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ただいま

 イェルに戻った俺は、懐かしい景色を見ながら馬車を降りる。


 知り合いは周囲にはおらず、早速協会に顔を出しに行くことにした。


「2年でもあんまり変わるもんじゃないな…」


 町は以前のままで、初心者っぽい冒険者が、ボロい装備を着たやつと歩いている…ありゃベテラン……


「リーグル…?」


 呟くと、リーグルがこっちを向いて、涙を流しながら抱きついてきた。


「うおお!!セイスケ!!ドラゴンの探索から戻ったんだなあ!!」

「くるしいくるしいくるしい!離せって!」


 それにしても、何を言ってるんだ?俺は………いや、そういう話になってたんだな。


「連絡やれなくて悪かったな…ゲホ………久しぶりに会えて嬉しいよ」

「おう!!それじゃあまた後で色々聞かせてくれ!!」


 そう言って、初心者と一緒にリーグルは森の方に歩いていった。


 あいつも変わってないな……相変わらず人助けをしているらしい。


 気を取り直してしばらく歩いた俺は、教会のドアを開ける。


 中に入ると、懐かしい顔ぶれや、見たこともない奴らがいろんな話をしている。


 初めてきた時を思い出すな。


 俺は受付に行き「協会長にセイスケが戻ったと伝えてくれ」と話を通して、客室へと連れられる。


 中に入ると、セラミスと協会長がいた。


「セラミ…」


 ボカっ


 なぜかいきなり殴られた。


「ちょっ、なんでいきなり…」


 ポカポカポカポカポカ


「いたいいたいいたい」


 力が強くなってる…2年間で何があったんだ!?


 セラミスは殴るのをやめると、抱きついてきた。


「……私はセンパイと一緒にいるのが幸せだから………もう二度とあんなこと書かないで」


 あんなこと……あの手紙か。


 そうか…色々こいつも考えたんだよな。


「悪かったな…もう離さないよう、に…」


 協会長が微笑ましい感じで見ている。


 まずい、恥ずかしい。


「いっ、一回離れてくれ!セラミス!」

「やだあ!」

「やだって…」


 というか、明らかに胸も……2年でこんなに…あああああ!!!


 ダメだ!!考えるな!!平常心で…そう、平常心…


 保とうとしたが、こっちを見てきたセラミスの顔に不覚にも可愛いと思ってしまい、平常心は保てなかった。


ーーーーー


「ごめんね?私は邪魔だったかな?」

「いえ…」


 あの後なんとかセラミスを引き剥がして、俺は椅子に座ることができた。


 さて、真面目な話をしないとな。


「また冒険者に戻ろうと思うんですが、手続きって……」

「必要ない。元々調査の名目で君はいなかったわけで、冒険者証自体は失効してないからね……ほら」


 協会長は、俺に冒険者証を手渡した。


 銀等級のままだし、よくみると、期限も延長されてる………至れり尽くせりすぎる気が…


「ふっふっふ……」


 なんかセラミスが横で笑っている。こわ。


「…どうした?」

「どや!」


 そう言って、セラミスは冒険者証を俺に見せてきた。端っこに別界級とあるけど…


「その子、ドラゴンとおんなじ等級の魔物をゴルくんと一緒に倒してね……自慢しまくってるの」

「……どら…」


 ドラゴンと同じ等級って……こ、こいつが?


「お前!体とか大丈夫なのか?怪我は…」


 聞くと、セラミスは成長した体を前面に押し出した。


「無傷です!」

「…よかった〜…!」


 大怪我とかしてたらどうしようかと…


「ほら、どこにも傷ないよ?お腹とかも…」

「しまえ」


 お腹を見せようと服をめくろうとした手を止めて、俺たちは宿に帰ることにした。


 宿に帰る途中、セラミスが俺の指輪に気づいた。


「せ、センパイ……これって……」

「?向こうで女の子に貰ったんだよ、土産にってな」

「………どんな子?」


 どんな子って……ソフィアは…


「いい子だぞ?妹みたいで、言うことはちゃんと聞くし、真面目に仕事してたし」


 …なんかセラミスが一息ついてるけど……どうしたんだ?


 まあいいか、こうやって話すのも久しぶりなんだしな。


「そういえば、最近変な夢見たんだよな」

「変な夢?」


 もしかしたら大事な話かもしれないし、話しておくか。


「ほら、御伽話のドラゴンいただろ?それっぽいやつが………」


 急に、酷い頭痛が駆け巡る。


 心がドス黒くなっていくような……!


「せ、センパイ?」


 これは…!


『…来るみたいだね………あの時みたいに心を平常に保てば、心の闇も無くなるはずだ…耐えられたなら、すぐに向かうことだ』

「またこの声か…!?くそっ…一体何なんだよ!」


 なぜか、感覚は過敏になっていた。


 感覚というよりは、まるで勘のような……


 確かにアイツが来るのが分かる。近づいて来るのが、なぜか分かる。


 …………そうか、お前も回復したってことなんだな。


 だからこんなにも、憎い感情が俺の心を蝕んでいるんだな。


「セラミス…!逃げろ…!」


 今度は二の舞にはしない。


 俺がこの2年で培ってきた全てをアイツにぶつけてやる。


 あのトカゲ(ドラゴン)を、他の誰でもない、俺が殺す。


 




 


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