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奉光  作者: 鯣 肴


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02.終わり

 旅だ、旅に出よう。

長い旅。いつ終わるか分からない旅へ。

荷物は、好きなもの全部。

全てを詰め込んで。


男は、わくわくしながら旅行の準備をしている。

人生初めての旅行。長旅。

これから始まる、終わりなき旅。


一人ではない。旅は道連れ。

男には将来を誓い合った女がいた。

連れ人は彼女。共に計画を立て、旅へ出ることを決めた。

共に荷物を積み込む。


「ちょっと、私の家から持って来たいものがあるの。

 探してくるから待ってて。しばらく掛かると思うけど心配しないで。」

彼女はその一言と共に姿を消す。





 数日後。彼女は戻って来ない。

しかし、男は彼女の家を知らない。連絡先も知らない。

焦っても仕方ない。

彼は家の中へと戻る。


白い机の上。小さなメモの断片と―――花。

葉から花びらまで、色のない、花。

モノクロの花。


メモ。

『この花の意味を考えよう。塗るべき色は何色かな?』


これは、花。花ではないが花の形をしている。

確か―――

車の中を漁る男。そして、目的のものを見つける。

植物図鑑。


ページを(めく)る。目の前の花を見ながら。

見つけた。


ゼラニウム(白)。

花言葉:あなたの愛を信じない

「……」





 できることは、あなたの幸せを祈ることだけ。

モノクロの花を乗せて。何も塗らない。

車に載せて、ただ南へと向かう。

進めるだけ、ただ進む。


()め息。

思い出す、これまでの彼女とのやりとりを。

それはもう虚ろな言葉。

意味を知らずに吸って、吐き出していた。


溢れる悲しみは終わりへと誘う。

終わり。

太陽が沈む。

眩しく差し込む夕焼け。

歪んでいる。

燃え尽きる前の炎の色。


「さようなら……」





 できることは、あなたの幸せを祈るだけ。

そこに残されていた、モノクロの花。


塗る、白。

セラニウム(白)

花言葉:優柔不断


涙を流す。


塗る、黄。

セラニウム(黄)

花言葉:予期せぬ出会い


塗る、真紅。

セラニウム(真紅)

花言葉:憂鬱(ゆううつ)・慰め・(いや)


塗る、赤。

セラニウム(赤)

花言葉:好み・君ありて幸福


涙が落ちる。

真紅の花、薄れる。

セラニウム(薄紅)

花言葉:疑い・決心・決意


「さようなら……」

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