。
エルフが研究した魔法、今までの古代文字が急に読めるように…なんて事ではなく、自らの力でマナに命令を下して魔法を扱う!
故に今までの魔法の事をスキルと呼ぶのだとか……まぁまだ浸透しているわけでは無いのだが、少なくともこの学園ではそう呼び扱うらしい。
それにしてもこの異世界というやつはアニメやらゲームやらに近い…。
というか無理矢理俺が当て嵌めているともいえるが。
本題に戻ると、基本的に魔法を学ぶことができる。そしてその魔法を研究する。
研究に関しては魔法だけに関わらずスキルの事をだってマナの事だって調べる!
世界問わず研究者というのは謎を突き止めるものなのだろう!
そもそもこの学園は5年制度である。
そして5年間真面目に魔法を…ってわけではない。
入学と同時に冒険者ギルドの、冒険者としての資格を獲得できる。
ギルド資格に関してはメニアだけではなく他国の学校のような組織を持つ国は等しく行っている。
冒険者の資格に関しては3段階あってその1番下の資格を手に入れる事ができる。
こんな魔物だの魔法だのって世界で冒険者という資格は、仕事を見繕うのに丁度いいのである。
魔法の研究結果なり冒険者としての仕事なりと詳しく設定されているわけではないらしいが、メニア魔法学園の学生としてのなんらかの功績を出しているのかと毎年結果を摘出、5年間それを続けると冒険者ギルドの上位資格なり、希望する職業の斡旋なりとかなり優遇してくれるのだとか…。
学園としては学生が、毎年なんらかの冒険者として功績を残して学園の宣伝を行ったり、魔法の研究を続けさせることに意味があるのだとかなんだとか…、詳しくは俺も理解できていない。
とりあえず魔法は教えてやるから、それを使って冒険者をするか、みんなで魔法の研究をして発展させろってことだ!
1年目は功績などなくても2年生に上がれるらしいので、1年間で自分の方向性なりを決めて励めってことなんだろう。
つまり魔法使いになりたいわけじゃなくて、剣だけに生きるぜって奴も勿論いるし、戦うなんてやらないけど魔法を使った家具なんてものを開発する為に学ぶ!なんで奴もいる。
つまり目的は様々だが、それを受け入れて自由にやらせるのがこの学園の方針らしい。
他国の学校なんかと違うのは、魔法を教えることが出来るという事だろう。
まぁそんな学園についての事は置いておいて、全校生徒は300人強くらいらしい。
案外少ないのは、功績を残せず退学だけではなく、素行の悪さでの退学者や冒険者として狩りに出て帰らない者もいる。
教員数も考えて毎年入学枠は100名と決まっているのだとか…。
学園には勿論校舎があるみたいだが、学年毎の教室こそあるが、席は自由だったり、授業は選択制だったりと細かいシステムは後々調べて理解していこう!
共有スペースとしては食堂なんてのもある。
そして希望者用に用意されている寮もある。
男子寮と女子寮があり、基本的に2人で1部屋だが一部の特待生枠だけ個室である。
何を隠そう俺は個室、ミシェイルも個室である。
レイス?しらね。
✴︎✴︎✴︎
俺は文句を言いたい。
入学式なんてものはなく教室に集められた1年生。
そう、1年生は100人いるである。
いや100人はいないかもしれない、体調不良で初日欠席した奴もいるだろうし、何か事故に巻き込まれた奴もいるかもしれないし、初日はめんどくせーわって不良ももしかしたらいるかもしれない!
なんせ様々な国だけではなく種族も違う、つまり文化も違う者たちが集められているし、この世界は唐突に黒竜に襲われるような危ない世界なのだから…。
だが、どう少なく見積もっても80人はいるのに、合わない教室の面積。
狭すぎる人口密度……、俺は可能なら今すぐ脱出したい。
だが、先生らしき人がなんか説明してくれている。
申し訳ないがよく聞こえない……、あ、やっぱり脱出していいだろうか?
