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嵐嵐爆発大噴火、あとは凪

 あれから何時間か後、俺たちは、あの武闘派魔法使いに捕まってしまったため、協会にあるテーブルに無理矢理座らされていた。


 不本意ながらというか恐る恐る俺とセラミスはテーブルを囲む。


「礼」


 その瞬間はもう速攻で最善の行動が判断できた。深々と礼だ。


「助けていただき誠にありがとうございました!」

「ございました!」


 椅子から立ち上がり、深々と頭を下げ、セラミスも真似をするように後から礼をした。これで殴られるなら俺たちの旅もここで終わりだ。


「よし…座れ」


 座る。いや、もう言うことを素直に聞くしかないよな、あんなの見せられちゃったらな。


「お前ら名前はなんだ」

「セイス」

「黙れ!」


 …もう怖いよ…この人…助けてくれ、リーグル…もうこの際カサインでもいい…


「人の名前聞くなら自分からだ!俺の名前はゴルギルガル!長えからゴルでいい!」

「セイスケです…」

「セラミスです…」


 リーグルから言われた。舐められないよう敬語はあまり使うなと、しかし、あまりのゴルギルガル圧の前には使わなくては命の危険を感じる。


 もう自己紹介も終わったし、帰っていいよな…帰らせてくれ…


「名前が分かりにくい!てめえはトカゲ坊主!てめえは紫頭(むらさきあたま)!いいな!」

「はい…」


 なんなんだよお〜〜〜オオオ……!!これならレッドベアに殺されてたほうがマシだ…!


 セラミスはもう目が死んでる…何みてるんだ…?あの世か…?ハハッ、もうどうにでもなれ。


「お前らは見込みがあるな!特に紫頭!」

「ありがとうごじゃいます」


 滑舌回ってねーし…いや、もうここまで来ると清々しくなってきた。今日は肉だな。奮発しよ。


 だが、もう俺たちはそんなふうに死んでるのか生きてるのかの状態を維持する必要は無くなった。


 なぜなら、ゴルの雰囲気がいきなり変わった。


 まるで嵐というより、凪とでも言ったような、落ち着いた雰囲気に変わった。だが、人が変わったというわけではないらしく口調もそのままだ。ただ、テンションが低い。


「カサインから話は聞いてた……優秀だな……あと3、4年もすれば金等級だろうな…頑張れよ」


 助けてくれ。脳がおかしくなる。


 …いや、この状態なら質問しても、もしかすると…


「…なんでいきなりそんなにテンションが下がるんでしょう……」


 幸いゴルは元の大噴火のような状態には戻らずに大人しく答えてくれた。


「ああ…あれは脳をフルに使ってる状態だ…戦闘時とかになったり、判断能力が低下しないようになったり……でもまあ、こうやって冷熱しねえとショートする……」


 ああ、時間が経つと戻るんだな…時限爆弾みたいだな。


 よし、さっさと爆発する前に帰ろう。


 そう思っていたが、セラミスがここにきて自分から口を開いた。


「あの…ゴルギルガルさん」


 ああ、この間に文句を言う気だな?よし、言ってやれ、思う存分言いまくってやれこんな奴。


「私に魔法を教えてください!!」


 …思ってた答えと違った……

 

 それはゴルも同じだったらしく、テンションが低そうなまま目を見開く。


「……トカゲ坊主……席外してろ…」


 いや、さすがにこれは聞き捨てならない。セラミスに危険が及ぶ可能性がある。


 特にあの状態だと、セラミスの頭がゴブリンのように割れかねない。断ろう。


「それは…」

「外せ……!」


 断ろうと思っていたのに足がすくむ。


 さっきの状態が屁でもないと言えるくらいの殺気が俺を襲い、ただ恐怖する。


 …それでも……!


「セラミス…!」


 唇を噛む。血が溢れ出るが気に留めてる暇はない。こんな危ない奴に…


「センパイ、大丈夫」


 だが、今度はセラミスが俺に席を外すよう目配せする。


 いや、無理だと言う言葉が出る前に、森でのレッドベアとの戦闘を思い出した。


 セラミスは…俺に頼らずに状況を脱せた。きっと、セラミスも考えなしに言ってるわけじゃないんだろう。色々な考えがあるはずだ。

 

 きっと、セラミスを思うなら…


「分かった……」


 席を外した方がいい。


 俺は、協会から出て行った。


ーーーーー


 セイスケが協会から出た後、セラミスは、ゴルギルガルに教えを乞うていた。


「お願いします!戦い方を…」


 そして、この願いに対して、ゴルギルガルはただ右手を机に出した。


 そして、一言目は…


「俺とジャンケンをしろ」


 セラミスは、当然困惑した。


「……へ?」


 テンションが低いままに、ゴルギルガルは面倒くさそうに説明する。


「俺とジャンケンして、1回でも勝てたなら戦い方を教えてやる…だが、俺も暇じゃない。長期の依頼が来ている。今日中だ、今日中に何回やってでも、1回勝てればいい」

「い、1回でも、ですか?」

「ああ」


 ゴルギルガルは当たり前だというように答える。


 当然、セラミスは楽勝だと思った。ジャンケンというのは運否天賦、それで10回でもやれば、必ずとは言わないが一度は勝つ……そう、それは、普通のジャンケンの話だ。


「じゃあいくぞ…ジャンケン、ポン」


 セラミスが出した手は、パー、ゴルギルガルが出したのは……


 狐だった。





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