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剣士とビッチと美少女七人(エトセトラ)  作者: 恵/.
1の章 ~月乙女と陰の商業都市~
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そしてそのままお泊り会


「さ、こちらです」

「わー! いい部屋じゃない!」

 ハイドラに案内された部屋は、広い三人部屋だった。並んだ三つのベッド以外にも、ソファやワインセラーなど、数々の調度品が部屋を飾っている。シャワールームも完備で、この部屋だけでも生活できそうな状態だった。

「後ほどまた伺いますので、それまでごゆっくり」

 案内を終えて、ハイドラは部屋を出て行った。父親のところへ戻るのだろうか?

「良かったわね、グラたん。うわっ、このベッドいい感じー!」

「まあな。ただで泊まれるにしては豪華すぎる気がしないでもないが。っていうか、はしたないから止めろ」

 ふかふかのベッドへ飛び込むエーテルと、それを窘めるグラ。……ベッドに乗っかって脚をバタバタさせているため、ミニスカートが捲くれ上がっている。中身まではぎりぎり見えていないが、偶然なのか、態とそうなるように狙っているのかは分からない。

「でも、こんだけいいベッドだと、ヤることヤるのも躊躇いそうよね。シーツ高そうで、汚すと悪いし」

「まず最初に浮かぶ感想がそれかよ……一応言っておくが、後でハイドラも来るんだからな。少しは自重しろよ」

「分かってるわよ。でも、ああいう初心そうな子を見ると、色々じれったいのよね……」

 グラに言われて、エーテルは、ここへ来た目的を思い出す。……ハイドラに依頼されたのは、彼女の身辺警護だ。誘拐未遂の直後だし、兵士は当てにならないからと、用心棒を頼まれたのだ。

「まあ、顔見られたからには、口封じも考えられるし。そうなった以上、不安に思うのも無理ないと思うけどね」

「ああ。……だが、やはり腑に落ちないな」

「何が?」

 グラが上げた疑問の言葉に、エーテルはそんな声を漏らす。

「ハイドラのことだ。……ハイドラは、俺たちを用心棒にしたことを、父親に言わなかった。あの場は何か意図があるのかと思ったのだが……よくよく考えたら、話さない理由が思い当たらない」

「あ、そういえば……」

 グラが不審に思っていたのは、先程のハイドラについてだ。父親に事情を話したとき、彼らを用心棒にするとは一言も言わなかった。それを言っておけば、グラたちを泊めることだってすぐに了承してくれただろうに。

「でも、考えすぎじゃない? 単純に言い忘れただけかもしれないし。それか、お父さんが遠慮しちゃうからとか」

「それならいいんだが……」

 なんとも、ハイドラに対する不信感が拭えないところがある。とはいえ、現状では然程気にすることでもないのだが。

「それにしても、用心棒って具体的に何をすればいいのかしら?」

「さあな。とりあえず、日中は護衛してればいいんだろうが……」

 用心棒として依頼を受けたが、さすがに四六時中警護は出来ない。まあ、この屋敷にまで賊が入り込むことは考えにくいだろうし、そこまでする必要はないか。

「その辺のことはハイドラに聞くしかないか」

「そうね。……にしても、ハイドラはどこに行ったのかしら?」

 ハイドラは、部屋を案内した後、どこかへ行ってしまった。また来ると言っていたから、すぐに戻るだろうが。

「ま、その間、乳繰り合いながら待ちましょう」

「誰がするかそんなこと」

「遠慮しなくていいのよ。ベッドを汚せなくても、シャワールームだってあるし、そっちでヤればいいじゃない。あ、何なら外でもいいわよ? 夜の薔薇園とか、ムードあっていいと思うし」

「場所の問題じゃないってことに気づけよ」

 上目遣いに、挑発するように誘惑してくるエーテルに、グラの態度は相変わらず。……というか、その発言自体がムードの欠片もないわけなのだが。

「ん?」

 そんなことを話していると、ドアがノックされた。ハイドラが戻ってきたのか。

「どうぞー」

「失礼します」

 部屋に入ってきたのは、やはりハイドラだった。ただし、服装は先程のドレスと違い、白のネグリジェとなっている。こちらもフリルがあしらわれていて、少女らしい可愛らしさに溢れている。

「寝巻き姿で申し訳ありません……やはり、一人だと不安で眠れないものですから」

「っていうことは、ここで寝るの?」

「はい……その、お二人が、ご迷惑でなければ」

 そしてハイドラは、予想外の爆弾発言をする。……まさか、夜通し護衛して欲しいと言って来るとは。

「いいけど……グラたん」

「何だよ?」

 それに対してどう答えようか考えていたグラだったが、そこへエーテルがこう言い放った。

「ちょっと色々準備するから、お散歩してきて」



「あの、えっと……グラ様を追い出して、本当によろしかったのですか?」

「ああうん、いいのよ。女の子同士の話もしたかったし」

 グラを部屋から追いやって。エーテルとハイドラは同じベッドに寝転がっていた。親睦を深めるにはこれが一番なのだとか。……というか、エーテルだけでなくハイドラまでグラのことを渾名で呼び始めたな。ハイドラはまだ「様」がついてるだけマシだが。

「ですが、お二人は恋人同士なのでは?」

「恋人? 私とグラたんが? そんな風に思ってたんだ」

「違うのですか?」

 ハイドラの言葉に、エーテルは失笑を禁じえなかった。それと同時に、彼女がとても初心であることも、改めて理解した。

「そりゃあね、私だって悪くないかなって思ってるのよ。でも、体の相性もあるし……そもそもグラたん、誘っても突っぱねるのよね」

「はぁ……ともかく、グラ様とエーテル様は、お付き合いされているわけではないのですね?」

「まあね。私のほうは割と乗り気なんだけど……っていうか、そういうハイドラはどうなの? さっきからやたらと興味津々だけど―――もしかして、グラたんのこと気に入った?」

「え、えっと、その……はぅ」

 エーテルに指摘されて、ハイドラは顔を真っ赤に染めてしまう。どうやら図星らしい。

「まー仕方ないわよね。グラたん強いし。イケメンだし。あれで肉食系だったら、丁度いい○フレだったんだけど」

「○フレ……?」

「○フレって言われても分からないわよね……いいわ。私が一肌脱いであげる。グラたんのことは私に任せなさいっ!」

 伏せないと各方面からお叱りが飛んでくるような単語も、ハイドラは知らない様子。そんな彼女を見かねたのか、エーテルはやたらと強気にそう言った。

「よ、よろしいのですか……?」

「うん。ぶっちゃけ、グラたんのことはそこまで執着してるわけでもないのよ? ただ、たまに借りていくけど、そこは悪く思わないでよね。性欲処理には都合良さげだし」

 そうして、エーテルとハイドラの奇妙な共同戦線が張られたのだった。


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