そんな俺の腕に何やらやわらかい感覚がある…。
「むっ、すまない…狭いな」
「…いいえ、全然気になりません!」
隣のミシェイルが俺の腕に密着しているのだ。
俺と逆側の男がやたらゴツい獣族であり、その分スペースを取られているのだろう。
いいえ、そんな事はいいのです、むしろウェルカム!
何かやわらかい感覚、これが何なのかはあえてわからないと言っておきますが、幸か不幸か選べと言われれば…幸でしょう!!
私も男です。
外見から言えば中学生か高校生といった年齢と言えます。
隣に密着するのは美少女です!
昔の妹の面影を感じる事を除けば嬉しい限りなのは間違いない!
隣のゴツい獣族の方!ありがとう!
そんな事を心の中で思っていたら、先生のお話は終わっていた。
話聞こえてなかったけど、それどころか聞いてなかった…。
✴︎✴︎✴︎
入学時に配られた小さな3つの星がついたペンダント。
材質は何かわからないが、軽い割には頑丈そうに感じる。
当たり前だが、オシャレではなくこれが冒険者ギルドの証らしい。
専用の光を当てれば文字が浮かび上がり、個人の特定になるんだとか…。
3つの星というのは階級である。
3つの星が1番下の階級である3rd
2つで2nd、1つで1st…、とりあえずソルジャーと名乗ろうか?
このペンダントにしても異世界というのは現代に比べて進んでるんだから何だかよくわからない。
それも全て万能エネルギーたるマナたるもののせいだろう。
この世界では電気を付けるにしろ火を付けるにしろマナを使う。
それぞれマナを含んだ魔石によるものだ。
機会があればそんな事も詳しく調べてみたいものである。
入学式?らしきものと説明会?らしき行事が終わり、とりあえず寮に一旦戻るらしい。
午後は今日に限っては見学なりなんなりと自由時間である。
俺もミシェイルと後で落ち合う約束をして男子寮に向かう最中である。
異世界で…というよりは学園モノ?入学式の後のある種のお約束でもある災難が俺に降り掛かる。
「何見てんだコラッ」
男子寮への道で、5人くらいでだべっている種族ごちゃ混ぜの若い男女グループ。
俺に怒鳴って来た男のヒューマンは俺より少しとしたくらいだろうか?
この世界では…現代的に言うヤンキーや不良なんてアウトローな方々に流行している髪型がある。
その髪型とはオールバックと呼ばれるものだ。
ほのかに甘い香りのする油らしきもので、髪の毛を全て後ろに流すようにして固める……。
そんな髪型をした男が荒々しい歩き方で肩を前後左右に揺らしながら寄ってくる。
同じような場面に出会したことがある人ならわかるだろうが、お前なんか見ちゃいない…自意識過剰ですかコノヤローなんて言いたくなるが、そんな喧嘩を買うような言葉は吐いてはいけない。
前世ではこんな経験なかったからわからないが、こういうのは相手にしちゃいかないと聞いたことがある。
つまり無視だ!
俺は聞こえていないようにあえて何の反応もせずにその場を通り過ぎようとした……が、どうやら選択肢を間違えたらしい。
「待て待て待て待て!何か無視してやがるクソガキ!」
お前らこそこんな学園内で喧嘩してもいいことなんかないだろうに……。
ガラの悪い男がそう言って俺を追いかけて肩を掴んでくる。
間違いなく絡まれてる、ついでに微かに酒の臭いもするということは…こいつら昼間だから飲んでるのか?
まぁ現代の感覚がある故に昼間からの飲酒に良いイメージを持たない俺だが、実際冒険者は珍しくないのだろう。
冒険者の多い街を通ったりしてきたからわかるが、彼らは昼夜とか関係なく酒を飲む。
この学園の学生も、学生という肩書を持つ冒険者であると考えれば不思議なこと何もないが……。
「…すいません、自分とは思わず…」
思う所はあるがとりあえず謝っておく……、何かあればすぐに謝るのは日本人の悪い癖だなんて言われているが、個人的には悪い事だとは思わない。
簡単な謝罪の一言で溜飲が下がる事だってあるのだから!
だがここは日本でもましてや現代社会でもない異世界である。
そして相手は酔っ払い……、予測不能なのだ。
俺は殴られた。




