12
マギは数ヶ月島に滞在したのち、不死殺しの薬の流通経路を探りに外の世界へ行った。
そしてリリスの死から2年が経ち、ハクの誕生日がきた。
「おいワカバ、アイスケーキのつまみ食いするなよ」
「うーん、美味しい! やっぱり料理担当はサンが1番だね!」
「褒めたってなにもでねーぞ……だから、つまみ食いやめろって!」
「このニシン漬け、持ってけばいいのかい?」
「クルミ頼む。ワカバ、いい加減にしねーと燃やすぞ」
「きゃっ! サンのえっち〜」
「どこがだ!」
わいのわいのしながら食卓へごちそうを運ぶ。
「あれ? シルヴァは?」
「シルヴァおねえは、あたしと交代でホァンのお世話をしてるよぉ〜。あーづがれだ」
「お疲れ様クロ。それにしてもホァンってさ──」
ルージュがクロに耳打ちする。
「──わかる〜、そうだよね〜。ルージュおねえも思ってて安心したぁ〜」
「? ホァンがどうかしたのか?」
「いえ、大したことない話ですクルミさん。個人差の話なので」
「??? そ、そうか……」
シルヴァ以外集まったところでソラが言う。
「ハク、誕生日おめでと! じゃあね」
ソラは料理を持ってどこかへ行ってしまった。
「おいこら、ソラ!! どこ行くんだよ!」
「ほっとこうよ、サンおねえ。最近ノリ悪いじゃんあいつ」
「あいつじゃなくてお兄ちゃんでしょ? クロちゃん」
「あたし、あいつのこと兄って思ったことないもーん」
「こらこら、ハクの誕生日なんだよ。言い争いはやめようよ」
「ルージュの言う通りだ。ハク、15才の誕生日おめでとう」
『お誕生日おめでとう!』
「おめでとう、ハク」
「ありがとうございます、みなさん。ちょっと話を聞いてくれますか?」
「ん〜? お誕生日のお願いごと? ハクちゃん?」
「少し違います。これからのことで相談が……」
ハクは顔を赤らめて、アッシュが察する。
「あぁ! 健康診断のことか?」
「アッシュ!? これは結構繊細な話で……」
「はぁ? なんで健康なオレたちがそんなことしなきゃならないんだよ?」
「それは、その……」
ハクは恥ずかしがる。みんなはハクが何故恥ずかしがるのかわかっていない。
「アッシュ、ハクには説明しにくいみたいだ。してくれるかい?」
「構わないよ。良いかい、ハク?」
ハクは顔隠してコクリと頷いた。
「俺視点で言えば不老についての研究だ。知っての通り、みんなほとんど12才の年齢で体が止まっている。それをどうすれば成長するようになるか、ハクと共に研究するつもりだ」
「なるほど……肉体の進化のために健康診断をか……ハク視点だとどうなの?」
「え? それは健康のためにやるんだよな、ハク?」
アッシュはハクの真意をわかっていなかったので、ハクに問いた。顔を隠しているハクはそのまま答える。
「だから、単純な話じゃないんですって……」
「うー? とりあえず研究のために協力しろってこと?」
「そうですね。ときどきやるって考えでいいと思います」
「なるほどなー。じゃあワカバ協力するよ。サンも協力してもいいんじゃなーい?」
「協力すれば、オレが特訓で鍛えたのが身になってるかどうかわかるのか…………なーんだ。そういうことなら協力するぜ! ハク」
「僕も全然構わないよ。クロは?」
「もちろん協力する! アッシュの手伝いしたいもん!」
(自分の手伝いじゃないんだ……)
ボソッとハクが言う。ルージュはそれに気づいた。
「どうかした、ハク?」
「な、なんでもありません。とりあえず、わかってくれたならよかった……」
「よかったねハク。それじゃあ私、シルヴァに料理持って行ってあげるね」
「頼んだぜ! 今日のアイスケーキ、めちゃくちゃ美味いからシルヴァにも食わせてやんねーとな!」
「それならホァンの世話も頑張らないとね、サン」
「ゔっ……! オレはやりたくない……」
「やりたくないんだ……」
シルヴァはホァンをあやしていた。
「ほーらホァン? たかいたかーい」
「キャッキャッ、あーう」
「もう一回? せーの、たかいたかーい」
「キャッキャッキャッ!」
「失礼します」
ルージュが秘密基地に入ってきた。
「あら? ルージュが来ましたよ、ホァン」
「変わりますよ、シルヴァ」
ルージュがホァンを抱っこしようとするが──
「ばぁぶ! だぁだぁだぁ!!」
「……やっぱり、シルヴァのことが大好きみたいだね、ホァンは」
「そうみたいです。未来視で見えました」
「未来視したんだ? どんな感じだった?」
「すごく崇拝するほどにわたくしを慕っていました」
「ばぶぅ?」
「それって怖くなかった?」
「平気ですルージュ。そういう人、前にもいましたから……」
自分を崇める信者は想像以上に異常な愛を感じた。それを悟ったルージュはシルヴァに寄り添う。
「大丈夫だよ。みんなが居るから」
「ばぁぶ!」
「ふふ。そうですわね」
ルージュは先程の話題をシルヴァに話した
「そうそうハクがね、健康診断がしたいって言ってました」
「健康診断をですか……? いいですね、わたくしは賛成です」
「以外! 賛成なんだ」
「どうしてです?」
「だって、アッシュの提案みたいだったんですよ? ほら、不老を解くために」
「……ルージュはアッシュのことどう思ってます?」
ルージュは少し考えた。
「うーんと、頑張りすぎ……かな? ひとりで抱えこみすぎてるっていうか……」
「ルージュ、これだけははっきりしています。不老は解けません」
「!!」
「ホァン? わたくしはあなたが心配です。わたくしたちと同じく、儀式で不老不死にできるか」
「あーう?」
「ルージュ、どうしましょう? ホァンだけ体が大きくなってしまって先に──」
「あっ、そのことなんだけど、ホァンって成長が遅いみたいだよ?」
「えっ? そうなのですか?」
シルヴァはホァンの体をまじまじと見る。
「キャッキャッ」
「わたくしには、わかりかねます……」
「クロと話したんだけどね、ハクと比べると遅いなーって思ってたんだ」
「ばぁぶ? あぅ!」
「ごめんごめん。人それぞれだから大丈夫だよ、ホァン」
「あーう」
ホァンは短い手でルージュの頭を撫でた。
「ありがたき幸せ」
ルージュの本音
「私はおっきくなりたいし、顔の傷……身体中の傷痕を無くしたい。だから、アッシュには頑張ってもらいたい」
シルヴァの本音
「お母様から承ったこの寵愛を蔑ろにするのは御法度。アッシュには然るべき罰をソラ兄様にしてもらわなければ……」
次回未定です




