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ボーダーライン ~人為と怪異の狭間~  作者: 迷探偵
第一章 開始前
20/98

早期開催

「理由なんてないですよ。人達は共感したとか、知りたい欲求、好奇心がそうさせてるんでしょ。取り敢えず、今から事務所に行きますね。河相邸の監視カメラの映像をコピーしたので、一緒に見てください。勿論、許可は取ってます」


 報道陣が待ち構える中、俺が河相邸に再度行くのは無理だろう。隠見が監視カメラの映像を見せてくれるのは有難い。隠見の上司も、警察ではない、別の視点が欲しいのかもしれない。それと怪奇的な意味でも。


「分かった。ついでに河相以蔵の部屋をカメラで撮って、送ってくれないか? 無理なら、隠見のスマホから見せてくれ」


 河相以蔵の部屋にも監視カメラがあるかどうかでいえば、おそらく無いだろう。あった場合はプライバシーなんてあったものじゃない。


「了解です。本当に何もない部屋なんですけどね。SNSで広めないでくださいよ。それでは、また後でお願いしますよ」


 隠見との通話が切れた。こうなると、すぐに【ボーダーライン】、体験版を再度始めるわけにもいかない。


「隠見に体験版の事を直接話した方がいいだろう。猶予はまだあるんだ」


 PCにメッセージが届く。隠見が写真を送ってきたと思ったが、まさかの【ボーダーライン】からだ。


「このタイミングで【ボーダーライン】からだと」


【ボーダーライン】

 参加者全員が出揃った事をお知らせします。そこで誠に申し訳ないのですが、あるVIP様の多様な出資があるのと同時に、要望があり、今回は早期開催。明日の十二時から始まる事に決定しました。


 開始時は全員参加、ログインをお願いします。それ以降は、プレイヤー達の判断に任せます。


 最後に参加を決めたプレイヤーは、他のプレイヤー達と体験版のプレイ時間に差がありますので、ハンデを埋めるために10000Gと道具の一つを進展するのをお許しください。


「早期開催……最後のプレイヤーが決まった時点でそうなるようになっていたのか?」


 一週間の猶予があると思っていたが、VIPの要望により早期開催が決まるとは……他にも出資次第で内容変更があったりするのだろうか? それだけでなく、この早期開催は何時決まったのか?


 最後の参加者である隠見には体験版のハンデとして10000Gと何かの道具が貰えるらしい。この差は大きいと俺は思う。体験版は品評会の場であるらしいが、注目を浴びなければGは手に入らない。高額であれば尚更だ。


 それに体験版を全く出来ないわけでなく、今日一日はプレイ可能。これを他のVIP達はどう思うか。他のプレイヤーもそうだ。殺人鬼ではなく、プレイヤーが攻撃してくる可能性もあるのではないか? ハンデというのは競争相手がいるから使う言葉だ。


「ハンデを貰うのは間違ってはいない。それが有利になるか不利になるかは話が別だ。一つの思考に偏らず、柔軟に対応しなければ」


 メッセージが届く音が鳴り、今度こそ隠見から写真が届けられた。【ボーダーライン】の早期開催はまだ気付いていないのか?


「最悪、この事務所で体験版をさせればいいか。やれる時間は決まってるんだ」


 VRゲームは自身とPCを繋げるのだから、場所を選ばない。リアルさはないが、PC画面からプレイヤーの行動を見る事も可能。だが、【ボーダーライン】のようにVIP達がコメントやスパチャを投げるのは今まで無かった。


 俺は添付された河相以蔵の写真を開けた。そこに映し出された物は隠見が言ってた内容とは別物だった。

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