○とある人間の手記-6
―××30年 12月31日
私が筆を執るのも最後になるだろう。やはり、この計画が進められていると知って放って置く国はいないのだ。それぞれの国自体に戦う事が沁みついている。根っこに存在している。
アルファはもう、駄目だ。滅ぼされる。だが、この国が消えたとしてもあの子たちは残る。7人の天使。計画はきっと成功する。
人類遺伝子消滅と世界の再生。Annihilate human Gene and global Life、「ANGEL計画」は成される。人間の生命エネルギーを消費する事で発動する、人類消滅世界再生兵器「ANGEL」。子どもたちの体内に「ANGEL」を宿した私を人は悪魔と言うのかもしれない。
私は悩み苦しんだ。今、自分が正気なのかどうかは分からない。この計画を進めていた事自体、私が正気でない証かも知れないが。どうすれば世界に平和が訪れるのか。私なりに答えを出した。答えは簡単だ。根本を絶てばいい。
根本は人間そのもの。
人間がいなければ武器も作れない、思想もない、実力行使に出る者もいない。全てが平和になる。あるとも分からぬ「あの世」で私たちは平和に暮らす。笑顔のままこの世界から消滅する。
もしこれを読む者がいれば、新たな人類が生まれた事になるのかもしれない。新たな人類の世界は平和であろうか。それともまた戦いの中に身を投じるものがいるのだろうか。後者ならば次はこの世界ごと壊してみるのはどうかな?
我ながら単純で幼稚な答えだ。
私の出した答えは、本当に正しかったか。
間違っているのなら証明したまえ、新たな人類よ。
―この世界を愛した1人の人間、ディルー
短いお話でしたがありがとうございました。
「ANGEL」の頭文字、だいぶ無理矢理な感じがしますが……。
では、他の作品でもし出会えることが出来れば幸いです。
2016/3 彼方わた雨




