表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
契約結婚と仮面舞踏会  作者: 槙月まき
真実の石

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/91

判決と企み②

「静まれ。」


 その低く、それでいて威厳に満ちた声に、人々は我に返ったように口を閉ざす。


 王は、じっとアデラを見下ろしたまま問う。


「なぜ、真実を隠していた?」


 アデラは顔を上げ、まっすぐに王の瞳を見つめ返した。そこに虚飾はなかった。


「女である私には、公爵家の当主となる資格も、騎士団長として国を守る権限も与えられませんでした。しかし、私は幼いころから、父のように騎士団長として民を守りたいと願ってきました。──そのためには、男として立つ以外に道はなかったのです。」


 アデラの声は揺るがなかった。ただ、抑えきれない悔しさと、積み重ねてきた日々の重みが滲んでいた。


「それは、法を欺く行為ではないか?」


 王の声が重く響いた。


 アデラは、ゆっくりと頷いた。


「はい。ゆえに本日、すべてを明かしました。」


 そう告げると、アデラは静かに立ち上がり、王の玉座へと進み出た。


「ただ一つ、お願いがございます。フォルモーネ公爵家の騎士たち、そして父──アントン・フォルモーネのスヴェーリエ王国への忠義と功績は紛れもない事実です。彼らが王国を守るために尽くした功を、どうか正当に評価していただきたい。」


 その瞬間、大聖堂にいた兵士たちが一斉に反応した。


「アデラ様……!」


「俺たちは、あんたに命を預けた! それが偽りだったなんて思わない!」


 騎士たちは剣を抜き、その刃を床に突き立てた。


 それは、変わらぬ忠誠の証。沈黙の中に込められた、揺るぎなき信頼だった。


 しばらくの沈黙のあと、王はようやく口を開く。


「欺かれたことに対する怒りは、確かにある。だが、それ以上に、貴殿が成した功績を我は見てきた。」


 そして、玉座にもたれかかるようにして言葉を続ける。


「この件については、我一人の判断では下せぬ。王族会に持ち込み、処分を決する。それで良いな、アンドレ──いや、アデラ。」


 アデラは、静かに頭を下げた。


「承知いたしました。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